制作物のご紹介 >> ニューズレター >> 日漢協 ニューズレター 77号

日漢協 ニューズレター 77号

(第26巻 第2号)2009年9月

トピックス


第60回日本東洋医学会市民公開講座―認知症をめぐって
成人後見制度、介護、予防と治療三つの視点から認知症問題にアプローチ

蓮村先生 荒井先生 新井先生
日本東洋医学会との共催による市民公開講座が、6月20日、都内港区の東京慈恵会医科大学の中央大講堂で、認知症をテーマに開催された。認知症というテーマだけに、当日は550名の聴講者で会場が埋め尽くされ、関心の高さを感じさせられた。
人や物の名前だけでなく、自分の体験や自分の存在をも忘れる認知症の患者は、高齢化の進展とともに年毎に増えている。85歳以上の高齢者の4人に1人が認知症患者とされ、10年後にはその数は300万人に達すると見込まれている。
今や大きな社会問題になりつつある認知症をめぐる問題について、医療(予防と治療)に加え、介護、さらには、厄介な問題になりかねない財産の管理処分など成人後見制度についても論じられ、今迄にないユニークな企画と好評を博した。

●認知症の漢方治療
会場には多数の市民がつめかけた
介護の現場からは、都下昭島市の介護老人福祉施設、愛全園施設長の蓮村幸兌先生が、「認知症の漢方治療」と題し講演。認知症高齢者170万人の約半数が施設で生活している現状を指摘しつつ、患者の7〜8割に徘徊、せん妄など生活障害が起こるため在宅生活の継続は難しい。コミュニケーションの重要性を強調するとともに、プロのいる施設で療養することが望ましいと述べ、香蘇散の著効例などを紹介した。

●脳老化と認知症―漢方医学の挑戦
予防と治療の現場からは、東北大学加齢医学研究所・加齢脳・神経研究部門教授の荒井啓行先生が、「脳老化と認知症一漢方医学の挑戦一」の演題で、アルツハイマー病の歴史、認知症診断のための10項目、アルツハイマー病を知る10の症状や抑肝散の治験など,最新の研究成果を発表。
ボケないためのライフスタイルとして、
・野菜と魚は毎日食べ、肉と野菜は少し。緑茶をよく飲み、カレーもときどき食べましょう
・家の中に籠ってはいけせん。おしゃべり、読書、旅行など人生の収穫期を楽しみましょう
等のポイントを提案された。

●認知症と成年後見制度
財産の管理処分問題の現場からは、筑波大学法科大学院教授の新井誠先生が、「認知症と成年後見制度」と題し、成年後見制度を概説。医療とは趣きの異なる内容であったが、市民の皆さんは熱心に聞き入っていた。
介護がテーマの一つに取り上げられていたこともあり、ケアマネージャー等、介護関係者の姿も多く見られた。今後の在り方を示唆する市民公開講座だったとの声が少なくなかった。