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日漢協 ニューズレター 68号

(第23巻 第2号)2006年9月

生薬学教室を訪ねて[39]
生活習慣病を対象とした薬理研究


武蔵野大学薬学部生薬療法学研究室  油田 正樹 教授
慈悲の心を持った薬剤師の育成

武蔵野の面影がそこかしこに残る緑豊かな武蔵野大学の歴史は大正13年(1924)に創設された武蔵野女子学院に遡ります。国際的な仏教学者として知られ、昭和19年(1944)に文化勲章の栄に浴した創立者の高楠順次郎博士が、東京都中央区築地に浄土真宗本願寺派の宗門関係学校として開校、「仏教精神を根幹とした人格育成」を建学の精神としています。

現在地の都下・西東京市に移転したのは昭和4年 (1929)、その後、同25年に武蔵野女子短期大学(文科、家政科)、同40年には武蔵野女子大学 (文学部)が設立され、以後、現代社会学部、人間関係学部、武蔵野女子大学大学院(人間社会・文科研究科)、通信教育部(人間関係学部)を設置。平成15年(2003)には、これまでの女子大学の幕を閉じ、武蔵野大学に名称変更。同16年には薬学部の設置を機に全学部が一年生より男女共学化がスタートしました。本年 (2006)には看護学部看護学科が設置され、総合大学としての地歩を築いています。

仏教系大学として初めて設立され、三年目を迎える薬学部 (薬学科)では、「慈悲の心を持って患者や生活者に接することができる薬剤師を育成する」ことを目的としており、ただ調剤するだけでなく、患者の健康状態に向き合う医療チームの一員としての薬剤師となることを目指しています。

そのために設けているのが「建学科目」と「コミュニケーション科目」です。患者や家族と接したり、医師や看護師とチームで働く上で大切な医療人としての人間性の養成を第一義にしています。



また、新しい薬学教育にも積極的に取り組んでいます。その一つが患者の症状を理解する「病態学」、市販の医薬品について学ぶ「一般用医薬品学」、薬の組み合わせについて学ぶ「安全性学」、日本の伝統的な生薬、漢方薬について学ぶ「生薬療法学」など、身近な地域医療の場である薬局等での健康相談や介護相談、栄養相談にのり、最適なアドバイスができる人材の養成に力を入れており、ユニークな試みとして注目されています。

さらに3年次からはわが国で初めての「香粧薬学系科目」が用意され、一般用医薬品、健康食品、サプリメント、化粧品等に使用される薬剤が人体にどのような影響を及ぼすのか、化粧品や香料化学メーカーなどにアドバイスできる人材の育成にも注力しています。

教育と研究を両立させた薬学部にすることも目標にしており、「よき教育者は、よき研究者でもあるべきである」との精神のもと、薬学部新設に先立って設立された薬学研究所に薬学部全教員が兼任研究員として所属、質の高い薬剤師教育と最先端の技術に培われた研究の両立・実践に余念がありません。


研究に勤しむ嶋田助手

メタボリックシンドロームに焦点

生薬療法学研究室は油田正樹教授と嶋田努助手の二人で構成され、この秋から初めて学生が加わることになっています。

現在、同研究室ではメタボリックシンドロームに焦点を当て、その病態に関する分子基盤研究と治療薬に関する研究をメインテーマに掲げ、以下の研究に取り組んでいます。(1)創薬を目指した生理活性物質の探索研究(2)生薬・漢方薬の薬理研究(3)病態動物の評価 (薬効評価に使用するべく MS病態モデル動物としての価値の評価)。今後の研究の進展が期待されています。