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日漢協 ニューズレター 55号

(第19巻 第1号)2002年6月

生薬学教室を訪ねて[29]  35年にわたりセリ科生薬の研究一筋

大阪薬科大学生薬科学教室  馬場 きみ江 教授
全国に先駆け大学付属薬局を設置
“21世紀は薬学の時代”を掲げ、新たな薬科大学を目指す大阪薬科大学は、再来年に創立100周年を迎える我が国でも指折りの歴史と伝統を有する薬学の府として知られています。
明治37年(1904年)に大阪・道修町に創設された大阪道修薬学校が前身の同校は、幾多の変遷を経て今日に至っていますが、その長い歴史の中で特筆すべきは、 大正14年(1925年)に道修女子薬学専門学校を設立、校名を帝国女子薬学専門学校と改称し、我が国最初の女子薬専として新たなスタートを切ったことです。 因みに、大正10年に廃止された男子部は後の大阪大学薬学部に引き継がれています。
その後、昭和7年(1932年)に府下南河内郡北八下村字河合(現・松原市)に移転。第二次世界大戦後の同24年、校名を帝国薬学専門学校と改称、再び男女共学制となり、 翌25年には学校教育法により大阪薬科大学の設置が認可され、今日の校名となりました。60余年にわたり過ごした松原市から現在の高槻市への移転は、平成8年(1996年)。 なだらかな丘陵地帯に広がる広大なキャンパスは18,000坪に及び、豊かな自然に囲まれています。
キャンパスの移転を機に次々と新機軸を打ち出す同大学の動きは各界から注目されています。その一つが全国の私学に先駆けて設置された大学付属薬局です。 地域医療に貢献する薬局を目指し、平成11年11月に阪急京都線高槻市駅のほど近くに開局しました。保健薬局として市民の健康管理と増進に寄与するだけでなく、 地域の薬剤師・薬局に対する情報や研修機会の提供も行っています。薬局の待合室の一角にはミニミニ薬草園があり、薬草の薬効を知るとともに薬草の成長を居ながらにして楽しめると、 好評を博しています。

注目されるアシタバの研究
従来、同大学には第1生薬学教室と第2生薬学教室がありましたが、昨年秋の組織改編に伴い、前者は機能分子科学研究室、後者は生薬科学教室となり、馬場先生を筆頭に谷口雅彦助手、 客員研究員2名、研究生2名、院生5名、4年生19名で構成されています。
生薬を科学だけに限らずに、成分や薬効など広い意味で学ぼうとのことから、生薬科学教室と名付けられたそうですが、同郷質では生薬成分の単離、構造解析を行うとともに、 その生薬の持つ薬効、用途に基づく多方面からの生理活性の検討を行っています。
なかでもセリ科生薬の研究は先々代の秦教授、先代の小澤教授の時から35年の長きにわたって続けられ、フェノール性の化合物のクマリン、クロモン、フラボノイドの研究には定評があります。 日本産のセリ科植物の研究はほぼ終了し、現在は中国産のセリ科植物の研究を手掛け、北京の中国中医研究院、南京の江蘇省植物研究所と共同研究に勤しんでいます。
昨今、研究課題としているのがアシタバ、その他、薬と食べ物やサプリメントとの相互作用の研究にも力を入れており、それらの成果はマスコミからも注目されています。