日漢協について >> 日漢協の社会的責任 >> 日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン

日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン

I.「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の制定にあたって


1.ガイドライン制定の目的
会員会社は、生命関連商品である医薬品を取り扱う企業として、極めて高い倫理観が求められています。また、会員会社は、漢方・生薬を取り扱うことから、他の医薬品企業にも増して、地球環境への配慮が求められています。本ガイドライン制定の目的は、会員会社が確固としたコンプライアンス推進体制を構築して事業活動を行うために、各社におけるコンプライアンス・プログラムを整備・運用するための指針となるものを示すことにあります。
 これまで、贈収賄事件や品質に関わる違反など、多くの分野で企業の不祥事が起こり社会からの信頼が失墜し、市場からの退場に至った例も数多くありました。これらの問題は、コンプライアンスに対する意識の欠如が原因と考えられます。
 会員会社が、安心・安全な製品を正しく社会に提供することこそが社会的責任であると考えています。企業が社会的責任を果たすために、経団連は、1991 年に「企業行動憲章」を制定し「コンプライアンス」の推進を唱え、また、日薬連は、1983 年に「製薬企業倫理綱領」を制定し、製薬業界の社会的責任を唱えてきました。なお、近年では、「コンプライアンス」の推進を含め内部統制システムの運用が求められてきています。
 「コンプライアンス・プログラム」は、「法令、ルール、企業倫理に則した企業活動のためのプログラムやシステム」だけでなく、コンプライアンス推進のための組織体制および行動規準等の指針も含んでいます。
 また、企業は、法令の遵守のみならず、社会的要請であるところの公正さ、誠実さといった企業倫理に基づく行動、環境保護等の企業市民としての責任ある行動が求められており、これらを含むコンプライアンス体制が求められます。
 なお、各社におけるコンプライアンスのためのプログラムや守るべき基準の名称は、各社各様でありますが、協会では「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」と称することとしました。
2.ガイドライン制定に至る背景
 経団連は、「企業の社会的責任」を取り巻く最近の状況変化を踏まえ、「企業行動憲章―社会の信頼と共感を得るために―」を2010 年9月に改定し、国の内外において、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、持続可能な社会の創造に向けて、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていくことを掲げています。
 製薬協は、このような経団連の動きを受けて医薬品業界においても、経営活動や事業活動のすべての場面において、法令、企業倫理に基づいた経営、事業活動をより一層、推進していく観点から、2011 年3月に「製薬協企業行動憲章」を改定するとともに、法令等の改正やコンプライアンスに関する社会の動きを反映させて「コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の改定を行いました。また、日本ジェネリック製薬協会(以下「GE薬協)」では、生命関連商品を扱う製薬企業としての倫理の高揚を図るために、「GE薬協企業行動憲章」を制定するとともに、各社の経営トップをはじめとして、取締役、監査役、従業員等においてコンプライアンスの徹底を図るため、「GE薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン2010」を2010 年12 月に制定しています。日漢協会員会社においても、各社の事業内容や関連法規、各国の法制を勘案し、それぞれのプログラムを構築し、適確に運営することが求められます。
3.日漢協としてのコンプライアンスに関する取り組み
 日漢協では、コンプライアンス意識の浸透に向けて活動推進するために、2011 年4月に「企業倫理委員会」を設置し、「日漢協企業行動憲章」ならびに「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の策定に向け活動を始めました。
 日漢協は、会員会社が一丸となってコンプライアンスの徹底を図り、違法行為に陥ることなく正常な企業活動を継続し、発展していくことを目指します。特に、地球環境への取り組みを根底に、コンプライアンスを通した「社会的責任」を果たしていくことを目標に掲げ、会員会社の社内体制の構築・再整備および企業倫理向上に向けて推進していくこととしました。
 今後、会員会社がコンプライアンス等の違反が起きない仕組み作りを徹底し、コンプライアンス推進活動を恒常的に実施していくこと、その中で会員会社の役員・従業員一人ひとりが、コンプライアンスの意味をより深く理解していくような環境を作り出すことが重要であると考えています。
 なお、協会としても、コンプライアンスに対する姿勢の周知徹底のため、ホームページへの本ガイドラインの掲載、研修会の開催、会員会社の取り組み状況の把握等に取り組んでいきます。
4.日漢協会員会社への要請
 

