日漢協行動基準
Ⅰ.「日漢協企業行動憲章」の制定にあたって
2010年9月に経団連は、「企業の社会的責任」を取り巻く最近の状況変化を踏まえ、「企業行動憲章」および「実行の手引き」を改定しました。また、各加盟団体に対し、企業行動憲章等を参考にグループ企業を含めた事業活動全般について総点検を行うとともに、体制の強化を図るよう依頼しました。これを受け、日薬連では、「企業倫理徹底のお願い」を発出しました。
これは、これまで様々な業界で、法令遵守違反により、世の中の人々からの信頼を失い、業績が悪化し、ついには市場から撤退せざるをえない状況に至った企業もあったことを受けたものです。また、製薬企業として、確固たる企業倫理を確立・実践するとともに、「企業行動憲章」を策定のうえ、これを厳格に実施して、役員および従業員が違法行為に陥ることなく、未然に防止し、正常な企業活動が継続され、発展していくことが最大の目的とされています。
日漢協は、会員会社が自然の恵みを受けた生薬を原料とした事業活動を行い、生薬資源の保護・保全・栽培および循環型社会を目指していることを前提に、今後のコンプライアンスの指針として必要と思われる「地球環境への取り組み」、「適正使用の推進とエビデンスデータの収集」、「循環型社会への協力」、「国際規範の尊重」等、より広い視点から14項目にわたる「日漢協企業行動憲章」を制定しています。
Ⅱ.「日漢協企業行動憲章」
(2020年5月改定)
日漢協会員会社は、生命関連商品である医薬品を取り扱う企業として、極めて高い倫理観が求められています。さらに、自然の豊かな恵みを受けて育った生薬を基本とする事業活動を行っていることを絶えず忘れずに、地球環境を守るべく自然との共生を考慮しつつ、高品質な漢方製剤、生薬製剤および生薬を安定供給します。また、その役割と機能を高めるとともに、国民の健康と医療に貢献することを目指します。
そのため会員会社は、次の行動原則に基づき、国の内外を問わず、人権を尊重するとともに、すべての法令、行動規範およびその精神を遵守し、高い倫理観をもって行動します。また、自社のみならず、グループ企業、サプライチェーン等に対しても行動変革を促して社会的責任への取り組みを進めます。
- 品質および安定確保の推進
- 地球環境への取り組み
- 適正な取引と流通
- 適正使用の推進とエビデンスデータの収集
- 医療関係者・患者・生活者等との信頼関係
- 情報管理の徹底
- 公正な情報開示、ステークホルダーとの建設的な対話
- 循環型社会への協力
- 働き方改革、労働環境の充実
- 社会貢献活動
- 危機管理の徹底
- 人権の尊重
- 国際規範の尊重
- 経営トップの役割と本憲章の徹底
地球環境の保護・保全に努めつつ、原料生薬の品質および安定確保の推進を図り、より高品質な漢方製剤、生薬製剤および生薬を安定的に供給することにより国民の健康に貢献します。
地球環境への取り組みは人類共通の課題であり、漢方・生薬を取り扱う企業の必須として、生物多様性にも配慮した生薬資源の保護・保全および栽培に尽力し、責任をもって自然と共生するための活動を主体的に行います。
公正で自由な競争を通じ、漢方製剤・生薬として、適正な取引と流通を行います。また、医療関係者をはじめ、政治、行政との健全かつ正常な関係を維持します。
漢方製剤・生薬製剤および生薬の適正使用の推進とエビデンスデータの収集を行ない、製造販売後の品質・安全性・有効性に関する情報の収集・分析評価とその伝達を迅速かつ的確に行います。
医療関係者・患者・生活者等と誠実なコミュニケーションを図り、満足と信頼を獲得します。
個人情報や顧客情報の適正な保護に十分配慮し、情報管理に万全な対策を行います。
企業情報を公正に開示し、漢方・生薬を取り扱う企業を取り巻くステークホルダーとの建設的な対話を行い、企業価値の向上を図ります。
生薬資源の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、環境への負荷が少ない「循環型社会」に協力します。
従業員の多様性・人格・個性を尊重する働き方を実現し、働きがいのある、健康と安全に配慮した労働環境を実現するとともに、従業員の倫理観の高揚と資質の向上を図ります。
良き企業市民として、社会貢献活動を積極的に行います。
市民生活や企業活動に脅威を与える反社会的勢力の行動やテロ、サイバー攻撃、自然災害、パンデミック等に備え、組織的な危機管理を徹底します。
すべての人々の人権を尊重する経営を行います。
事業活動のグローバル化に対応し、各国・地域の法律遵守および人権を含む各種の国際規範の尊重はもとより、文化や慣習、ステークホルダーの関心に配慮した経営を行い、当該国・地域の発展に貢献します。
