制作物のご紹介 >> ニューズレター >> 日漢協 ニューズレター 58号

日漢協 ニューズレター 58号

(第20巻 第1号)2003年6月

トピックス


第6回市民公開漢方セミナー
もう生活習慣病に負けない  漢方の知恵でより健やかに 木下優子先生、体操を交え熱演
漢方の基礎が分かりやすく学べると好評の市民公開漢方セミナーが、4月16日(水)東京・新宿区の四谷区民ホールで開催された。6回目を迎えた当セミナーは時宜を得たテーマとあって、450人収容のホールはほぼ満員となった。
主催者代表として中川健副会長(カネボウ薬品(株)社長)が、「一般の市民、患者さんに漢方を正しく知っていただくことを目的に開催しています」と開催挨拶。続いて、昨年に引き続き、日本大学医学部付属板橋病院東洋医学科の木下優子先生が「もう生活習慣病に負けない−漢方の知恵でより健やかに−」をテーマに、どんな養生法がいいのか、どんな漢方薬がいいのかについて講演された。


生活習慣病を防ぐ数々の漢方薬

木下先生はまず、生活習慣病とは何かについて、「生活習慣病は病気の名前ではなく、日常生活の習慣によって引き起こされる疾患の総称であり、ほとんどの病気が、初期は症状がなく、進行すると重篤な疾患に発展する。サイレント・ディジーズといわれるように、最初は症状がないために侮っていると、最後に怖いことが起こるのが特徴」と述べた後で、具体的な疾患として、高血圧、高コレステロール、肥満、動脈硬化、脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞、高尿酸血症、ガンの一部、肺気腫、慢性気管支炎、歯周病などを指摘。
続いて、生活習慣病の原因となる生活習慣として、食生活、飲酒、喫煙、運動の他に住環境、職場環境等が含まれ、これらの偏りによりもたらされる。健康寿命を延ばすためには生活習慣病を未然に防ぐことが大切であり、日ごろの養生が欠かせないと協調され、「漢方ではもともと養生が重要視されてきた。養生とは生活習慣上の注意であり、漢方の医者にとって病気になった人を治すより、まだ病気になっていない人を、上手に養生に導くことで治すことがいい医者と言われている」と漢方の考え方を紹介。
その後、生活習慣病にならないための日ごろの心掛け・養生法について、食生活を中心に説明した後、八味地黄丸など生活習慣病を防ぐ個々の漢方薬に触れ、最後に「簡保言うには生活習慣病に有効な薬がたくさんありますが、病気になる前に病気を防ぐことが大切・・・」と力説された。
講演の合間には、参加者全員が体操で体をほぐしたり、大声をあげるパフォーマンスもあり、会場は大いに盛り上がった。都下から訪れたという聴衆は、「今回、知人に誘われて初めて参加しました。今まで簡保言うには縁がありませんでしたが、漢方の良さを身をもって知りました。さっそく実践したいと思います」と興味深く語っていた。



日本東洋医学会との共催・市民公開講座   漢方いきいき健康法
丁 宗鐵先生「東洋医学で健やかな人生を」  二宮文乃先生「アトピー性皮膚炎は漢方で治そう」
日本東洋医学界との共催・市民公開講座が5月16日(金)福岡市のアクロス福岡、4回国際会議場で開催された。
(社)日本東洋医学界との共催による市民公開講座は、平成12年に京都でスタート依頼、一昨年の札幌、そして昨年の名古屋に続き4回目となるが、漢方への関心がひときわ高い九州での開催とも相まって、会場には九州一円から聴衆が訪れ、丁宗鐵、二宮文乃両先生の講演を熱心に聞き入っていた。

総論と各論の両面から漢方を解説


市民公開講座は3部構成で行われ、第1部は順天堂大学医学部客員助教授の丁宗鐵先生が「東洋医学で健やかな人生を」と題し、第2部はアオキクリニック院長の二宮文乃先生が「アトピー性皮膚炎は漢方で治そう」と題して講演された。第3部は「漢方よろず相談」、参加者からの質問に両先生が答えるという形で進められた。
最初に登場した丁先生は、まず、漢方という言葉について、「江戸時代の中期にヨーロッパから入ってきた蘭方に対し、漢方という言葉ができた。それ以前は医学と呼んでいた」と、その経緯を解説されてから、漢方の健康観、養生について、東洋の薬と西洋の薬の特徴について、漢方の基本的な考え方である虚証、実証などの体質について、そして、まだ病気にはなっていないが、確実に病気の方に向かっているような状態である未病について論を進めた。
スライドを交えて行われた丁先生のメリハリの効いた講演は、大学のベテラン漢方医の形容どおり、分かりやすく、とても参考になったと好評だった。
丁先生の総論に対して、二宮先生は、昨今深刻な問題となっているアトピー性皮膚炎の実際の治療の仕方について、二台のスライドを用いて講演。生まれつき皮膚が敏感な人にいろいろな刺激が加わり発生すると述べてから、乳児期、幼児期、小児期、成人期の症状と治療法について、具体的に解説された。
治療前、治療後とその経過が一目瞭然のうえ、文字通り患者さんの立場に立った治療方針が随所から伝わり、聴衆は息を飲んでスライドに見入っていた。
第3部の「漢方よろず相談」では、健康食品と漢方薬の違いなどの質問があり、両先生の懇切丁寧で明快な回答に会場からはひときわ高い拍手が送られた。