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日漢協 ニューズレター 67号

(第23巻 第1号)2006年5月

生薬学教室を訪ねて[38]
天然物由来の新しい医薬リード化合物の創製


大阪大学大学院薬学研究科天然物化学分野    小林 資正 教授
(旧生薬学講座)
旧帝大最初の薬学部として

古来、商業都市、薬の街と称される大阪に、わが国6番目の帝国大学として医学部、理学部が創設されたのは75年前の昭和6年(1931)。以後、8年には大阪工業大学を吸収して工学部が設置され、22年には大阪大学と改称。24年の学制改革により理、医、工、文、法の5学部からなる新制大阪大学として新たなスタートを切りました。

その後、町人の町ならではの自由な発想と先見性により、ユニークな大学創りが進められ、昭和26年に医学部から歯学部が、30年に薬学部が分離独立、36年に科学と技術の相互交流を目指す国立大学初の基礎工学部が、さらに47年には人間科学部が設置されています。       

昭和24年、医学部薬学科として発足した薬学部は、29年に講座制(薬化学、薬品製造学、薬品分析学、生薬学、衛生化学、薬剤学、薬物学)を施行。30年には旧帝大最初の薬学部として医学部より分離独立しました。         

以後、昭和37年に製薬学科が増設され、49年には薬学部附属薬用植物園を設置、50年に豊中市蛍ケ池から現在地の吹田キャンパスに移転しました。

平成10年には、薬学の教育研究の高度化に対応するため、大学院重点化により、大学院の充実を図るとともに、学部を総合薬学科1学科に再編。従来の学問に加え、ライフサイエンスを基にした情報化学、分子科学等の新しい学問の概念と方法を取り入れ、独創的な思考や技術の開拓に余念がありません。
海洋生物成分に医薬のシーズを求めて

天然物化学分野の歴史は薬学部の歩みと軌を一にしています。医学部に薬学科が設置された昭和24年、生薬学講座として発足、翌25年に木村康一氏が初代教授として赴任。生薬学、薬用植物学、本草学を主とした講義及び研究が始まりました。   

その後、昭和33年、吉岡一郎教授が講座担当になり、天然物化学が新たに研究内容に加わりました。51年、北川勲教授が三代目の教授に就任、四代目の小林資正現教授は助手として赴任されていました。


半世紀以上の歴史を有する天然物化学分野のメインテーマは、「天然物由来の新しい医薬リード化合物の創製」。             

薬用植物、底生海洋生物や海洋微生物の二次代謝産物から最新の生物学的知見に基づいたスクリーニング法を用いて新規生物活性物質を探索し、合成化学的手法や分子生物学的手法により、ガンや脳神経疾患やマラリア等の難病の治療薬につながる新しい医薬のシーズとしての展開を検討しています。

現在の研究課題は、
  • 構築した活性試験を指標とする天然資源からの新規生物活性物質の探索
  • 機器分析と化学合成による新規生物活性物質の化学構造の決定
  • 新規生物活性天然物質の不斉全合成
  • 生物活性天然物質の作用機序の解明と構造活性相関の解析
  • 生物活性天然物質をシーズとする合成医薬リード化合物の創製

    沖縄やインドネシアの海洋生物成分に医薬のシーズを求める研究はユニークこのうえないと注目されています。


    木村 康一、吉岡 一郎、北川 勲  歴代の教授(左から)