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生薬の解説 : センキュウ

センキュウ (川芎)

中国四川省が原産と推定されるが,わが国でも江戸時代の寛永年代以後,栽培される.本格的には明治の中期,北海道に始まり現在も大量に栽培されている.
中国の古典(「神農本草経」など)には,芎藭(キュウキュウ)と書かれているが,四川省産のものが良品とされたため,川芎という呼び名が生じたといわれている.この川芎に使われている「藭」や「芎」の字は,葉柄が弓状に曲がった様を表すものと考えられている.


<原植物>

①原産地又は分布
  日本(北海道 等)

②植物形態
  草丈30〜60p,茎は直立し,円柱形でまばらに分枝する.無毛.葉は2回羽状複葉で,淡緑色,最終裂片は卵形か狭卵
  形,根生葉は長柄があり,茎葉は互生する.花期は9月.茎の頂の複散形花序に白色の小さな花を多数つけるが結実し
  ない.


<生薬>

①基原
  センキュウ Cnidium officinale Makino (セリ科 Umbelliferae) の根茎を,通例,湯通ししたもの.

②産地
  日本 (北海道,岩手県 等)

③生薬の性状
北海道産
  不規則な塊状を呈し,ときには縦割され,長さ5〜10 p,径3〜5 pである.
  外面は灰褐色〜暗褐色で,重なり合った結節があり,その表面にこぶ状の
  隆起がある.縦断面は辺縁が不整に分枝し,内面は灰白色〜灰褐色,半
  透明でときにはうつろがある.本品の質は密で堅い.
  特異なにおいがあり,味はわずかに苦い.
  横切片を鏡検するとき,皮部及び髄には油道が散在する.木部には厚壁
  で木化した木部繊維が大小不同の群をなして存在する.でんぷん粒は,
  通例,糊化しているが,まれに径5〜25μm の粒として認めることがある.
  シュウ酸カルシウムの結晶は認めない.(日局16 第一追補)


④成分
  精油  1〜2 %:cnidilide,neocnidilide,ligustilide,senkyunolide,butylphthalide,butylidenephthalide などのフタリド類,
             ferulic acid 等を含む.

⑤日局16 規格値
  純度試験  (1) 重金属  10 ppm以下
          (2) ヒ  素  5 ppm以下
  灰 分         6.0 %以下
  酸不溶性灰分    1.0 %以下

⑥適用
  主として漢方処方用薬であり,婦人薬,冷え症用薬,皮膚疾患用薬,消炎排膿薬とみなされる処方に多く配合されている.

⑦配合される主な漢方処方
  温経湯,温清飲,応鐘散,葛根湯加川芎辛夷,芎帰膠艾湯,芎帰調血飲,荊芥連翹湯,五積散,柴胡清肝湯,酸棗仁湯,
  七物降下湯,治打撲一方,治頭瘡一方,四物湯,十全大補湯,十味敗毒湯,清上蠲痛湯,清上防風湯,折衝飲,
  川芎茶調散,疎経活血湯,当帰飲子,当帰散,当帰芍薬散,女神散,防風通聖散,抑肝散 等



○生薬の品質を五感で判断する方法
  ・肥大し,外面は暗褐色で内面が淡黄白色で,充実し,においも味も強いのが良品とされる.
   一方で茎の付いたものや,寒気で凍結し,「ス」が入り軽くなったものは上質とはいえない.
   また,結節の節間が延びて細長い根茎となり,節ごとに塊状根茎が数個連なっているものがある.
   これを「そろばん珠様」(ソロバンタマデ)と称し,質が劣るとされており,結節のしわの間に土砂を含んでいる
   ことがある.

○日本(日局)と中国(薬典)の川芎について
  中国薬典の川芎は,日本では,唐川芎と呼ばれて区別され,局方に適合しない.
  唐川芎:Ligusticum chuanxiong Hortorum (L.sinensis Oliver cv.chuanxiong Hortorum) が基原植物とされており,
  四川,甘粛,陝西,江蘇,安徽,江西,雲南など各省から産出される.香気が,日本の川芎に比べて強い.

○代表的な成分の構造式