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会長挨拶

 日本漢方生薬製剤協会 加藤 照和

 当協会は、1983年に設立されて以来、おかげさまで本年7月21日をもちまして創立40周年を迎えます。これまでの皆様のご支援・ご協力に深く感謝申し上げます。

 さて、超高齢社会のわが国において、漢方製剤・生薬製剤および生薬が今後も国民の健康と医療に貢献し続けるために、漢方製剤等の有効性・安全性・品質はもちろん、基礎・臨床エビデンスの一層の集積、原料生薬の安定確保、製品の安定供給等、取り組むべき課題が数多くあります。
 これらを背景として、毎年開催しております「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会(以下、ビジョン研究会)」が取りまとめ発表した「提言書」に基づき、当協会も「漢方の将来ビジョン2040」を策定し課題解決に向けて取り組んでおり、本年は第1期5か年アクションプランの中間年にあたる3年目を迎えます。

 当協会の活動として、本年度も漢方薬の効果が期待されている高齢者疾患、がん支持療法等の分野において、医療経済学的研究を推進するため研究助成を実施しており、2件のテーマに対して助成を行い研究がスタートしております。

 ビジョン研究会2022については、2023年2月20日、「コロナ禍における漢方薬の役割 ~ポストコロナを見据えて~ 」と題し、ビジョン研究会の提言内容に対する進捗状況や医療用漢方製剤等を取り巻く様々な課題についてご発表いただきました。新型コロナウイルス感染症に対する研究成果や各種エビデンスが発表されるとともに、活発な討議が行われ、あらためて漢方製剤等に対する期待を実感する機会となりました。

 2023年度薬価改定においては、2年前の中間年改定と同様に平均乖離率7.0%の0.625倍を超える品目が対象となり実施されました。一方で、エネルギー資源・物価高騰下における医薬品安定供給への支援として臨時・特例的に医療用漢方製剤および生薬製剤が不採算品再算定に適用されました。
 今後、医療用漢方製剤等が度重なる薬価引き下げや原料生薬価格の高止まり、さらには為替の円安やエネルギーコストの急騰などにより不採算となっていることで継続的な安定供給に支障をきたしかねない窮状を、当協会として国や行政に働きかけ、不採算を解消するための普遍的な枠組みを整備すべく発信してまいります。

 一般用漢方製剤・生薬製剤の利活用推進に向けた取り組みについては、セルフメディケーション税制の改正において、新たに非スイッチOTCの42成分が対象に加わり、ジリュウ、マオウ、ナンテンジツの3生薬を配合した一般用漢方製剤・生薬製剤も対象になりました。
 今後も、税制改正の効果検証と合わせて、多様化する生活者の個々の状況に応じた一般用漢方製剤・生薬製剤によるセルフメディケーションが推進されるよう要望してまいります。
 また、女性の心と身体の健康に貢献できるトウキやセンキュウ等の生薬を配合した一般用漢方製剤・生薬製剤については、より一層セルフメディケーションの一助としてご活用いただけるよう、適切な情報発信ならびに関係官庁、業界団体等との連携による啓発活動を行ってまいります。

 生薬の国内栽培に関しては、昨年と同様な活動に加え、新たに薬用作物栽培に取り組む方々に種苗を供給する仕組みの構築に取り組みます。これらの活動を通して、今後も生産者と実需者とのマッチングに向けた薬用作物の産地化につなげてまいります。
 また、原料生薬の安定的な確保については、全調達量の8割超を依存している中国との良好な関係を維持するため、新型コロナウイルス感染症の影響により3年連続で延期されております中国商務部傘下の中国医薬保健品進出口協会との交流会の再開に向けて活動してまいります。

 「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」については、実施されて4年を経過しました。当協会の会員会社においては、ガイドライン遵守体制が確立されてきておりますが、一部の会員会社ではまだ不十分な事項もありますので、協会として引き続き支援してまいります。

 今後とも当協会の活動に一層のご理解とご支援を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。