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日漢協 ニューズレター 56号

(第19巻 第2号)2002年9月

生薬学教室を訪ねて[30]  血栓予防、動脈硬化予防を目的に天然生理活性物質の探索

神戸学院大学薬学部生薬・天然物化学研究室  佐武 紀子 教授
薬剤師国家試験合格率トップレベルを維持
体質医学の世界的権威・森茂樹博士により創設された神戸学院大学は、昭和41(1966)年わが国最初の男女共学の栄養学部栄養学科の単科大学として呱々の声を上げました。

「真理愛好・個性尊重」を建学の精神とする同大学の母体は、森博士の母・森わさ女史が明治45(1912)年に創立した森裁縫女学校。以来、高等女学校、学制改革による高等学校、短期大学、大学が創設され、今日に至っています。

栄養学部からスタートした同大学は創設の翌年に法学部、経済学部を、ついで昭和47年に薬学部を解説。平成2(1990)年には人文学部が増設され、現在、人文・社会・自然の3分野に5学部10学科と全学部に大学院博士家庭を擁する総合大学として発展しています。

解説以来、今年でちょうど30周年の節目の年を迎えた薬学部は、薬学科と生物薬学科の2学科を設置。生物、薬剤、薬学の3つを研究分野の柱に、医療の担い手としての自覚と実践力を持って活躍できる薬剤師を育成することを目指しています。

同大学の特色として知られているのは、まず、薬剤師国家試験で全国トップレベルをコンスタントに維持していることです。国家試験対策ばかりでなく、卒業研究にも注力、ポスターセッションによる研究が課せられています。

アットホームな学園としても知られ、一年次から担任制を取り、薬学科か生物薬学科か学科選択を行うのは三年次の末となっています。この他、アメリカ薬学研修を定期的に実施、病院・薬局実習が必修となっており、基礎をしっかり学ぶことに力を入れています。

東京理科大学から赴任され18年になる佐武先生の指導の下に、同権吸湿は神谷浩平助手、大学院生3名(内1名が中国からの留学生)、4年次生12名(男子3名、女子9名)で構成されています。

元来、同研究室ではインドネシアのジャムウに用いられる薬用植物の成分研究を行っていましたが、現在、「血栓予防及び動脈硬化予防を目的とした天然生理活性物質の探索」をテーマに、各国(主として日本、インドネシア、中国、トルコなど)民間薬として使われている抄訳の生物活性成分の構造研究を行っています。これは文部科学省の助成により、栄養学部と共同で研究しているハイテクリサーチプロジェクトの一環であり、その成果が期待されています。

この他、動物の解剖として地竜の抗血栓作用実験をラットを用いて行ったり、活性成分を植物組織培養で生産する実験なども行っています。

昨今、佐武先生が意欲的に取り組んでいるのが漢方です。さまざまな勉強会、研修会で医師に交じり漢方理論の習得に余念がありません。「生薬学は縮小傾向にあり、これから生き残るには漢方だと思いますね」。先般の生薬学学会では、医療(臨床)薬剤師の育成に尽力されている福山大学の岡村先生と意気投合されたとかで、さらに漢方への情熱を燃やされています。