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生薬の解説 : シャクヤク

シャクヤク (芍薬)

「立てば芍薬,座れば牡丹」とは,花の美しさに擬えたばかりでなく,芍薬や牡丹を薬として服用すれば,女性ホルモン分泌を整え,肌も美しく艶やかになるということが秘められている.その花の様子や美しさが「婥約」(姿がしなやかで美しいの意)としている.つまり,きわめて美しく麗しいことからきた名称である.  <「生薬単」より>


<原植物>

①原産地又は分布
  原産地は中国北部で,東シベリアから中国北部に分布する.

②植物形態
  高さおよそ60cmくらい.花は初夏の頃,枝の先端について上向き
  に開き,栽培品ではふつう直径10cmくらい.花弁は一重のもので
  は8〜13枚,色の変化が多いが白ないし淡紅色が多い.


<生薬>

①基原
  シャクヤク Paeonia lactiflora Pallas (ボタン科 Paeoniaceae)の根を乾燥したもの.

②産地
  日本 (北海道,奈良県,群馬県 等) 中国 (安徽省,四川省 等)

③生薬の性状
  円柱形を呈し,長さ7〜20p,径1〜2.5p.外面は褐色〜淡灰褐色で,明らかな縦じわ及びいぼ状の側根の跡と横長の皮
  目がある.横切面はち密で淡灰褐色を呈し,木部は淡褐色の放射状の線がある.
  特異なにおいがあり,味は初めわずかに甘く,後に渋くてわずかに苦い.(日局16)

皮付き 中国産 皮去り 日本産

④成分
  モノテルペン配糖体:ペオニフロリン(paeoniflorin),アルビフロリン(albiflorin) 等.
  その他安息香酸,ガロタンニン 等

⑤日局16 規格値
  ペオニフロリン     2.0%以上
  純度試験        (1) 重金属 10ppm以下
                (2) ヒ素 5ppm以下
  乾燥減量        14.0%以下(6時間)
  灰分            6.5%以下
  酸不溶性灰分      0.5%以下

⑥適用
  鎮痛鎮痙薬,婦人薬,冷え症用薬,かぜ薬,皮膚疾患用薬,消炎排膿薬とみなされる処方に配合されている.

⑦配合される主な漢方処方
  温清飲,黄耆建中湯,葛根湯,桂枝湯,桂枝茯苓丸,柴胡桂枝湯,四物湯,芍薬甘草湯,十全大補湯,小建中湯,
  小青竜湯,加味逍遙散,当帰建中湯,当帰芍薬散,薏苡仁湯 等




○生薬の品質を五感で判断する方法
  ・内部の色が白く太く充実したものが良品とされる.
  ・特有の香りが強く,渋味のあるものが良品とされる.

○生薬加工調製時の注意事項
  ・ガロタンニン等を含むため変色しやすいので,乾燥調製時等は,注意を要する.

○本品は,一般的に栽培されたものから調製され,白芍と称される.栽培期間は概ね4〜6年である.

○真芍と赤芍について
  ・真芍について
   一般的には皮去りで湯通ししたものが真芍と称される.
  ・赤芍については,諸説あるが概ね次の3通りである.
   @表面の皮を残し乾燥した物.(皮付き芍薬)
   A野生種から調製されたもの
   B中国の東北地方から内蒙古に分布する,基原の異なる木芍薬または草芍薬と称されるものから
     調製されたもの.

○代表的な成分の構造式