経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、自社およびグループ企業にその徹底を図るとともに、取引先にも促します。また、社内外の声を常時把握し、実効ある社内体制を確立します。本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたり、原因究明、再発防止に努めます。また、社会への迅速かつ的確な情報の公開と説明責任を遂行し、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行います。
あとがき
漢方・生薬を取り扱う企業は、地球環境に配慮した企業を目指し、企業行動憲章の精神に則り、活動を行うことを自主的に申し合わせます。
Ⅰ.「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の制定にあたって
1.ガイドライン制定の目的
会員会社は、生命関連商品である医薬品を取り扱う企業として、極めて高い倫理観が求められています。また、会員会社は、漢方・生薬を取り扱うことから、他の医薬品企業にも増して、地球環境への配慮が求められています。本ガイドライン制定の目的は、会員会社が確固としたコンプライアンス推進体制を構築して事業活動を行うために、各社におけるコンプライアンス・プログラムを整備・運用するための指針となるものを示すことにあります。
これまで、贈収賄事件や品質に関わる違反など、多くの分野で企業の不祥事が起こり社会からの信頼が失墜し、市場からの退場に至った例も数多くありました。これらの問題は、コンプライアンスに対する意識の欠如が原因と考えられます。
会員会社が、安心・安全な製品を正しく社会に提供することこそが社会的責任であると考えています。企業が社会的責任を果たすために、経団連は、1991 年に「企業行動憲章」を制定し「コンプライアンス」の推進を唱え、また、日薬連は、1983 年に「製薬企業倫理綱領」を制定し、製薬業界の社会的責任を唱えてきました。なお、近年では、「コンプライアンス」の推進を含め内部統制システムの運用が求められてきています。
「コンプライアンス・プログラム」は、「法令、ルール、企業倫理に則した企業活動のためのプログラムやシステム」だけでなく、コンプライアンス推進のための組織体制および行動規準等の指針も含んでいます。
また、企業は、法令の遵守のみならず、社会的要請であるところの公正さ、誠実さといった企業倫理に基づく行動、環境保護等の企業市民としての責任ある行動が求められており、これらを含むコンプライアンス体制が求められます。
なお、各社におけるコンプライアンスのためのプログラムや守るべき基準の名称は、各社各様でありますが、協会では「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」と称することとしました。
2.ガイドライン制定に至る背景
経団連は、「企業の社会的責任」を取り巻く最近の状況変化を踏まえ、「企業行動憲章―社会の信頼と共感を得るために―」を2010年9月に改定し、国の内外において、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、持続可能な社会の創造に向けて、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていくことを掲げています。
製薬協は、このような経団連の動きを受けて医薬品業界においても、経営活動や事業活動のすべての場面において、法令、企業倫理に基づいた経営、事業活動をより一層、推進していく観点から、2011年3月に「製薬協企業行動憲章」を改定するとともに、法令等の改正やコンプライアンスに関する社会の動きを反映させて「コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の改定を行いました。また、日本ジェネリック製薬協会(以下「GE薬協)」では、生命関連商品を扱う製薬企業としての倫理の高揚を図るために、「GE薬協企業行動憲章」を制定するとともに、各社の経営トップをはじめとして、取締役、監査役、従業員等においてコンプライアンスの徹底を図るため、「GE薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン2010」を2010年12月に制定しています。日漢協会員会社においても、各社の事業内容や関連法規、各国の法制を勘案し、それぞれのプログラムを構築し、適確に運営することが求められます。
3.日漢協としてのコンプライアンスに関する取り組み
日漢協では、コンプライアンス意識の浸透に向けて活動推進するために、2011年4月に「企業倫理委員会」を設置し、「日漢協企業行動憲章」ならびに「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の策定に向け活動を始めました。
