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日漢協 ニューズレター 60号

(第20巻 第3号)2004年1月

日漢協専門委員会 活動状況報告


総務委員会
委員長 足立 保敬(株式会社ツムラ)

日漢協が進めている -漢方の新しい展開21- における最重点テーマの一つである「漢方薬の経済学的特徴に関する研究」について検討を重ね、委託研究者との最終調整、委員会での報告・討議を経て8月理事会において実施が決定され、10月に契約締結の運びとなった。
11月末から第一段階として医師並びに一般者に対するアンケート調査が開始され、年度内にその結果の分析・報告書のとりまとめがなされる予定である。
また16年度の理事会日程について、従来は東京及び大阪での開催であったが、16年度からは名古屋で一回開催する方向で検討し、理事会に諮り、了承された。その結果、東京開催4回、大阪開催1回、名古屋開催1回となる。
なお上半期の協会収支について事務局報告があり、収入は進捗率63%、支出は進捗率47%で、全体として順調な推移であった。
また新たな検討テーマとして、今日諸規則の見直し・整備の必要性が協会事業の充実とともに高まっていることを鑑み、検討に入ることとした。

国際委員会
委員長 藤原 哲夫(株式会社ツムラ)

2003年2月21日、FDA組織内に植物薬審査チームが正式に設立され、治療的有用性を評価し一定の手続きを踏むことで植物製剤でも医薬品として認可されうる見通しが立ったことは全豪での既報の通りである。最終的な「植物薬ガイダンス」が発表されることを今や遅しと待ちかねているところであるが、現時点(12/5)で未公表である。
国際委員会としては最終ガイダンスが公表され次第1〜2ヶ月以内をめどにガイダンス内容の詳細を会員会社各社対象にレクチャー形式で伝えられるよう準備を進めている。
11月12日に中華民国行政院衛星署薬物食品検験局から2名の訪日団があった。かねて日漢協あてに日本国内の生薬・生薬製剤の品質規格について研修したい旨の申し出が寄せられていたため、教会として会員会社ツムラの向上、研究所を見学して頂いた。その過程で分かった事として、台湾で薬局方の制定計画があり、その準備を兼ねての訪日との事であった。
また多大な関心を寄せたのは、(1)3D-HPLC、(2)重金属検出技法、(3)植物遺伝子操作技術、等であった。一行は9日から12日の日程で、国立医薬品食品衛生研究所、同つくば薬用植物栽培試験場、東京都立薬用植物園等を視察し18日に離日した。

企画委員会
委員長 徳岡 康雄(小太郎漢方製薬株式会社)

以下の講演会を開催した。

(1)平成15年7月17日、日漢協会議室において、「医療制度改革の動向」と題し、厚生労働省医政局高倉信行経済課長に講演をしていただいた。医療制度改革の動向として、医療制度、診療報酬体系、薬価制度の改革等につき、今どのようなスタンスで議論がなされ、何がポイントになっているか詳細にお話をいただいた。
厚生労働省の医療の改革基本は、医療の中身をどうするか、サービスを安定的に提供していけるか、質が高くなっているか等の観点にあり、その観点から財政問題を含めて改革していく考えである。
ワシントン条約関係では、締約国会議が平成16年タイで開催の予定である。動物種については陸棲のものから海棲のものに移行しており、環境問題、動物保護問題より、ワシントン条約の一層の厳守を要望された。
(2)平成15年9月18日、日漢協会議室において、「これからの医療保険制度」と題し、日本薬剤師会専務理事石井甲一先生に、[1]医療を取り巻く環境[2]医療制度改革[3]規制緩和[4]医薬分業の動向等についてお話をいただいた。
急速な高齢化により、複数の疾患を有し、長期投薬される患者が増えることにより、薬の飲み合わせの安全対策や市販後安全対策は重要と強調された。
医療に対する国民の関心は益々高まっており、質の高い、分かりやすい情報の提供(有効性、安全性、適正使用等)の重要性を述べられた。
規制緩和問題にも触れられ、日本薬剤師会としては「医薬品のままで薬局・薬店以外での販売」は、安全性の観点から反対である。又、これらの規則緩和はOTC類似薬、薬価等医薬品全体に係わる問題と捉えているので、連携して反対運動を展開したいと述べられた。

技術委員会
委員長 佐々木 博(株式会社ツムラ)

