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日漢協 ニューズレター 63号

(第21巻 第3号)2005年1月

日漢協の動き ―西地区評議員会講演会より―


新たな甘草資源の開発(栽培甘華の実用化)
●Glycyrrhiza uralensis 根の栽培研究と薬材規格 と薬剤特性評価
(株)栃木天海堂 山本 豊

11月18日、大阪市中央区伏見の大阪薬業クラブで、日本漢方生薬製剤協会西地区評議員会講演会が開催され、栃本天海堂の山本豊氏が「新たな甘草資源の開発」の演題で講演、注目された。

この講演は去る8月21、22日の両日、富山市で開催された第21回和漢医薬学会大会富山大会における学術奨励賞の受賞講演をベースに、新たな要素を加え、長年の研究の成果を発表されたものである。山本氏はまず研究に取り組んだ背景として、中国では甘草をはじめ天然資源の乱獲による砂漠化が深刻な問題になっており、甘草資源の不足を補うために栽培生産が望まれている現状を指摘。そうした中にあって焦眉の急になっている資源の確保と地球環境保全を目的に研究に着手したと述べ、その成果を以下のようにまとめた。

研究の方法

研究の目的は中国で栽培したGlycyrrhiza uralensis Fisch.の根を評価することにある。その方法として行ったのが、?日本市場品薬用甘草の分析(栽培G.uralensis根の到達目標値の確認)?現地調査による栽培実験条件の設定とG.uralensis根の栽培?栽培G.uralensis根の薬材規格分析(化学的評価)?栽培G.uralensis根の薬剤評価(薬理・薬剤学的評価)

研究の結果

1.日本市場品薬用甘辛の規格平均値と同等以上とした 2.内蒙古自治区において栽培実験を開始した 3.栽培G.uralensis板の薬材規格に適合した 4.抗アレルギー作用をIgE介在性三相性の耳介腫張で評価したところ、薬用の東北甘辛に匹敵することを明らかにした。また甘草を経口投与するとGLは腸内細菌でGAに代謝されて吸収される等の結果が出た。

総括

この研究によって、中国内蒙古自治区東部で栽培したG.uralensisの4年生根が甘草資源の不足を補う有力な資源候補であることが明らかになった。本研究は新たな甘草資源の特性を物性規格分析だけでなく、薬理・生物薬剤学的検討を含めて総合的に評価した点に特徴がある。

甘草に限らず天然薬物は野性資源の減少に伴って採取地が変化し、あるいは栽培化されることになる。そのような新たな天然薬用資源を評価するためには、今回、試みたような現地調査と分析実験と経口投与による薬理・薬剤学的実験を組み合わせた研究方法が有用である。

トピックス 風間八左衛門 会長 厚生労働大臣表彰の栄に輝く
当協会会長の風間八左衛門氏は、漢方業界をはじめ大衆薬業界等医薬品業界の発展に尽くした功績を高く評価され、平成16年10月22日に薬事功労者として、厚生労働大臣表彰を受賞された。風間八左衛門会長は、平成11年5月会長に就任し、平成13年5月、漢方の普及から定着へと題して「漢方の新しい展開21」を発表して、漢方の普及活動を強力に推進している。

明るく気さくな人柄で、業界内に留まらず学会、行政とも親交が深く、「何事もオープンにする」との姿勢を貫き、協会活動を広く知らしめ認知を高めた。昨今、古希を迎えたが、まだまだ体力の衰えを知らず、これから益々の協会会長としての手腕が期待される。