制作物のご紹介 >> ニューズレター >> 日漢協 ニューズレター 61号

日漢協 ニューズレター 61号

(第21巻 第1号)2004年5月

巻頭言  安全対策の今後の方向性

厚生労働省医薬食品局安全対策課長
平山 佳伸
本年4月1日をもって、医薬品医療機器総合機構が発足し、医薬品、医療機器について、治験段階、審査段階、市販後段階をほぼ1つの組織で対応することとなった。特に市販後部門については、今までほとんど厚生労働省のみで対応していたところに、新たに組織的に取り組める体制が付加されたような形となった。

市販後対策の強化は国際的な動きで、例えば、ICHで市販後のトピックが次々と提案され、専門家の検討が開始されつつある。日本においても、この国際的な動向に遅れないよう業務の充実を図っていくこととなる。

有効性は、動物などを使って薬理作用を調べ、臨床試験で患者を対象に試験をされて確認される。しかし、副作用は薬理作用が明らかな場合だけでなく、発生機序は不明だが、発生の可能性が否定できないものまで千差万別である。

それは医薬品の未解明の薬理作用に起因するかもしれないし、患者の生理状態と医薬品の存在の両方に起因する場合もあるだろう。また、患者の疾患の進行と見分けがつかない場合かもしれない。

未解明な部分が存在する限り、市販後の安全対策の基本は、広く医療現場にモニターの網をはり、副作用の可能性のある事象を広く収集しながら、報告数(再現性があるかどうか)や医薬品との因果関係の推論などから医薬品との関連を考察することになる。このため、如何に早く未知で重篤な複写王を検出するかに努力が払われてきた。

新機構では、このような従来の対応をより的確に遂行できる体制がとられるとともに、データマイニング手法の開発、拠点医療機関ネットワークの構築などの新しい事業も実施することとしており、医薬品の安全対策が事後対策型から予測対応型に変化するための一翼を担うこととなる。

今後、安全対策には科学的アプローチを心がける必要があるだろう。そのための手法の開発はまだ国際的にも緒についたばかりである。しかし、副作用の発生原因を患者側の因子に求め、遺伝子レベルで解明を試みる研究もみられるようになった。副作用の発生を科学的知見んい基づいてy遅くしたり、予防する時代は思っているよりも近いかもしれない。関係者が安全対策に積極的に取り組むことを期待したい。