日本薬局方第15改正(2006年4月)で漢方製剤を局方収載すべく、昨年6月に生薬等委員会の下に「漢方処方の原案作成WG」(座長:合田生薬部長)が組織された。
このWGを中心に、現在、精力的に検討が進められている。葛根湯など18種の収載候補処方について各条(案)の作成作業に入っている。
14局第2追補に収載予定の生薬10数品目については現在最終的なツメの段階にあり、近く『JPフォーラム』に掲載される。収載予定生薬の中には局外生規からの品目に加え、カンキョウやブシも含まれる。
昨年6月にサンシュユなど4種の生薬に残留農薬が検出された。これら4種の生薬が配合されかつ比較的使用頻度が高い漢方エキス製剤の中から補中益気湯など17処方を選び、(財)日本食品分析センターに試験を委託した。昨年11月に分析結果を入手したが、これら17処方に有機リン系(パラチオンなど4種)およびピレスロイド系(フェンバレレートなど2種)農薬はすべて「検出せず」という結果であった。不純物試験法部会では、さらに漢方製剤の安全性を確保すべく、「漢方製剤に関する残留農薬自主基準(仮称)」の作成に向け検討を進めている。
GMP部会では、改正薬事法の政省令発出に伴い、GMPに関して種々のケーススタディを行っている。
また、『生薬管理責任者のためのハンドブック第V部』を作製中であり、今年度末の刊行を予定している。

生薬委員会
委員長 伊藤 親(株式会社ウチダ和漢薬)

原料生薬における残留農薬問題への取り組みについて原料生薬を扱っている会員会社を中心に検討を行うこととし、当委員会の未加入の会員会社に参加をお願いし、新たに4社入会していただいた。これにより今後、具体的な検討に入ることになった。
栽培部会では、「薬用植物の優良な栽培方法とその生薬の品質確保に関する指針検討会(GACP検討会へ名義変更)」への対応として、“日本版GACP(案)”の検討結果及び日本国内の野生生薬について使用状況調査結果を“GACP検討会”の議長である関田先生に提出した。また「ミャンマーにおけるケシ代替植物の開発研究」について、今年度も当協会より協力研究員を派遣する事になった。
品質部会では、第14改正日本薬局第二追補の新規収載品目(19品目)の基源及び性状を中心に検討し、その結果を生薬等A委員会へ報告した。
また“生薬管理責任者のためのハンドブック(パートV)”についても技術委員会と協力しあいながら検討を開始し、本年度中に終了する予定である。
流通部会では、「一般用医薬品としての生薬製剤(西洋ハーブも含む)の審査のあり方に関する検討会」において、使用実績のある民間薬の流通適正化に向けて流通量等を中心に調査を開始した。
ワシントン部会では、厚生労働省経済課よりSARSの関係で日本に輸入の障害がおきている動物生薬はないか、調査依頼の連絡があり、日本生薬連合会と合同で調査した。その結果、生薬「反鼻」に輸入障害が起きている事が分り、その旨報告した。

薬制委員会
委員長 巽 義男(カネボウ薬品株式会社)

平成17年度に施行予定の改正薬事法に関しての意見募集(パブリックコメント)が厚生労働省より実施された。平成15年の医薬品製造管理者講習会で提出された意見・要望は約2500件に達していることが報告された。また、GMPに関する意見募集も9月末を期限として実施され、500件の意見・要望が提出されている。
平成15年内には厚生労働省において寄せられた意見・要望を取りまとめたうえで政・省令が発出される予定となっている。11月末時点での今後のスケジュールは、平成15年内に薬事法施行令の公布、平成16年1、2月には施行規則及び厚生省令(GVP、GQP等)が公布される予定である。GMPについては3月末をめどに公布の予定である。
一方、マスターファイル登録については厚生労働省内に検討会が設置され、9月までに3回の会議が行われている。9月4日開催の検討会では、「一般用医薬品、殺虫剤、医薬部外品、漢方生薬については特殊な工程を除きマスターファイルに登録が必要とされるレベルの承認事項はない」と説明が事務局よりあった。
なお、漢方エキス製剤のマスターファイル登録については、検討会事務局(厚生労働省医薬食品局審査管理課)より非公開部分(ノウハウ)の有無の確認があり、9月末を期限に事例の提供を薬制委員会並びに理事会で依頼した。
その結果、事例の提供はなかったが、検討会事務局には各社よりマスターファイル登録の要望があった場合は受け入れてもらえるよう検討頂きたい旨の申し入れを行った。

再評価委員会
委員長 市尾 義昌(株式会社ツムラ)

