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日漢協 ニューズレター 60号

(第20巻 第3号)2004年1月

生薬学教室を訪ねて[31]
漢方医学に基づく漢方薬理の解析 社会で役立つ生薬学の教育

北海道薬科大学漢方薬物学研究室  鹿野 美弘教授
「薬の専門家」から「薬物療法の専門家」へ

地域に貢献できる薬剤師の育成・・・を創立の趣旨に、昭和49年(1974)に開校された北海道薬科大学は、本年4月開学30周年を迎えます。薬学科及び生物薬学科の二学科でスタートした同大学は、その後、昭和53年に生物薬学専攻・修士課程、55年に同博士後期課程、平成12年(2000)臨床薬学専攻・修士過程を設置、現在に至っています。
開校以来、生物薬学重視を特徴としている同大学が教育の使命としているのが、医療技術の進歩に即応した「医療現場で通用する医療を強く意識した薬剤師の養成」。この理念を実現するために本年4月から、薬学科と生物薬学科を医療薬学科に統合する予定になっており、その新しい試みが注目されています。
従来の専門・教養あるいは研究室(講座)の枠組みは廃止され、カリキュラムはシンプルに編成されています。実習科目として、1〜3年次は薬に対する総合的理解を目的とした「薬学実習」を行い、4年次には「薬剤師実務系実習」を行います。実務系実習は「衛生実習」、「臨床薬学実習(特)(調剤)」、「臨床薬学実習(監)(臨床薬学)」及び「病院実習」で構成されています。
キャンパスは小樽市と札幌市のほぼ中間の緑豊かな高台にあり、眼下に広がる石狩湾の眺めは雄大このうえありません。薬剤師国家試験の合格率も高く、平成15年度は全国2位にランクされています。
独自の教科書で漢方医学の講義

漢方薬物学研究室は、鹿野教授、斎藤謙一助教授、小松健一講師、川嶋恵子助手、牧野利明助手の5人の教員体制からなり、院生10名、留学生1名で構成されています。
生薬学研究室から現在の名称に改称したのは平成7年。「社会で役立つ生薬学の教育」を念頭に漢方医薬学教育を強化すべく、いち早く組織改革され、以来、漢方医学も学べる研究室として人気を呼んでいます。
現在、取り組んでいる研究テーマは、
(1)生体恒常性維持機能と漢方薬物の作用解析−低体温症と疾病−
  • 「温性や寒性は本当か?」についての科学的検証
  • 呉茱萸湯の作用機序の解析
    (2)水滞と利水薬、特に猪苓の作用解析
    (3)瀉心湯症のモデル動物の作成と作用機序
  • 抗炎症作用と三黄瀉心湯
  • 向精神作用と三黄瀉心湯
    (4)免疫機能と漢方薬物作用
  • アレルギー疾患病態モデルと漢方薬の作用解析
    (5)新薬と漢方薬の併用に関する薬理学的・薬物動態学的検討
    (6)漢方製剤の製剤学的研究
  • 製剤改良における科学的同等性と生物学的同等性の検討
    同教室の人気は学内でも指折りで、その理由は漢方医学の講義。独自に編纂した教科書を用いた講義は学内外から高く評価されています。中国の沈陽薬科大学、黒竜江中医薬大学との学術交流も積極的に行っており、様々な成果を上げるとともに日中友好にも寄与しています。