日漢協は、「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」等の制定にあたり、会員会社に対し、企業不祥事発生の未然防止のために、自社の状況等を考慮して、次の取り組みに沿ったコンプライアンスの体制を構築することを要請します。


@「日漢協企業行動憲章」を参考に会員会社自らの「企業行動憲章」を策定します。
A 会員会社の「企業行動憲章」を基本にコンプライアンスに係わる方針を策定します。
B「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」を参考に会員会社の「コンプライアンス・プログラム」を各社の状況に応じて策定・整備します。
C 企業行動憲章やコンプライアンス・プログラムは、社会情勢の変化、法令の改正、社内での違法行為の発覚、社内状況の変化等に対応するために、必要に応じて、かつ定期的に見直します。
D 経営トップから、役員や従業員に対し、繰り返しコンプライアンスの方針を示し、その徹底を訴えて、不当な行為によって利益を追求することのないよう、メッセージを伝えます。
E 会員会社は構築したコンプライアンス・プログラムを適切に運用し、実行します。

II.会員会社における「コンプライアンス・プログラム 」構築・運営のためのガイドライン

 コンプライアンス・プログラムとは、会員会社が企業不祥事の発生を未然に防止することを目的としたコンプライアンスを推進するためのマネジメント・システムです。
 会員会社においては、コンプライアンス体制を構築し、毎年、コンプライアンスを実のあるものにするための計画を策定し、継続的に運営することが必要とされています。会員会社におけるコンプライアンスへの取り組みは、次のような事項を含んでおり、各社の組織規模等に応じコンプライアンス・プログラムの整備が必要です。

 1. コンプライアンスに基づく経営
  (1)経営トップによるコンプライアンスに関する方針の明確化
  (2)経営者による各部門、従業員、グループ会社へのコンプライアンスに関する方針の継続的発信
  (3)経営トップへの定期的なコンプライアンス活動に関する報告
  (4)社内、株主、社外への事業報告書、ホームページ等による会社としてのコンプライアンスへの取り組みの発信・公表
  (5)経営者による取引先、グループ会社等へのコンプライアンスの要請
 2. 組織体制の構築
  (1)コンプライアンス担当役員・責任者などの任命とコンプライアンス推進のための委員会の設置・運営
  (2)従業員の相談、提案、通報等を受け付けるホットラインの設置・運営
 3. コンプライアンスに関する行動規範、社内規定等の制定・定期的な見直し
 4. 情報の共有
 5. コンプライアンスへの理解度・浸透度の把握
  (1)社内におけるコンプライアンス・アンケートの実施および問題点の把握とその改善への取り組み
  (2)社内報、社内ホームページ等によるコンプライアンスや新しい法令の啓発
 6. 計画的、継続的な教育・研修の実施
 7. コンプライアンスの人事考課への反映
 8. コンプライアンス・プログラムの実行状況確認
 9. 違反事例への対応と再発防止の徹底

コンプライアンス・プログラムでは、(1)計画・策定(Plan)、(2)実施・運用(Do)、(3)監査(Check)、 そして、(4)改善(Act)のサイクル(PDCA サイクル)を繰り返すという循環モデルによるスパ イラルアップと継続的な実施が必要です。
1.コンプライアンスに基づく経営
 コンプライアンス・プログラムを構築したり企業倫理委員会等を設置してもそれが表面的なものであったり、経営トップがコンプライアンスを軽視する発言・行動を行うと、従業員からは、コンプライアンスへの取り組みが建前だけで、コンプライアンスを重視していないとみなされます。  会員会社は、コンプライアンスを経営の最優先事項として掲げ、経営トップの明確な姿勢と積極的な主導のもと、全社を挙げてコンプライアンスに取り組むことが望まれます。