日漢協は、会員会社が一丸となってコンプライアンスの徹底を図り、違法行為に陥ることなく正常な企業活動を継続し、発展していくことを目指します。特に、地球環境への取り組みを根底に、コンプライアンスを通した「社会的責任」を果たしていくことを目標に掲げ、会員会社の社内体制の構築・再整備および企業倫理向上に向けて推進していくこととしました。
今後、会員会社がコンプライアンス等の違反が起きない仕組み作りを徹底し、コンプライアンス推進活動を恒常的に実施していくこと、その中で会員会社の役員・従業員一人ひとりが、コンプライアンスの意味をより深く理解していくような環境を作り出すことが重要であると考えています。
なお、協会としても、コンプライアンスに対する姿勢の周知徹底のため、ホームページへの本ガイドラインの掲載、研修会の開催、会員会社の取り組み状況の把握等に取り組んでいきます。
4.日漢協会員会社への要請
日漢協は、「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」等の制定にあたり、会員会社に対し、企業不祥事発生の未然防止のために、自社の状況等を考慮して、次の取り組みに沿ったコンプライアンスの体制を構築することを要請します。
- 「日漢協企業行動憲章」を参考に会員会社自らの「企業行動憲章」を策定します。
- 会員会社の「企業行動憲章」を基本にコンプライアンスに係わる方針を策定します。
- 「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」を参考に会員会社の「コンプライアンス・プログラム」を各社の状況に応じて策定・整備します。
- 企業行動憲章やコンプライアンス・プログラムは、社会情勢の変化、法令の改正、社内での違法行為の発覚、社内状況の変化等に対応するために、必要に応じて、かつ定期的に見直します。
- 経営トップから、役員や従業員に対し、繰り返しコンプライアンスの方針を示し、その徹底を訴えて、不当な行為によって利益を追求することのないよう、メッセージを伝えます。
- 会員会社は構築したコンプライアンス・プログラムを適切に運用し、実行します。
Ⅱ.会員会社における「コンプライアンス・プログラム 」構築・運営のためのガイドライン
コンプライアンス・プログラムとは、会員会社が企業不祥事の発生を未然に防止することを目的としたコンプライアンスを推進するためのマネジメント・システムです。
会員会社においては、コンプライアンス体制を構築し、毎年、コンプライアンスを実のあるものにするための計画を策定し、継続的に運営することが必要とされています。会員会社におけるコンプライアンスヘの取り組みは、次のような事項を含んでおり、各社の組織規模等に応じコンプライアンス・プログラムの整備が必要です。
- コンプライアンスに基づく経営
- 経営トップによるコンプライアンスに関する方針の明確化
- 経営者による各部門、従業員、グループ会社へのコンプライアンスに関する方針の継続的発信
- 経営トップへの定期的なコンプライアンス活動に関する報告
- 社内、株主、社外への事業報告書、ホームページ等による会社としてのコンプライアンスへの取り組みの発信・公表
- 経営者による取引先、グループ会社等へのコンプライアンスの要請
- 組織体制の構築
- コンプライアンス担当役員・責任者などの任命とコンプライアンス推進のための委員会の設置・運営
- 従業員の相談、提案、通報等を受け付けるホットラインの設置・運営
- コンプライアンスに関する行動規範、社内規定等の制定・定期的な見直し
- 情報の共有
- コンプライアンスへの理解度・浸透度の把握
- 社内におけるコンプライアンス・アンケートの実施および問題点の把握とその改善への取り組み
- 社内報、社内ホームページ等によるコンプライアンスや新しい法令の啓発
- 計画的、継続的な教育・研修の実施
- コンプライアンスの人事考課への反映
- コンプライアンス・プログラムの実行状況確認
- 違反事例への対応と再発防止の徹底
コンプライアンス・プログラムでは、(1)計画・策定(Plan)、(2)実施・運用(Do)、(3)監究(Check)、 そして、(4)改善(Act)のサイクル(PDCAサイクル)を繰り返すという循環モデルによるスパイラルアップと継続的な実施が必要です。
- コンプライアンスに基づく経営
- 経営トップによるコンプライアンスに関する方針の明確化
- 経営者による各部門、従業員、グループ会社へのコンプライアンスに関する方針の継続的発信
- 経営トップへの定期的なコンプライアンス活動に関する報告
- 社内、株主、社外への事業報告書、ホームページ等による会社としてのコンプライアンスへの取り組みの発信・公表
