制作物のご紹介 >> 日漢協ガイド >> JKMA GUIDE 2008

JKMA GUIDE 2008

2008年9月制作  ※「JKMA GUIDE」の内容の一部は、「日漢協について」でも紹介しています。

残留農薬に関する日漢協の取り組み

技術委員会 佐々木 博

日本漢方生薬製剤協会(日漢協)は、これまで残留農薬、アリストロキア酸、微生物など生薬汚染の原因となる物質に関しさまざまな取組みを行ってきた。 ここでは残留農薬についての取り組みを紹介する。
生薬の残留農薬問題は、1990年頃の国立衛生試験所(当時)の実態調査に端を発する。この調査でニンジンとセンナに農薬の残留が認められたことから、 日本薬局方に基準を設ける方向で検討が進められた。日漢協はこれら生薬を配合する漢方製剤及び生薬製剤を対象として、 1996年に残留農薬に関する自主基準を設定した。翌1997年、日本薬局方でニンジン、センナ、それらの末など計5品目に有機塩素系農薬(総BHC及び総DDT)の 残留基準が設定された(表1)。



2002年に中国産ホウレンソウなど輸入野菜に残留農薬が検出され、マスコミで大きく取り上げられた。これを機に中国から多く輸入されている生薬にも 関心が向けられ、タイソウなど数種の生薬に有機リン系やピレスロイド系農薬が残留していることが明らかにされた。 日漢協では自主基準の見直し作業を開始し、2005年と2006年にニンジン、センナに加え新たにオウギ、カンゾウなど11種の生薬を配合する漢方製剤と 生薬製剤を対象に、また農薬種も有機塩素系に加え有機リン系とピレスロイド系農薬についての残留基準を追加設定した。残留農薬に関する経緯の詳細と 日漢協自主基準の全体像をそれぞれ表1、表2に示した。



生薬含有製剤の安全性を保証するためにはまずチェックの強化、すなわち原料生薬(入口)と最終製剤(出口)の双方のレベルで農薬試験を強化することが重要である。 次に、これは残留農薬問題の根本解決に向けての活動となるが、内外の生薬栽培地における農薬使用実態の把握、適切な農薬使用の推進、栽培指導の強化などが 今後の課題である。日漢協では自主基準見直し直後の2005年10月に、風間会長を団長とする訪中団を派遣した。中国衛生部をはじめ関係行政や関係団体を訪問し、 日本薬局方や日漢協自主基準に対する理解、農薬の使用実態調査への協力、適切な農薬使用の推進、安全かつ品質の一定した生薬の供給などを求めた。 こうした交流を継続することも重要で、今も日中双方の努力が続けられている。

「漢方製剤・生薬製剤・生薬用語の英語表記」の必要性について

用語検討班 佐々木 博美

この度、平成18年度からの厚生労働科学研究「生薬及び漢方処方の有用性評価方法・安全性確保と国際調和に関する研究」(主任研究者:国立医薬品食品衛生研究所生薬部・合田幸広部長)の分担研究「漢方処方の同等性並びに品質確保等に関する研究」のサブトピックのひとつとして、「漢方製剤・生薬製剤・生薬用語に関する英語表記(第1集)」がまとまり、平成20年8月20日発刊の『生薬学雑誌』に掲載された。

伝統薬の価値が国際的レベルで見直され、わが国からも漢方製剤や生薬製剤、生薬についての世界への情報発信が増加している。こうした流れの中で、日本漢方生薬製剤協会(会長:風間 八左衛門)は、これまでの研究や調査結果をまとめる際、「漢方・生薬製剤関係の英語表記が業界でも統一されていない」ために、論文や説明資料を読んだ外国人にはどの製剤を指すのか正確な理解をしがたいとの指摘を受けた。

一方で、残留農薬の問題などが報道された際には漢方製剤とそうでないものが混同されて公表されたために、漢方製剤を服用している患者さんに不安を与える結果となっていた。こうした用語の誤った使用の背景は、一般的に知られている漢方薬という用語を類似したカテゴリーの薬剤全ての代表として使用するのが簡便で都合がよいことにあると思われる。

こうしたことから、研究、調査結果のまとめや記事の執筆を正確にしていただくために、また報道記事を掲載する際には正確な情報を読者に提供していただきたい思いから、「漢方製剤・生薬製剤・生薬用語の英語表記」を厚生労働科学研究のサブトピックのひとつとして編集することとした。化学医薬品とは異なり、漢方製剤、生薬製剤、生薬についての言い回しは特殊な面をもち、そのために今回収載される用語には解説を加えて理解を深められるように配慮した。

編集には合田生薬部長を初めとして、慶應義塾大学薬学部・竹田忠紘教授、(独)医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター・木内文之センター長、千葉大学名誉教授/製剤機械技術研究会 仲井由宣名誉会長、日本漢方生薬製剤協会委員があたった。

漢方製剤・生薬製剤・生薬用語については日本東洋医学会などが用語の英語表記統一にご尽力されている。日本漢方生薬製剤協会は薬剤関連用語に的を絞り、医学用語については日本東洋医学会などにお任せすることとした。今回の第1集に収載した用語は、基本的なもの、誤解を受けやすいものに限定したため、決して数は多くはないが貴重な用語集となっている。

この用語集は平成20年9月9日に日漢協ホームページにも掲載された。編集委員の先生方と協力してホームページにアクセスする利用者にとって使いやすいものに再編集され、論文執筆される研究者の方々、報道関係の方々、および一般の方々にも見易く調べやすい内容に替えて掲載された。今後は用語の枠を拡大し、第2集の編集に取り掛かる予定となっている。