黄連解毒湯「高血圧症随伴症状」のGPMSP適合性調査では、中心会社の株式会社ツムラより医薬品機構への回答書提出が完了した(平成15年10月6日付)。
その他の6処方9試験(小柴胡湯「感冒」「胃炎」、小青竜湯「気管支炎」、六君子湯「上部消化管機能異常」、桂枝加芍薬湯「過敏性腸症候群」、白虎加人参湯「薬剤性口渇」「アトピー性皮膚炎の熱感・口渇」、芍薬甘草湯「肝硬変に伴う筋痙攣」「月経痛」)についてもGPMSP適合性調査は既に終了しており、その結果と試験成績を合わせ、再評価の審議が行われる。
試験成績資料に関しては、審査センターから8月下旬に照会事項が提示され、中心会社の株式会社ツムラ及びカネボウ株式会社では回答書案作成の作業が進められている。平成16年1月23日には第13回再評価委員会を開催し、両中心会社より回答書案作成の状況について報告される予定である。
各試験ともにこれまでの使用経費については既に分担金清算が終了しているが、今回の照会事項等への対応に要する経費(再解析費用や医療機関への訪問等に掛かる出張旅費等)についても、結果通知後改めて最終的な分担金清算が行われる見込みである。
なお結果通知の時期等、今後の審査スケジュールについては今のところ未定である。

医療用製剤委員会
委員長 酒井 博(株式会社ツムラ)

―漢方の新しい展開21―の重点テーマを中心に、各部会、検討班において以下の活動を行った。また、総務委員会が主管となって行う「漢方薬の経済学的な特徴に関する調査」については当委員会も協力して行くこととした。

保険薬価研究会

中央社会保険医療協議会等の審議内容について解説を行った。薬価専門部会において次期薬価制度改革の基本方針のたたき台が示された。具体的には、既収載医薬品の薬価改定ルール、新規収載医薬品の薬価算定ルール等についてである。
特に日漢協に係わる既収載医薬品の薬価改定ルールの検討事項として示された主な項目は、「薬価改定における調整幅方式」、「後発品のある先発品の薬価改定」、「再算定ルールの見直し、」「その他(新たな再算定ルールの導入)」であった。
後発品のある先発品の薬価改定(特例引下げ)において、漢方製剤は先発品・後発品の区別が規定されない為、現時点では特例引き下げの対象から除外されている。

有用性研究部会

漢方EBMに関する事項としては、これから日本東洋医学会が実施予定の医師主導の治験について関連する情報などを提供し、協力関係を取りながらフォローしている。
平成16年度研究助成事業については、関係学会や雑誌などへの告知作業を実施し、11月末時点で10件の応募があった。選考委員も昨年と同様5名に委嘱し快諾された。
医療用漢方製剤の効能・効果の整備については、WGを設置し具体的な作業手順を詰めて作業を開始した。第一段階として、効能・効果に関する基礎資料(効能効果の標準病名マスターによる読み替え、処方別・効能効果別の臨床論文の抽出とエビデンスレベルの調査等)の作成を開始した。

医療用漢方製剤改良検討班

国立衛研における「漢方の品質保証技術に関する化学的研究」に日漢協としても関わる方向で技術委員会に提言すべく、検討中。
局方収載関係(ミニマム規格)は技術委員会の方で担当し、改良検討班では自主的な上乗せ規格について検討していくこととした。

一般用製剤委員会
委員長 大窪 敏樹(カネボウ薬品株式会社)

くすり相談部会

「一般用漢方生薬製剤相談事例集Q&A」改訂版の発刊を目指して、漢方・生薬製剤相談事例を一般用製剤委員会委員から広く募集している。集まった事例について、部会の中で4グループを編成し、エビデンスの収集及び回答の作成を行っている。

処方部会(一般用漢方210処方の整備)

厚生労働科学研究『一般用漢方処方の見直しに資するための有用性評価(EBM確保)手法及び安全性確保に関する研究』(平成15〜17年)〔主任研究者:国立医薬品食品衛生研究所 合田生薬部長〕により研究が開始された。
10月下旬に合田先生より日漢協に協力要請があり、理事会で承認された後、日漢協から協力研究員として参画することとなった。
本研究に関する活動は以下の通り。

(1)一般用漢方処方の有用性評価のための手法の確立

使用実態調査AUR(Actual Use Research)の手法確立を目的に、市販漢方製剤を用いて購入者の満足度を調査する研究班会議(第1回 12月17日)に参加。

(2)210処方の見直し

追加候補処方の文献調査、効能・効果の見直し等について協力する。

安全性委員会
委員長 篠原 宣(株式会社ツムラ)

