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日漢協 ニューズレター 65号

(第22巻 第2号)2005年9月

生薬学教室を訪ねて[36]  医食農同源のサイエンス


千葉大学環境健康フィールド科学センター
:フィールド科学研究室(薬学部薬用植物学研究室)  池上文雄教授
国立最古の歴史有する薬学部

国立大学初の薬学部として知られる千葉大学薬学部の源は、明治23年(1890)7月に設置された第一高等中学校医学部薬学科に遡ります。明治27年に高等学校令の改正で第一高等学校医学部薬学科となり、明治34年には千葉医学専門学校と改称。大正12年(1923)に千葉医科大学に昇格したのに伴い、千葉医科大学附属薬学専門部となりました。

今日の薬学部となったのは昭和24年、千葉大学が設置され、薬学専門部が母体となり薬学部が誕生、薬学科が設置されました。以来、同学部は年々拡充され、昭和39年に大学院薬学研究科修士課程、昭和41年に製薬化学科を設置。昭和54年に薬学科、製薬化学科を総合薬品科学科に改組。併せて大学院薬学研究科博士課程が設置されています。

平成元年(1988)7月には薬学部創立百周年記念式典と祝賀会が挙行されました。その後も組織の拡充は続き、平成13年(2001)には全人的視野に立った医療従事者、医学・薬学両方の知識を持った専門家や先端的生命健康科学に精通する研究者等を教育・育成する目的で、大学院薬学研究科と大学院医学研究科を改組して、全国で初めての医学・薬学融合型大学院教育組織の大学院医学薬学府が発足しています。

現在、薬学部は総合薬品科学科の1学科3学科目制(分子医薬科学、生命環境薬学、医療薬学)の構成となっており、研究組織の薬学研究院は連携協力講座を含め25講座を有し、国立大学薬学部の中で最も大きな規模の一つとなっています。
Human Health Science in Nature

薬用植物学研究室の前身は生薬学研究室に発した薬用植物園研究室。生薬学研究室の歴史は明治23年の同校の創立と共にあり、今年で115年を迎えます。初代の杉山省吾、以後、関口愛介、平野一貫、長谷川長八、萩庭丈寿、村越勇各教授が同研究室を担当しています。この伝統ある研究室の研究が、遺伝子資源応用研究室と薬用植物学研究室に分かれたのは平成6年(1994)でした。

そして平成15年(2003)4月、薬用植物学研究室は千葉県柏市に開設された環境健康フィールド科学センタ一に統合され、今日に至っています。

現在、池上文雄教授担当のフィールド科学研究室では、薬学部で培った学問体系を基に、「資源植物を通して生命を考える」を信条として、漢方薬・伝承民間薬等の薬用資源植物に関する天然物化学的研究を中心に以下の研究に取り組んでいます。

(1) マメ科Lathyrus属植物中の神経毒成分に関する神経薬理学的研究
(2) アジア民間薬草中の生物活性物質の探索と利用に関する研究
(3) 薬用資源植物の系統保存と栽培、品質評価に関する研究
(4) 萩庭さく葉標本の保存とデータベースの活用に関する研究

以上の研究に携わるとともに、池上教授にはもう一つの顔があります。平成16年6月にセンター内に開院した千葉大学柏の葉診療所の漢方薬局長の顔です。漢方薬治療の臨床実践をもとに薬学部での生薬・漢方薬学教育に携わっています。

同センターは、人々の心と身体を癒す実践の場を作り、社会に貢献することを目的としており、「健康に生きる」をテーマに、東洋医学、環境健康科学、環境園芸学を主軸として、次の研究課題に取り組んでいます。

  • 漢方治療と園芸療法の融合
  • 環境・健康をキーワードにしたまちづくり
  • 閉鎖型システムを用いた薬用植物の省資源、無農薬、環境保全的生産

    健康機能植物を活用し、喜多敏明診療所長らと共に、自然と調和した医療を実践。新しい試みとして各界から注目されています。