(1)経営トップによるコンプライアンスに 関する方針の明確化

 会員会社は、企業倫理・法令遵守を経営の最優先事項として掲げ、経営トップの明確な姿勢と積極的な主導のもと、全社を挙げてコンプライアンスに取り組むことが望まれます。
 経営者が率先してコンプライアンスを経営の柱の一つとして、個々の事業活動の中にコンプライアンスを前向きに活かしていくことが何よりも重要です。

(2)経営者による各部門、従業員、グループ会社へのコンプライアンスに関する方針の継続的発信

 最も大切なことは、経営者からの継続的なコンプライアンスのメッセージ、情報発信であります。経営トップから、あるいはコンプライアンス担当役員・コンプライアンス責任者から、役員・従業員と接する様々な機会を捉え、また、社内報や社内ホームページ等を利用して、継続的にコンプライアンスに関するメッセージ、情報を発信することが大切です。

(3)経営トップへの定期的なコンプライアンス活動に関する報告

 コンプライアンス推進部門は、各部門での自主的なコンプライアンスへの取り組み状況も含めて、社内のコンプライアンス活動について、経営者に対して定期的に報告することが必要です。経営トップからのコンプライアンスに関する情報発信は、社内への強いメッセージとなり、効果を発揮します。そのためにも、社内の現状を経営者に報告することは 重要であり、取締役会や経営トップ等に対して定期的に報告することが大切です。

(4)社内、株主、社外への事業報告書、ホームページ等による会社としてのコンプライアンスへの取り組みの発信・公表

 社内、株主、社外に対して社内のコンプライアンス活動の情報を開示することは、会社活動をより正しく理解してもらう上において重要です。また、CSR報告書、事業報告書等のほか、ホームページ等の媒体も含めて、社外にコンプライアンス活動を発信することは企業価値を向上させる面からも大切です。

(5)経営者による取引先、グループ会社等へのコンプライアンスの要請

 会員会社がコンプライアンスを徹底させるためには、国内外のグループ各社に対しても、コンプライアンスの徹底を要請する必要があります。子会社の違法行為につき親会社の責任が問われる場合があるほか、社会からは子会社と親会社が同一視される可能性があります。そのため、国内外のグループ会社における事業の内容に照らして、それぞれが関連す る法令に基づいたコンプライアンス体制を確立していることを確認する必要があります。また、取引先についても、同様に、取引を開始するにあたって、また継続的にコンプライアンス体制や推進状況を確認することも大切です。
2.組織体制の構築
(1)コンプライアンス担当役員・責任者などの任命とコンプライアンス推進のための委員会の設置・運営
 社内にコンプライアンスを周知徹底し定着させるためには、まず、それを推進する組織体制が整っていなければなりません。具体的には、コンプライアンス担当役員・責任者の任命、コンプライアンス委員会の設置、コンプライアンス推進部門の設置などです。担当役員・責任者には、経営トップに直接報告、意見具申を行える立場の人間を任命するとともに、コンプライアンス推進部門には専任者を配置することが望まれます。

