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日漢協 ニューズレター 63号

(第21巻 第3号)2005年1月

新年のご挨拶

厚生労働省医薬食品局長
阿曽沼 慎司

新年明けましておめでとうございます。

本年も国民の生命と健康に直接関わる医薬食品行政を担当する者として、国民の皆様のご期待に沿えるよう、医薬食品行政の推進に一層努力していきたいと決意を新たにするとともに、国際的整合性、科学技術の進展、企業行動の多様化等の変化への対応及び市販後安全対策の充実を盛り込んだ改正薬事法の4月からの全面施行のもと、各種施策に全力で取り組む所存でございます。

第一に、行政と医療機関、学会、企業等が連携した、予測・予防型の安全対策に力を入れてまいります。

優れた医薬品であっても、一定の副作用、リスクは避けることができません。そのため、開発段階で出来るだけ副作用の少ない薬を製造すると同時に、上市後に出来るだけ早く副作用を発見し、被害をくい止めていく必要があります。

また、小児に対する医薬品は、用法・用量が明確でないため、小児への使用が制限されている状態にあること、妊婦については、医薬品の胎児への影響に関する十分な情報がなく、薬を服用しなければならない場合の相談体制が未整備であること等の問題が指摘されており、小児や妊婦が安全に医薬品を使用できる情報収集等の体制を作ることが求められています。

これらの問題に対処するべく、平成17年度からの新規事業として、医療機関、学会、企業等と連携し、発生する副作用疾患に着目し、初期症状、典型症例、診断法等を包括的にとりまとめた「重篤副作用疾患別適正対応マニュアル」の作成や、小児薬物療法に関する情報収集及び使用法の評価・整理の実施、並びに服薬に不安を抱く妊婦に対しての相談体制の整備などに着手し、安全対策の充実・強化に努めてまいります。

第二に、一般用医薬品の販売制皮の在り方についての検討を進めてまいります。

近年、一般用医薬品を取り巻く環境が大きく変化していることから、医薬品のリスク等の程度に応じて、専門家が関与し、適切な情報提供等がなされる実効性のある制度を構築するため、昨年4月に厚生科学審議会に設置した医薬品販売制度改正検討部会において検討を行っており、平成18年の通常国会に関連法案を提出すべく準備を進めてまいります。

第三に、いわゆる「混合診療」問題に取り組んでまいります。

いわゆる「混合診療」問題については、昨年末の基本合意に沿って、患者の切実な要望に迅速かつ的確に対応できるよう、関係部局と連携しつつ国内未承認薬の使用に係る施策を進めてまいります。具体的には、確実な治験の実施、医師主導の治験の支援体制の整備、追加的治験の導入等について、本年度に必要な措置を講じてまいります。

第四に、血液事業の推進に引き続き取り組んでまいります。

血液事業につきましては、平成15年より施行された「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に基づき、また、献血時における安全な血液の確保や適正使用の推進を総合的に実施するため、「輸血医療の安全確保のための総合対策」を公表し、推進しています。本年も血液法の基本理念の実現に向けた取組を着実に遂行してまいります。

第五に、薬学教育6年制の導入に向けて引き続き準備を進めてまいります。

近年、医療技術の高度化、医薬分業の進展等に伴う医薬品の適正使用といった社会的要請に応えるための質の高い薬剤師が求められていることを受け、昨年6月に学校教育法の一部が改正され、薬剤師養成を目的とする大学における薬学教育の修業年限を現行の4年から6年に延長されました。それに伴い、薬剤師法を改正し、薬学の正規の課程のうち修業年限を6年とする課程を修めて卒業した者に薬剤師国家試験の受験資格を与えることといたしました。今後も平成18年4月の施行に向けて、文部科学省と連携しつつ所要の準備を進めてまいります。

第六に、薬物乱用対策に力を入れてまいります。薬物乱用対策につきましては、平成15年7月に薬物乱用対策推進本部において策定された「薬物乱用防止新五ヵ年戦略」及び同年12月に犯罪対策閣僚会議において策定された「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」等に基づき、関係省庁との一層緊密な連携の下、啓発活動の充実、取締り対策の強化、再乱用防止対策や国際協力の推進等、稔合的な対策の推進に引き続き取り組んでまいります。

最後に、食の安全対策につきましては、一昨年に食品安全委員会の設立など、新たな食品行政の枠組みがスタートしたところであります。本年もリスク管理機関として関係機関と連携し、関係者とのリスクコミュニケーションを重視しながら、BSE対策や食品中の残留農薬等の問題に取り組み、国民の健康の保護に努めてまいります。

このように、医薬食品行政は多くの課題を抱えておりますが、本年もこれらの課題の一つ一つに全力で取り組む決意でございます。

最後になりましたが、医薬食品行政に対する皆様の一層のご支援、ご協力をお願いいたしますとともに、皆様方のますますのご発展とご多幸をお祈りいたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。