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日漢協 ニューズレター 58号

(第20巻 第1号)2003年6月

巻頭言  薬事法改正と今後の薬事行政について

厚生労働省医薬局
審査管理課長

安部 道治
薬事法につきましては、昭和35年8月に公布、翌昭和36年2月より施行され、本年で施行後41年を迎えました。この間、数次の改正が行われており、今次の改正は、昭和35年に薬事法が制定されて以来の大改正となりましたが、狙いは大きく分けて3つあります。

一つ目は、ライフサイエンスの時代である21世紀においては、バイオ、ゲノムといった技術が一層進展することが見込まれており、医薬品・医療機器等の分野においても、その技術が画期的な創薬に結びついていくことが着たいされていることから、医薬品・医療機器等の産業の伸長も大きく期待され、新しい時代に対応することにふさわしい制度を創設する必要性に対応することであります。

二つ目は、グローバル化する企業活動、国際化の流れに対応する制度、そして、ICH及びGHTFの国際調和に対応するための制度を確立する必要性に対応することであります。
三つ目は、医薬品・医療機器等による健康被害の発生という思い歴史を踏まえ、健康被害の発生防止と安全性の確保を行っていくことであります。

こうしたねらいをうけて、今回の法律改正においては、一つ目の柱といたしまして、医療機器の構成の複雑化や医療の高度化に対応して、保健衛生上の観点から、各種の安全対策の一層の充実を図るために、医療機器に係る安全対策を抜本的に見直すこととしたことであります。

二つ目の柱といたしまして、生物由来製品に関する安全対策を充実することとしたことであります。人又は動物の細胞、組織等に由来する原材料を用いて製造される生物由来製品については、その高い有効性に期待が寄せられており、今後、科学技術の進展に応じた新しい製品の開発が更に促進されることが見込まれております。そのため、医薬品、医療機器を通じて、生物由来であるというこの共通の特性に着目し、原材料採取・製造から市販後に至る、一環した安全確保体制を導入することにより、これらの製品に係る安全性の更なる向上を図ることとしております。

三つ目の柱といたしましては、現行の承認・許可制度を改め、市販後安全対策の充実・強化、欧米の許認可制度等との国際性合成の確保等の観点から、現行の製造業からいわゆる元売行為を分離し、製造の前面委受託も可能な制度に改めることとしたことであります。

その後の改正事項では、臨床研究に関して、医薬品・医療機器メーカーが未承認の薬物・機械器具等を医師が独自に行う臨床研究のために提供することは認められていない現状を踏まえ、それらの臨床研究に係るし成果の活用の可能性を拡大するため、医師・医療機関が主体となって行う臨床研究のうち承認申請を目的とするものについては、薬事法上の治験の概念に含めることにより未承認の薬物・機械器具等を臨床研究を行う医療機関に提供することを可能とすることとしたことであります。

当該法案の施行につきましては、生物由来製品及び医師・医療機関が主体となって行う医薬品の知見の取り扱いにかかわる規定等は、本年7月30日に施行することとしており、その他の規定については公布日から起算して3年以内で施行することとしております。

また、薬事法改正案の成立に伴い、上記の施行時期にあわせ、今後、政令及び省令等の下位法令を整備し、関係者への周知等を行っていく予定であります。

医薬品等の承認審査の実施体制につきましても、新たに医薬品等に係る研究開発業務、医薬品調査等業務及び救済給付業務を行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構が平成16年4月より業務を開始することとしております。

厚生労働省といたしましては、新しい時代に対応した、医薬品・医療機器等の安全性の確保のための対策及び新たな承認審査体制の構築に向け、これからも、諸課題の一つ一つに全力で取り組む所存ですので、医薬行政に対し、これまで以上のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。