- 経営者による取引先、グループ会社等へのコンプライアンスの要請
- 組織体制の構築
- コンプライアンス担当役員・責任者などの任命とコンプライアンス推進のための委員会の設置・運営
- 従業員の相談、提案、通報等を受け付けるホットラインの設置・運営
- コンプライアンスに関する行動規範、社内規定等の制定・定期的な見直し
- 情報の共有
- コンプライアンスへの理解度・浸透度の把握
- 社内におけるコンプライアンス・アンケートの実施および問題点の把握とその改善への取り組み
- 社内報、社内ホームページ等によるコンプライアンスや新しい法令の啓発
- 計画的、継続的な教育・研修の実施
- コンプライアンスの人事考課への反映
- コンプライアンス・プログラムの実行状況確認
- 違反事例への対応と再発防止の徹底
コンプライアンス・プログラムを構築したり企業倫理委員会等を設置してもそれが表面的なものであったり、経営トップがコンプライアンスを軽視する発言・行動を行うと、従業員からは、コンプライアンスへの取り組みが建前だけで、コンプライアンスを重視していないとみなされます。 会員会社は、コンプライアンスを経営の最優先事項として掲げ、経営トップの明確な姿勢と積極的な主導のもと、全社を挙げてコンプライアンスに取り組むことが望まれます。
会員会社は、企業倫理・法令遵守を経営の最優先事項として掲げ、経営トップの明確な姿勢と積極的な主導のもと、全社を挙げてコンプライアンスに取り組むことが望まれます。
経営者が率先してコンプライアンスを経営の柱の一つとして、個々の事業活動の中にコンプライアンスを前向きに活かしていくことが何よりも重要です。
最も大切なことは、経営者からの継続的なコンプライアンスのメッセージ、情報発信であります。経営トップから、あるいはコンプライアンス担当役員・コンプライアンス責任者から、役員・従業員と接する様々な機会を捉え、また、社内報や社内ホームページ等を利用して、継続的にコンプライアンスに関するメッセージ、情報を発信することが大切です。
コンプライアンス推進部門は、各部門での自主的なコンプライアンスへの取り組み状況も含めて、社内のコンプライアンス活動について、経営者に対して定期的に報告することが必要です。経営トップからのコンプライアンスに関する情報発信は、社内への強いメッセージとなり、効果を発揮します。そのためにも、社内の現状を経営者に報告することは 重要であり、取締役会や経営トップ等に対して定期的に報告することが大切です。
社内、株主、社外に対して社内のコンプライアンス活動の情報を開示することは、会社活動をより正しく理解してもらう上において重要です。また、CSR報告書、事業報告書等のほか、ホームページ等の媒体も含めて、社外にコンプライアンス活動を発信することは企業価値を向上させる面からも大切です。
会員会社がコンプライアンスを徹底させるためには、国内外のグループ各社に対しても、コンプライアンスの徹底を要請する必要があります。子会社の違法行為につき親会社の責任が問われる場合があるほか、社会からは子会社と親会社が同一視される可能性があります。そのため、国内外のグループ会社における事業の内容に照らして、それぞれが関連す る法令に基づいたコンプライアンス体制を確立していることを確認する必要があります。また、取引先についても、同様に、取引を開始するにあたって、また継続的にコンプライアンス体制や推進状況を確認することも大切です。
社内にコンプライアンスを周知徹底し定着させるためには、まず、それを推進する組織体制が整っていなければなりません。具体的には、コンプライアンス担当役員・責任者の任命、コンプライアンス委員会の設置、コンプライアンス推進部門の設置などです。担当役員・責任者には、経営トップに直接報告、意見具申を行える立場の人間を任命するとともに、コンプライアンス推進部門には専任者を配置することが望まれます。
会員会社は、業務活動におけるコンプライアンス上の通報・相談に対応するための窓口を設置し、違反の防止に努めます。違反行為が、判明したときは、コンプライアンス委員会等が、事実関係を徹底的に調査し、事実に基づいた違反事例の速やかな是正及び再発防止策の策定・実行等の対応を速やかに実施し、所要の手続きに従い、本人、監督責任者、の処分の検討を行います。また、効果的な運用のためには、(1)秘密保持の点で細心の注意が払われること、(2)個人攻撃の手段としてホットラインを用いてはならないこと、(3)法律に基づき、通報者の保護を行うこと、(4)通報者に対して不当な懲罰・差別を行わないこと、(5)通報者に対し不当な差別等を行った者は処分の対象となることなどが必要です。
