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日漢協 ニューズレター 62号

(第21巻 第2号)2004年9月

生薬学教室を訪ねて[33]
統合医療の実現をめざして


日本薬科大学生薬学研究室  鹿野 美弘教授
西洋医学と東洋医学の融合

「天寿をまっとうせしめるものは 薬の力である 生命の根源に培うものは 薬学の使命である 教育は 社会進化の源泉である ここに 日本薬科大学を開き 人類の福祉と学術の進化 東西の融和を祈念する」

これは本年4月、埼玉県さいたま市に隣接する伊奈町に開港された日本薬科大学の建学碑に刻まれた建学の精神です。

昨今、全国的に薬学部の新設が続き、来年度も数校で解説が予定されている中で、一際、ユニークと各界から注目されているのが日本薬科大学に他なりません。

同大学の設立の母体は、福岡を中心に第一薬科大学、第一経済大学、第一福祉大学など、大学から幼稚園まで50数校を擁する(学)都筑総合学園の参加にある(学)東京インターナショナルで、初代が口調には前昭和薬科大学理事長の上田博之先生、薬学部長には前第一薬科大学薬学部長の木村孟淳先生が就任され、前名古屋市立大学教授の荻原幸夫先生ら生薬学の権威が教授陣に名を連ねています。

キャンパスはさいたま市の大宮駅から埼玉新都市交通ニューシャトルで約18分、志久駅から徒歩5分ほどの松林の中にあり、敷地面積は約15万平方、以前は国際電々(株)の研修センターとして用いられていました。

武蔵野の面影を今に残す、自然に恵まれた同大学の同大学たる所以は、「東西の融和」と見学の碑に刻まれているように、西洋医学と東洋医学の融合による統合医療の実現をめざし、従来に無い、換言すれば、21世紀にふさわしい全く新しい大学作りに勤しんでいる点にあります。その象徴が漢方薬学科の新設です。
本邦、嚆矢の漢方薬学科

本邦初の漢方薬学科とともに設置されたのは医療薬学科、そして、健康薬学科の三つの薬学科で、これまでの薬学教育では十分な教育がおこなわれていない漢方薬、民間薬、栄養補助食品などについて基礎的な教育を行い、健康全般に関して広く学んだ薬学士の育成を目指しています。

漢方薬学科は、漢方医学の考え方、手法を分析・研究史、さらには西洋医学の中に活用することを目的としており、基幹科目として、古典を扱う本草学、漢方薬物学を対象とする生薬学、古典的な見方を学ぶ漢方理論、現代医学から漢方を見る漢方薬効解析学、漢方薬理学、臨床漢方治療学、これに対応する漢方薬在学実習などがあります。

生薬学分野を担当されるのが、加工附子の研究や蒼朮成分ヒネソールの構造決定で知られる木村教授で、生薬のDNAによる判定、形態学による生薬の鑑定などに取り組んでいます。

「まだ、開港したばかりで、試行錯誤の状態ですが、漢方薬学科の学生が一番熱心です。全国から学生が集まっていますし、他の薬大を卒業して入学した人など年長者が多いのも特徴ですね」

平成20年には都心の渋谷に実務実習のための付属病院の解説が予定されており、今後の発展が期待されています。