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JKMA GUIDE 2017

2017年8月制作  ※「JKMA GUIDE」の内容の一部は、「日漢協について」でも紹介しています。

会長挨拶

日本漢方生薬製剤協会
加藤 照和
日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢協)は、会員会社の事業分野が多岐に亘ることから、5つの業態別会議と6つの機能別委員会を組織し活動しています。

2017度は、新たな5ヵ年計画・中長期事業計画2017のスタートの年であります。

これまでの中長期事業計画2012の成果を踏まえ、明確になった課題の解決に向けて積極的に活動を行ってまいります。

この5年間の最も大きな成果のひとつは、2016年度、日本東洋医学会との共催で、また多くの方々のご支援で実現いたしました「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」であります。

『漢方』が国民の健康と医療にいかに貢献すべきであるか、植物を中心とした原料生薬から原薬エキス、最終製品に至るまでの品質確保と、医療の現場への安定供給をめぐる課題などを共有し、明確な「漢方の将来ビジョン」を描くことで、産官学・国民で連携して取り組むべき課題を整理し、スピード感を持って解決に導くことを、この研究会の目的としてスタートいたしました。

研究会の会長には日本医学会会長の髙久史麿先生を、そして代表世話人には国際医療福祉大学副理事長・名誉学長の北島政樹先生をお迎えし、国内トップオーソリティの先生方から多岐にわたる貴重なご意見をいただき、3月には提言書が発表されました。大変お忙しいスケジュールの中ご参加いただきました、研究会組織のメンバーの先生はもとより、各研究会でご発表いただいた先生、行政・関係団体の皆様に、改めまして厚く御礼申し上げます。

研究会の提言は、国が目指す「健康長寿社会の実現」や「新オレンジプラン」「がん対策加速化プラン」のもと、がん支持療法・フレイルなどの高齢者疾患に対する漢方製剤のエビデンスの構築を加速化すべきであり、産官学の連携による研究を加速し、国民へ説明しながら進めるべきであるというものであります。

私ども日漢協といたしましては、これらの提言内容を早期に実現すべく、新中長期事業計画2017に盛り込み、取り組んでまいります。

がん治療に伴う副作用、術後の合併症・後遺症に対する漢方治療の必要性、いわゆる支持療法に関する漢方薬の臨床効果が報告されています。例えば、食欲不振、抹消神経障害、口内炎などに対する治療効果などですが、さらに研究を推進し、エビデンスに基づく診療ガイドラインへの掲載を目指します。広く治療に役立てられることにより、療養生活の質を向上させ、さらには患者様が無理なく仕事と治療を両立できるよう貢献してまいりたいと考えております。

高齢者疾患におきましては、身体機能と認知機能が低下して虚弱となった状態であるフレイルに対して、西洋薬と違ったメカニズムを持つ漢方製剤の可能性が期待されています。適切な運動や食事とともに、食欲亢進、神経症や不安症などの緩和、転倒リスクの軽減など、重症化対策としての治療に有効な漢方製剤のエビデンスの構築をさらに加速し、健康寿命の延伸に貢献してまいりたいと考えております。

また、漢方製剤等の品質確保と安定供給に向けた取り組みに関しましては、多成分系医薬品としての「リポジショニングや新剤形等のための品質保証および承認申請に資するガイドライン」の整備を目指すよう、日漢協として積極的に協力してまいりたいと考えております。これまでガイドラインがないため困難でありました、高齢者やがんの患者様でも服用しやすい剤形の開発にも取り組んでいけるものと考えております。

同時に、日漢協の最重要課題であります「原料生薬の品質確保と安定確保の推進」につきましても、国内栽培を推進するため、関係団体との連携により優良種苗の選抜や保存、そして増殖法の検討を行い、大規模機械化栽培をはじめとする、新規栽培方法の開発を産官学の連携を含めて加速させてまいります。さらに、国内における生薬栽培の目標量や生産コストに関する研究、希望取引価格帯の明確化などに取り組んでまいります。

そして、漢方製剤が国民医療に貢献し続けるために、医療保険制度において基礎的医薬品として位置づけ、薬価の安定化策を講じるべきであるとの提言もいただきました。日漢協といたしましても上部団体である日薬連を通じまして、広く臨床現場で使用されている汎用性が高い漢方製剤については、基礎的医薬品として位置づけ薬価の安定化策を講じていただくよう要望してまいります。

もう一つ研究会で興味深い発表がありました。DPCデータという1,000施設を超える大学病院を含む大・中規模病院の入院診療の詳細データ、いわゆるビッグデータによる解析により、漢方治療で医療費抑制効果が認められたというものです。がん手術後の合併症で、大建中湯の投与により入院日数が優位に減少し、入院医療費が抑制できる、また、入院認知症患者様に投与される睡眠薬による転倒骨折頻度において、抑肝散が骨折リスクを減少させた、という漢方製剤の経済的評価に関する科学的根拠が示されています。日漢協といたしましても、広く国民の皆様に知っていただくために、積極的に情報発信してまいります。

これらの提言を受けまして、日漢協内に委員会横断的な新たなプロジェクトを設置し、スピード感をもって着実に実行するとともに、その進捗や成果について国民の皆様に発信してまいります。

これらに加えて日漢協が取り組む課題としては、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進するセルフメディケーションについて、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」を一般薬連とともに情報発信してまいります。また、漢方製剤・生薬製剤が、2017年1月から施行されましたセルフメディケーション税制の対象となるよう働きかけてまいります。

そして、2017年で4年目となりました「日中伝統薬交流」も、4月に中国商務省の直轄機関である中国医保商会の孟冬平副会長が、新団長として訪日団を組織し来日され、東京ビッグサイトで意見交換をいたしました。日漢協は中国医保商会のパートナー団体として、生薬の安定確保に向けた強い信頼関係を構築してまいります。

このように新たな5ヵ年計画「中長期事業計画2017」を着実に進めることにより、私ども日漢協は、国民の皆様の健康と医療に、微力ながらお役に立てますよう尽力してまいります。皆様におかれましては、引き続き、変わらぬご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。