コンプライアンスに関する行動規範、社内規定等は、定期的に見直さなければなりません。倫理の基準は時代とともに変遷し、また、法令も随時改正され新たに制定されます。したがって、行動規範等を常に企業や社会の現状に即したものとしておかなければ、形骸化しその存在価値は極めて希薄なものになってしまいます。そのため、「コンプライアンス・ プログラム」や「企業行動憲章」は、社会情勢の変化、法令の改正、社内での違法行為の発覚、社内状況の変化等に対応するために、必要に応じて、かつ定期的に見直します。
情報の共有には様々な手段があります。社内ホームページなどを通し、コンプライアンス遵守に向けたさまざまな情報を事例紹介の形でわかりやすく発信したり、コンプライアンス上のリスクを洗い出し、発生の可能性や影響度を考慮した情報等を発信し、コンプライアンスに対する意識の醸成、啓発に取り組むことも情報の共有の一つの手段であると考えます。
役員・従業員のコンプライアンスの理解度・浸透度を把握するための効果的な方法としては、アンケート等の実施が考えられます。
その結果については、取締役会等経営トップに報告するとともに、役員・従業員に対し随時フィードバックすることが重要です。
経営トップをはじめ全ての役員が継続的にコンプライアンスの重要性や新しい法令の啓発のために、機会あるごとにメッセージを発信します。社内報や社内ホームページ等などを利用し発信することも大切です。
プログラムがその本来の機能を有効に発揮するためには、各部門における通常ルートによるコンプライアンスの徹底のほか、コンプライアンス担当部門を中心に絶えずコンプライアンスの意義・重要性を強調し、経営者、役員および従業員の共通の価値観としてプログラムの内容を広めていくことが必要です。
入社時や管理職研修等の研修の際には、必ずプログラムに関する内容を組み込み、繰り返し説明することが望まれます。また、コンプライアンスに関連する新たな法律の制定・改正に伴う関連教育・社内講習会の実施による法律の遵守体制の強化を常に図ることが望まれます。
従業員のコンプライアンスに則った業務実績につき、人事考課項目とすることを考慮することが望まれます。
人事考課は、従業員の企業に対する貢献度を査定するものであり、コンプライアンスへの姿勢を考課項目とすることも検討する価値があります。
定期的な、コンプライアンス・プログラムの実行状況の確認が必要です。
会員会社を取り巻く法令や企業倫理の周知徹底を図っていても、遵守されているかの確認を必ず行うべきです。
コンプライアンス・プログラムの実行状況確認の意義は、故意のコンプライアンス違反や現場段階で問題の存在を確認できなかったために生じたコンプライアンス違反、存在は認識できていたが誤った判断をして起こったコンプライアンス違反の早期発見と、同じ過ちを二度と繰り返さないようにするためのものです。
社内監査・調査や内部通報等により、コンプライアンス違反が判明した場合には、会社として厳正かつ公正に対処することが、再発防止とコンプライアンス意識の向上につながるものと考えられます。
コンプライアンス担当責任部署は、事実を徹底的に調査し、違反事例の速やかな改善に向けた行動が必要です。なお、監督責任者等の処分にあたっては、社内ルールに従い、公平・公正に行うことが、重要です。
また、二度と同様の違反事例が発生しないよう問題点の検証を実施し、必要に応じ行動規範・社内規定等の見直しを実施するとともに、コンプライアンス教育・研修制度等の見直しを図ることも必要です。
企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン
医療用医薬品(医療用漢方製剤、生薬)を製造販売する会社一般用医薬品(一般用漢方製剤、生薬製剤等)を製造販売する会社
日本漢方生薬製剤協会会員各社は、医療機関並びに医療関係者の皆様のご協力をいただき、企業活動と医療機関等の関係の透明性・信頼性向上に努めます。
患者さんや国民の生命・健康に大きく関わり、また国民皆保険制度のもとにある我が国の製薬産業においては、他の産業以上にその活動の透明性を確保し説明責任を果たすことが重要です。
一方、 患者さんに最適な医薬品をお届けするために必要な製薬企業と医療機関、医療関係者の産学連携には利益相反が生じる場合があります。
製薬企業の活動が、患者さんを最優先に考え、倫理的かつ誠実なものとして信頼されるためには、「利益相反状態の適切な管理」 と「製薬企業と医療機関、医療関係者との関係の透明性を高めるための取組み」が必須となります。
上記を踏まえ、日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢協)では、2011年に 「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン(以下、本ガイドライン)」を策定し、医療機関並びに医療関係者の皆様のご理解とご協力のもと、産学連携活動に係る資金等を公開してまいりました。