10月27日から、副作用報告の電子化が始まった。現在までの各社の経過をみると特に問題なく対応しているようである。しかし、従来の副作用報告を行う時に問題が発生することが予想されるので、まだまだ1〜2年経過を見ないと予断を許さない状況かと思われる。
改正薬事法で医療関係者の義務となった「医薬品・医療用具等安全性報告制度」も7月30日から動き出した。また、日薬連発第475号(7月30日付)で連絡があったように、従来は医療機関から厚労省に報告された症例が企業にフィールドバックされることはなかったが、今後は第一被疑薬を製造している企業に対して情報提供されることとなった。
そのため、各社厚労省に届けられた副作用情報からのFAXを受理し、対応件数が徐々に増えている状況である。大部分は薬剤師による既知の軽微な副作用であり、処方医と副作用評価について見解が異なることもあるため、問題が明らかになるのはこれからであろう。
11月20日に大坂で開催された第122回日漢協理事会では、以上の2点と、10月21日の第8回安全性委員会の特別講演会で解説された「OTCのGVP手順書モデル案」の要点を報告した。このモデル案は大衆薬協の情報表示部会で作成したものであり、OTCのGVP手順書はOTCの製造販売承認を維持するための許可要件になったため、俄然重要性を帯び注目の集まっているものである。
当日は理事会ということで各社の代表取締役の方々が多く参加しておられたため、手順書案の冒頭に記されている「代表取締役の業務」に拘わる5項目について重点的に報告した。
これを要約すると、(1)手順書を作成しなければいけないこと(2)安全管理責任者の業務遂行する際の支障がないようにすること(3)社内関係各部門との連携を図り得られた情報を活用すること(4)手順書に基づいてきちっとやっていることを安全管理責任者にチェックさせること(5)手順書を関係部門に常備させるなど手順書通りの安全管理を機能させることである。

医療用製剤流通適正化委員会
委員長 三浦 治(カネボウ薬品株式会社)

流通適正化委員会では、医療用漢方・生薬製剤の流通適正化に向けた課題ならびに情報提供のあり方について、業界および企業として、今後如何に取組むべきかを平成15年度の主テーマとして「医療用漢方・生薬製剤流通ビジョン」の策定、ならびに「日漢協プロモーションコード」の改定を掲げている。
医療用漢方・生薬製剤流通ビジョンの策定に関しては、現在アンケート内容をまとめる前段階として、流通適正化委員会として優先的に取組む事項、再検討が必要と思われる事項及び局所的であり検討し難い事項3項目に分類して作業をしている。項目分類の他に、検討内容が他委員会に委ねるのが妥当と考えられる事項もあり、同時並行で進めている。
一方、日漢協プロモーションコード改定に関しては、改定個所、内容(本年2月に開催した流通適正化委員会での5項目)等具体的な検討に着手した段階である。
しかしながら、本年度にも改定が予想される製薬協のコード改定を待った上でコード改定を行うことが妥当なのか結論は出ていない。いずれにしても、製薬協のコードを基本として、漢方の独自性を組み込む内容に変わりはない。

医療用製剤教育研修委員会
委員長 辻本 眞治(株式会社ツムラ)

論文集『漢方の有用性・経済性について』の教育

日本東洋医学会から漢方製剤の経済効率性を厚生労働省に理解してもらうため、漢方製剤を使うと西洋薬を使う場合に比べて医療費が軽減できるという内容の論文集が作成された。この論文集『漢方の有用性・経済性について』を日本東洋医学会のご好意により、MR教育用として10月10日に2000部提供して頂いた。
会員会社には各一部を配布し、医療製剤教育研修委員会、会員各社にはMR数に応じた必要部数を申し込んで頂き、その数量を配布した。
医療行政の変化に伴う漢方の有用性を理解するためにも最適な教材になると考え、MR教育用に使用している。

『PMSハンドブック』による会員各社MRへの教育の充実

会員各社のMRが『PMSハンドブック』の内容を学習し、知識を向上させていくための補助教材として「PMSハンドブック ドリル」を作成中である。ドリル作成に当たっては医療用漢方製剤にかかわる部分に特化し、理解度の向上を目指す。早期配布を目標に作業を行っている。

広報委員会
委員長 太宰 俊造(株式会社ツムラ)

恒例となった日漢協主催の市民公開漢方セミナーも、次回で7回目を迎えることとなった。最近は、若い女性が漢方に高い関心を示しているので、広報委員会では来年度の市民公開漢方セミナーを、若い女性を対象として企画を行うこととした。
開催日時、場所、タイトル等、働く女性が参加しやすいように計画中である。具体的には4月7日の水曜日夕刻から文京区のシビックホールで開催し、タイトルも『冷えと漢方―冷え症は治らないとあきらめていませんか―』として、慶應義塾大学学部の渡邉賀子先生に講演していただく予定である。
技術委員会が中心となって進めていた、外部の公的機関での漢方製剤への残留農薬の検査については、その内容・結果を協会のホームページに掲載するとともにマスコミにも発表した。