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日漢協 ニューズレター 64号

(第22巻 第1号)2005年5月

生薬学教室を訪ねて[35]
フィールドワークを軸とする研究スタイル


京都大学薬学部薬品資源学分野   本多教授(右)と伊藤助教授
(旧生薬学教室)
自由の学風の中で

「東の東大、西の京大」と称される京都大学は創立以来、自由の学風が重んじられ、幾多のノーベル賞受賞者をはじめ、多くの逸材を輩出していることでも知られています。創立は明治30年(1897)6月、京都帝国大学として創設され、昭和24年5月、新制京都大学を設置、わが国を代表する総合大学として確たる地位を築いています。

薬学部の歴史は昭和14年に新設された医学部薬学科に遡ります。16年4月に生薬学講座が新設され、12月には学位の称号に薬学博士が加わり、医学部薬学科第1回卒業式が挙行されています。

その後、26年に薬剤学講座が新設され、28年に大学院薬学研究科薬学専攻を設置、35年に薬学部(薬学科)が設置され、薬品分析学、薬品製造学、有機薬化学、無機薬化学、生薬学、薬剤学、生物薬品化学の各講座が新設されました。36年製薬化学科が新設され、48年に薬学部附属薬用植物園が設置されました。

以後、平成9年に大学院重点化により、薬学専攻、製薬化学専攻、薬品作用制御システム専攻を創薬科学専攻、生命薬科学専攻、医療薬科学専攻の3専攻8大講座に改組、さらに薬学部薬学科、製薬化学科が総合薬学科に改組され、今日に至っています。
沈香の研究にロマンを求め

昭和35年(1960)に薬学部設置とともに新設され、46年目を迎える生薬学教室(現薬品資源学分野)は、初代刈米達夫、二代木村康一、三代木島正己、四代田端守の各教授の後を次いだ本多義昭教授、伊藤美千穂助教授を中心にドクター、マスター、4年生で構成されています。

現在、同研究室が取り組んでいるテーマは、

1)薬用植物の二次代謝機能発現に関する研究

  • シソに関する生物学

  • 沈香の芳香成分生合成に関する研究

    2)生薬ならびに薬用植物に含まれる生理活性成分の研究

  • 中央アジア産薬用植物の生物活性成分に関する研究

  • 沈香のアロマテラピー作用に関する研究

    3)海外伝統薬物の調査研究

  • トルコ系民族の伝統薬物に関する比較調査研究(第3次調査)

    この中で二本柱と言えるのが1)と3)で、特に3)は日本学術振興会科学研究費補助金(科研費)による調査です。同研究調査は前身のトルコ国内における約10年間の調査研究から引き続き展開、現地の研究者と協力して薬用植物とそれに付随する情報を収集し、日本に持ち帰り、サンプルの各種アッセイや天然物化学研究を行っています。

    研究の自由と自主を重んじる京都大学は、各分野に亘りフィールドワーク(現地調査)を軸とする研究スタイルが良き伝統として継承されていますが、同教室は正に京都大学を体現した研究室として注目され、研究の成果が期待されています。


    研究室
    薬学部校舎