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日漢協 ニューズレター 59号

(第20巻 第2号)2003年10月

巻頭言  血液事業の新たな法的枠組みについて

厚生労働省
医薬食品局血液対策課長

金井 雅利
我が国の血液事業は昭和31年に制定された「採血及び供血あっせん業取締法」(採供法)と昭和39年の閣議決定「献血の推進について」を根拠に推進されてきましたが、国内の献血を軸とする血液事業の法的枠組みはありませんでした。このため、関係者の長年にわたる議論により、採供法を全面的に改正する「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」(血液法)が平成14年7月31日に成立し、平成15年7月30日から施行されました。
血液法は、4点の基本理念を揚げています。それは(1)血液製剤は安全性の向上に配慮して、製造・供給・使用すること、(2)国内自給を基本として血液製剤の安定的な供給を確保すること、(3)血液製剤を適正に使用すること、(4)血液事業に係る施策の策定及び実施に当たって公正の確保と透明性を向上することです。
この基本理念を実現するために、血液事業に携わる関係者(国、地方公共団体、採血事業者、血液製剤の製造業者(製造業者、輸入販売業者及び販売業者)及び医療関係者)の責務が規定されています。例えば、国は、血液製剤の安全性の向上、安定供給の確保に関する基本的かつ総合的な施策をし、実施する責務があります。これに関連して、厚生労働大臣は、今後5年間の血液事業の基本的な方向を示す基本方針など、3種の法定計画を定めることとされています。
また血液製剤の製造業者にも、安全な血液製剤の安定的かつ適切な供給、安全性に関する技術の開発・情報の収集・提供に努める責務があります。血液製剤は、人の血液を主たる原料としていることから、薬事法において特定生物由来製品に指定されており、原材料採取の方法、製造管理、品質管理、記録の保存等について、通常の医薬品よりも付加的な基準が課せられています。さらに、原料となった血液の採血国及び採血方法を直接容器又は被包に表示することとされています。
加えて、薬事法に基づく感染症定期報告のうち、血液製剤に関するものについては、厚生労働大臣は、薬事・食品衛生審議会に報告し、必要に応じて、安全性の向上のための措置を講ずることとされました。同審議会で血液事業を担当する血液事業部会には、血液製剤の安全性に関する情報を共有し、機動的に対応するための運営委員会が設置され、血液製剤を使用する患者側の代表等を委員として、血液製剤の安全性の監視が行われています。
このように、血液事業の法的枠組みが整えられましたが、今後は、国及び関係者の一層の連携・協力により、血液法に規定された事項を実効あるものとしていくことが重要です。血液事業に対し、これまで以上の御理解と御協力を贈りますようよろしくお願い申し上げます。