(2)従業員の相談、提案、通報等を受け付けるホットラインの設置・運営

 会員会社は、業務活動におけるコンプライアンス上の通報・相談に対応するための窓口を設置し、違反の防止に努めます。違反行為が、判明したときは、コンプライアンス委員会等が、事実関係を徹底的に調査し、事実に基づいた違反事例の速やかな是正及び再発防止策の策定・実行等の対応を速やかに実施し、所要の手続きに従い、本人、監督責任者、の処分の検討を行います。また、効果的な運用のためには、(1)秘密保持の点で細心の注意が払われること、(2)個人攻撃の手段としてホットラインを用いてはならないこと、(3)法律に基づき、通報者の保護を行うこと、(4)通報者に対して不当な懲罰・差別を行わないこと、(5)通報者に対し不当な差別等を行った者は処分の対象となることなどが必要です。
3.コンプライアンスに関する行動規範、社内規定等の制定・定期的な見直し
コンプライアンスに関する行動規範、社内規定等は、定期的に見直さなければなりません。倫理の基準は時代とともに変遷し、また、法令も随時改正され新たに制定されます。したがって、行動規範等を常に企業や社会の現状に即したものとしておかなければ、形骸化しその存在価値は極めて希薄なものになってしまいます。そのため、「コンプライアンス・ プログラム」や「企業行動憲章」は、社会情勢の変化、法令の改正、社内での違法行為の発覚、社内状況の変化等に対応するために、必要に応じて、かつ定期的に見直します。
4.情報の共有
情報の共有には様々な手段があります。社内ホームページなどを通し、コンプライアンス遵守に向けたさまざまな情報を事例紹介の形でわかりやすく発信したり、コンプライアンス上のリスクを洗い出し、発生の可能性や影響度を考慮した情報等を発信し、コンプライアンスに対する意識の醸成、啓発に取り組むことも情報の共有の一つの手段であると考えます。
5.コンプライアンスへの理解度・浸透度の把握
(1)社内におけるコンプライアンス・アンケートの実施および問題点の把握とその改善への取り組み
 役員・従業員のコンプライアンスの理解度・浸透度を把握するための効果的な方法としては、アンケート等の実施が考えられます。
 その結果については、取締役会等経営トップに報告するとともに、役員・従業員に対し随時フィードバックすることが重要です。

(2)社内報、社内ホームページ等によるコンプライアンスや新しい法令の啓発

 経営トップをはじめ全ての役員が継続的にコンプライアンスの重要性や新しい法令の啓発のために、機会あるごとにメッセージを発信します。社内報や社内ホームページ等などを利用し発信することも大切です。
6.計画的、継続的な教育・研修の実施
 プログラムがその本来の機能を有効に発揮するためには、各部門における通常ルートによるコンプライアンスの徹底のほか、コンプライアンス担当部門を中心に絶えずコンプライアンスの意義・重要性を強調し、経営者、役員および従業員の共通の価値観としてプログラムの内容を広めていくことが必要です。
 入社時や管理職研修等の研修の際には、必ずプログラムに関する内容を組み込み、繰り返し説明することが望まれます。また、コンプライアンスに関連する新たな法律の制定・改正に伴う関連教育・社内講習会の実施による法律の遵守体制の強化を常に図ることが望まれます。
7.コンプライアンスの人事考課への反映
 従業員のコンプライアンスに則った業務実績につき、人事考課項目とすることを考慮することが望まれます。
 人事考課は、従業員の企業に対する貢献度を査定するものであり、コンプライアンスへの姿勢を考課項目とすることも検討する価値があります。
8.コンプライアンス・プログラムの実行状況確認
 定期的な、コンプライアンス・プログラムの実行状況の確認が必要です。
 会員会社を取り巻く法令や企業倫理の周知徹底を図っていても、遵守されているかの確認を必ず行うべきです。
 コンプライアンス・プログラムの実行状況確認の意義は、故意のコンプライアンス違反や現場段階で問題の存在を確認できなかったために生じたコンプライアンス違反、存在は認識できていたが誤った判断をして起こったコンプライアンス違反の早期発見と、同じ過ちを二度と繰り返さないようにするためのものです。
9.違反事例への対応と再発防止の徹底
 社内監査・調査や内部通報等により、コンプライアンス違反が判明した場合には、会社として厳正かつ公正に対処することが、再発防止とコンプライアンス意識の向上につながるものと考えられます。
 コンプライアンス担当責任部署は、事実を徹底的に調査し、違反事例の速やかな改善に向けた行動が必要です。なお、監督責任者等の処分にあたっては、社内ルールに従い、公平・公正に行うことが、重要です。
 また、二度と同様の違反事例が発生しないよう問題点の検証を実施し、必要に応じ行動規範・社内規定等の見直しを実施するとともに、コンプライアンス教育・研修制度等の見直しを図ることも必要です。