制作物のご紹介 >> ニューズレター >> 日漢協 ニューズレター 70号

日漢協 ニューズレター 70号

(第24巻 第1号)2007年5月

生薬学教室を訪ねて[41]
漢方医療の立場から臨床との橋渡しができる薬剤師の養成


大阪大谷大学薬学部漢方医療薬学講座  谿 忠人 教授
学生像は”凛と咲く”

大乗仏教の精神に基づいて創建され、親鸞聖人の教えを教育・研究活動の拠り所とする大阪大谷大学の歴史は、明治42年(1909)、左藤了秀氏により大阪の難波別院内に設立された大谷裁縫女学校に遡ります。

2年後の明治44年、大谷女学校と改称し、昭和6年(1931)に阿倍野区共立通に移転、以後、大谷女子専門学校となり、25年、学制改革により大谷女子短期大学となりました。

41年、現在地の大阪府富田林市に大谷女子大学文学部(国文学科・英文学科)を開学、その後、平成16年(2004)に教育福祉学部、17年に人間社会学部を設置。去年の18年4月、100年近い歴史の女子教育の衣を脱ぎ、男女共学制に移行、校名も大阪大谷大学と改称され、薬学部薬学科が設置されました。
科学者としての薬剤師・人間性豊かな薬剤師

2年後に迎える100周年を前に総合大学に生まれ変わった大阪大谷大学の薬学部は、薬を必要とする人たちは程度の差こそあれ、弱者であり、薬さえ提供すれば薬剤師として事足りるわけではないとの考えから、「科学者としての薬剤師」「人間性豊かな薬剤師」の養成を目的としています。

1、2年次では倫理観・責任感を育む科目、人間を理解する幅広い教養を育む科目を重点的に学び、3年次から専門教育科目が本格的に始動、5年次に約5ヵ月間に及ぶ学内外での実習を行い、6年次には総復習と並行して、より高度な内容の講義、国家試験対策の講義を強化し、合格率100%、全ての学生が薬剤師の国家資格を取得できる学習システムを採用しています。

いのちとこころの苦悩を一体として診る

昨年、設立されたばかりの若々しい薬学部は基礎薬学系、応用薬学系、医療薬学系に分類され、18の講座で構成されています。漢方医療薬学講座の担当は、富山医科薬科大学和漢薬研究所資源開発部門教授を経て赴任された谿忠人教授。大阪大谷大学の熱血先生と称され、多くの人に慕われています。

同講座では、「漢方医療文化を継承し、現代医療に資する知を創造する」を理念に、漢方薬に興味を持つ薬剤師の育成を目指しています。その狙いは患者の”いのち”と”こころ”の苦悩を一体として診る伝統医療文化を感得することとしています。

谿教授が担当する講義は、薬学概論、天然薬用資源学、漢方医療薬学の三つで、なかでも漢方医療薬学を、漕ぎ手は後ろを見ながら前に進む手漕ぎボートと讐えています。

「後ろとは漢方医療の経験知・暗黙知であり、経験知を大事にしながら、前である現代医療に資する客観知・形式知を創造する、これが漢方医療薬学です」

今後のプランとして、5〜6年生の卒業研究では、漢方症例検討などを議論するゼミ形式の漢方医薬塾を開く予定にしており、漢方医療の立場から臨床との橋渡しができる薬剤師の誕生が期待されています。