また、関係官庁や各団体において推進されている利益相反マネジメントへの取組みと本ガイドラインに則った日漢協会員会社の資金等の公開は、産学連携に対するより一層の信頼確保に繋がるものと確信しております。
日漢協では、本ガイドライン策定後も多方面からのご意見を参考に本ガイ ドラインを改定し、透明性・信頼性の一層の向上に取り組んでまいりました。その一環として、昨今の環境変化に対応すべく本ガイドラインを改定いたしました。
医療機関並びに医療関係者の皆様におかれましては、引き続き本ガイドラインの趣旨についてご理解いただき、今まで以上のご協力とご指導を賜りたくお願い申し上げます。
日本漢方生薬製剤協会
企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン
日漢協(医療用)2018年10月改定(2018年10月1日以降に開始する事業年度から適用)日漢協(医療用)2022年4月改定(2023年度の支払いから適用)
日漢協(一般用)2012年11月策定, 2019年3月改定(2019年度から適用)
「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」
および「患者団体との協働に関するガイドライン」の策定にあたって
日漢協会員会社の使命は、漢方製剤、生薬製剤および生薬の安定的な供給を通じて、日本の医療と人々の健康に貢献し「患者参加型医療」の実現に寄与することです。
この使命を果たすため、会員各社には、市販後における医薬品の適正使用推進や安全対策に至るまで、医薬品と患者さんが関わるあらゆる場面において、患者さんやそのご家族のニーズや悩みを理解して対応していくことが求められています。このため、会員各社が患者さんやそのご家族の声を代表する患者団体と協働する機会が徐々に増えてきています。また、行政、医療界ともに、「患者の声」をより重視するようになり、行政当局の委員会や検討会に患者団体の代表者が委員として参画することも増えてきました。
このように患者団体の発言力・影響力が高まるなか、製薬企業は、患者団体との協働について、一般社会から正しい理解を得るために透明性を確保する必要性が増してきました。
国内では2012年に日本製薬工業協会会員企業が患者団体に提供している金銭的支援等について、一定のルールの下に情報を開示することにより、一層の透明性を確保し、その活動が高い倫理性を担保したうえで患者団体の活動・発展に寄与していることについて広く理解を得ることが重要であると考え、「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」を策定しております。
日本漢方生薬製剤協会でも、国内外の動向を踏まえ、業界全体での足並みを揃える必要性を考え「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」および「患者団体との協働に関するガイドライン」を策定しました。
日本漢方生薬製剤協会
企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドラインおよび患者団体との協働に関するガイドライン
企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン
日本漢方生薬製剤協会
2013年9月20日策定
2014年4月1日実施
会員会社の活動における患者団体との関係の透明性を確保することにより、その活動が患者団体の独立性を尊重する高い倫理性と相互理解を担保したうえで患者団体の活動・発展に寄与していることについて広く理解を得ることを目的としたものである。
- 会員会社は、本ガイドラインを参考に自社の「患者団体との関係の透明性に関する指針」を策定し、自社における行動基準とする。
- 患者団体とは、患者・家族、その支援者が主体となって構成され、患者の声を代表し、患者・家族を支えあうとともに、療養環境の改善を目指し、原則として、定款・会則により定義された役割や目的を持つ患者会および患者支援団体とする。会員会社が資金提供・支援を行う団体の選定基準については会員会社の判断に基づく。
- 自社の「患者団体との関係の透明性に関する指針」には以下の項が記載されることが望ましい。
- 会員会社の姿勢
- 公開方法
- 公開対象と内容
会員会社は、直接的資金提供、間接的資金提供、会員会社からの依頼事項への謝礼等、労務提供を行った患者団体についてその内容を公開する。 - 直接的資金提供
- 間接的資金提供
- 会員会社からの依頼事項への謝礼等
- その他
- 公開時期
患者団体との関係は、患者団体の独立性を尊重し透明性を確保する必要がある。透明性を確保するために、会員会社が関与している事実を明らかにし、資金提供については、その目的、内容等を書面により合意し、記録を残す必要がある。
