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日漢協 ニューズレター 70号

(第24巻 第1号)2007年5月

巻頭言  『難しいけれど身近なもの』

厚生労働省 医薬食品局
総務課薬事企画官

関野 秀人

柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加黄耆湯、茵蔯五苓散、大黄牡丹皮湯、乾姜人参半夏丸、芎帰膠艾湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、・・・。平成19年3月3日付けの官報には合計で210の漢方処方の名称が並んだ。

いまから約2年後に施行される一般用医薬品の販売制度に関係する厚生労働大臣告示である(この告示の施行は本年4月1日)。通称”リスク分類”または”リスクの区分”と呼ばれるこの告示によって一般用医薬品は3つに分類され、その区分にしたがい、小売りの段階では、販売する医薬品に関する情報の提供方法や提供者等についてきめ細かい対応が求められることになる。

210に及ぶ漢方処方は、それらに基づく医薬品及びこれを有効成分として含有する製剤(第一類医薬品を除く)として、第二類医薬品に分類されている。

冒頭に例示した漢方処方については、いずれも名称に用いられている漢字の何れかに振り仮名が付けられている。比較的よく知られていると思われる小柴胡湯や葛根湯にも振り仮名が付けられており、黄連解毒湯、補中益気湯、小青竜湯、六君子湯など、振り仮名が付いていない処方を見つける方が大変である。

これは、常用漢字にないものには振り仮名を付けることになっているための”現象”であり、世間一般にとって、処方名を漢字で正しく書いたり、正しく読んだりすることはなかなか容易ではない。

漢方処方にはこのような”難しさ”があるものの、人々の生活にとって身近なものとして定着していると考えられる。その理由については、いろいろな考え方や意見があると思うが、私からみて、漢方製剤の最も大きな特徴として捉えている点は、何と言っても、近年の薬物療法において言われて久しい”オーダーメイド”をいち早く実践してきていることである。

漢方処方製剤は、服用時点での症状・体質などに応じて処方を選択することが必要であるとされる。前述のリスク分類においても、症状・体質に合わない使い方がされることを避けるなどの理由により、販売時に専門家の介在を求めている。

また、漢方処方が生活者の用に供する形態についても、処方せん調剤に基づく医療用医薬品としての漢方製剤、生薬を組み合わせた形での漢方処方、一般用医薬品というように、医学・薬学的判断に基づく処方・調剤からセルフメディケーションまで多様であり、これも”オーダーメイド”と言えるだろう。

”オーダーメイド”という言葉は、結果が伴えば”適正使用”となる。漢方処方製剤がこのような”個性”を活かしつつ、これからも国民生活にとってより身近なものとして、国民の健康に寄与することを願っている。そのためにも、漢方処方や生薬に精通し、責任もって製品を供給する会員各社の益々の尽力に期待したい。