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日漢協 ニューズレター 67号

(第23巻 第1号)2006年5月

巻頭言  今後の市販後安全対策の方向

厚生労働省
医薬食品局安全対策課長

中垣 俊郎

市販後の安全対策については、これまでの事後的な対応から如何に予測的・予防的な対応に切り替えていくかが最大の課題となっています。医薬品が効果と副作用の両刃の刃であることから本質的に困難なことであり、これまでも種々の取組がなされてきたことは承知していますが、既に判明している副作用で不幸にも亡くなるあるいは重大な健康被害を受けることに対して、如何にゼロに近づけていくかということについて、決してあきらめることなく、一層の努力が必要と考えています。

副作用の発生の特徴は次の3点が挙げられます。一つはそれぞれの医師の専門領域以外の副作用が起きてくることです。例えばリウマチの治療のために投与した医薬品によって肺障害が発生するということがあります。担当医はリウマチの専門ではあっても、残念ながら呼吸器の専門ではありません。このような疾患と副作用の専門性の違いが副作用への対処の上でネックとなっているものと考えています。二つ目は副作用自体の発生頻度が低く、それぞれの医師が体験した経験がごくごく限られていることです。三つ目は、発生機序が判らないことが多いことです。言うなれば、いつ発生するかよく判らないリスクをどのように管理するかということが副作用の問題ではないかと考えています。

このような現状の中で、できるだけ早く、副作用を見つけ、対応するためには、患者、医療機関、製薬企業そして行政の4者がこの分野のステークホルダーとなり、それぞれ役割分担しながら、責任を果たし、連携を図っていくことが重要であると考えています。

具体的には、平成17年度から、多くの学会のご協力を得て、重篤副作用疾患対応マニュアルの作成を始めております。このマニュアルの中には、初期症状、診断方法、治療方法、典型的な症例の経過などのほか、患者向けの説明も入れて、医師・薬剤師などの医療関係者だけではなく、患者にも焦点をあてていることが一つの特徴です。患者自身も含め、いかに早く発見して、いかに早く対応していくかに役立つことを期待しています。

また、平成18年度からはいわゆる定点観測と呼んでいる事業を展開していくこととしております。新医薬品について企業には市販直後調査の実施をお願いし、承認条件によっては全例調査などもお願いしています。企業がどのように情報を提供し、医療現場がどのように企業から与えられた情報を有効に活用して診療に当たっているかをチェックする仕組みを設けたいと考えております。

今後とも、企業の皆様方にはご協力をお願いしなければならない場面が多々あるかと思いますが、よろしくお願いいたします。