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日漢協 ニューズレター 71号

(第24巻 第2号)2007年9月

巻頭言  一般用漢方処方製剤への期待と課題

前厚生労働省医薬食品局
監視指導・麻薬対策課長
現独立行政法人
医薬品医療機器総合機構
上席審議役

村上 貴久

前号の巻頭言で当方の薬事企画官・関野より、平成21年度に全面施行となる一般用医薬品の販売制度において、一般用漢方処方製剤は第二類医薬品に区分され、販売等に従事する専門家から購入者等に対して、積極的な情報提供が求められることになる旨が述べられた。

一般用漢方処方製剤が第二類医薬品に区分されたのは、漢方処方製剤にも間質性肺炎や肝機能障害、偽アルドステロン症等の重篤な副作用が起こりえるものがあることに加え、なにより漢方処方製剤の特性として、それを使用する人の証(体質や症状の現われ方等)に応じた適切な処方が選択されることが重要であり、そのためには販売等に際して専門家から購入者等に対して積極的な情報提供を行っていく必要があるためであろう。

「漢方薬にも副作用はある」ということに関しては、日漢協会員及び会員各社のご尽力もあって、一般の生活者への普及啓発が図られてきたように思われる。一方、漢方における証や同病異治の考え方については、一般の生活者には必ずしも十分定着しているといえない状況にあるのでないか。

近年、生活者の健康に対する意識・関心の高まりに伴って、一般用漢方処方製剤も改めて注目されてきており、特にメタボリックシンドロームへの改善効果が期待され、防已黄耆湯や防風通聖散などの漢方処方製剤の売り上げが伸びているようである。

ただ、それらの広告や販売等のされ方を見ると、証や同病異治の考え方が疎かになっていることが少なからずあり、また、効能・効果の一部のみが特に強調される等、監視指導の観点から疑問なしとし難い事例も散見される。一時の流行に乗って売り上げを伸ばすことよりも、漢方処方製剤を適正に使用するための正しい理解の普及・定着を図ることが、長い目で見て、一般の生活者における漢方処方製剤の信頼性を高めることにつながるのでないか。日漢協及び会員各社の自主的な取組みを期待したい。

また、平成21年度に全面施行となる一般用医薬品の販売制度では、医薬品の販売等に従事する専門家(薬剤師又は登録販売者)による購入者等に対しての情報提供・相談応需が明確に規定されたことから、製造販売業者からそうした専門家向けの情報提供を行うことが、これまで以上に重要となってくる。

日漢協及び会員各社におかれては、一般の生活者における漢方処方製剤の正しい理解の普及・定着と併せて、漢方処方製剤に関する適正使用情報を収集・検討し、医薬品の販売等に従事する専門家に対して提供していくよう、更なる取組みを期待したい。