また、会員会社が行う患者団体とのあらゆる活動は、日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢協)で定める「日漢協企業行動憲章」、「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」、「日漢協コード・オブ・プラクティス」、「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」、「患者団体との協働に関するガイドライン」をはじめとする関係諸規範およびその精神に従うことを表明する。
会員会社は、自社ウェブサイト等を通じ、前年度分の資金提供等について各社の決算発表後に公開する。
(対象)寄附金、会員・賛助会員費、協賛費、広告費等
(内容)
直接的資金提供を行った患者団体名及び費用項目ごとの金額を記載する。但し、費用項目の立て方は会員会社の判断とする。
(対象)
・患者団体支援を目的とした企業主催・共催の講演会、説明会、研修会等に伴う費用
・患者団体支援に関連して外部業者に委託した費用
(内容)
間接的資金提供を行った患者団体名及び間接的資金提供総額を記載する。なお、患者団体ごと、費用項目ごとに分けて記載する必要はない。
(対象)講師、原稿執筆・監修、調査、アドバイザー等の費用
(内容)
会員会社から依頼を行った患者団体名及び費用項目ごとの金額を記載する。但し、費用項目の立て方は会員会社の判断とする。
(対象)労務提供の有無
(内容)提供した患者団体名を記載する。
2014年度分の資金提供等を2015年度から公開する。
以上
患者団体との協働に関するガイドライン
企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン
日本漢方生薬製剤協会
2013年9月20日策定
2014年4月1日実施
日漢協会員会社は、高品質な漢方製剤、生薬製剤および生薬を継続的に安定供給し、その役割と機能を高めることによって、漢方製剤、生薬製剤および生薬の普及、定着と発展を図り、医薬品業界の発展と国民の皆様の健康に貢献することを目的としております。このためには、患者さんの求めるニーズや悩みを理解することが必要となっており、患者団体との積極的かつ継続的な協働の機会が増えてきました。
会員会社は、患者団体とのあらゆる協働において、高い倫理観を持ち、患者団体の独立性を尊重します。また、患者団体との協働の目的と内容について十分に相互理解するよう努めます。このため、「患者団体との協働に関するガイドライン」を下記のとおり策定しました。患者団体と協働する会員会社は、本ガイドラインを参考に自社の指針を策定し、自社における行動基準とします。
- 相互理解
- 信頼関係の構築
- 患者団体の独立性の尊重
- 透明性の確保
- 書面による合意
- 製品の広告・宣伝の禁止
- 影響力行使の禁止
- 資金源の多様性の推奨
- 適正な支援
会員会社は、患者団体との協働を、それぞれの見解や判断を尊重した相互理解のもとに行います。
会員会社は、患者団体と対等な関係で信頼関係を構築し、共通の目的の実現に向けてそれぞれの役割を果たします。
会員会社は、患者団体の独立性を尊重します。
会員会社は、金銭的支援等についてその情報を公開し、透明性を確保します。
会員会社は、患者団体との協働における活動項目や資金提供等については、その目的・内容等について、書面による合意を交わし、記録に残します。
会員会社は、患者団体に対し、医療用医薬品の広告・宣伝を行いません。
会員会社は、患者団体に対し、企業の利益のために患者団体の出版物の内容、発言等に影響力を行使することは行いません。
会員会社は、単独の支援者となることを条件とする支援は行いません。患者団体が活動のための資金を複数の提供元から調達することを推奨します。
会員会社は、患者団体に対する支援にあたってはその目的に相応しい会場および開催地とするなど、適正に支援を行います。
用語解説
患者団体
患者・家族、その支援者が主体となって構成され、患者の声を代表し、患者・家族を支えあうとともに、療養環境の改善を目指し、原則として、定款・会則により定義された役割や目的を持つ患者会および患者支援団体とする。
金銭的支援等
「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」公開対象を指す。
患者団体との協働
患者団体との交流、支援から共有の課題解決を目指す活動まで幅広い範囲とする。
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医療用漢方製剤・生薬製品情報概要等 作成上の留意点 | PDFをダウンロード |