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日漢協 ニューズレター 79号

(第27巻 第1号)2010年5月

業態別会議


医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 上田 賢示(株式会社ツムラ)

医療用漢方製剤委員会
平成21年12月2日に開催された中央社会保険医療協議会薬価専門部会において、日本製薬団体連合会(以下 日薬連)が提案していた薬価維持特例に代わり、新薬創出・適用外薬解消等促進加算(以下 新薬創出加算)が事務局より提案された。試行的導入であり、加算対象範囲は後発医薬品が無い新薬に限定され、日薬連提案の医療上不可欠な基礎的医薬品等は対象とされなかった。
12月22日開催の薬価専門部会および総会と、12月23日の長妻厚生労働大臣と藤井財務大臣との間での最終的な予算折衝の結果、加算方法は「加重平均乖離率−2%」の0.8掛け、後発医薬品のある新薬の追加引下げは2.2%とされた。これで、日薬連提案とほぼ同等の効果がある、新薬創出加算の導入が試行的とはいえ決定された。
平成22年2月1日に各社宛薬価内示、2月6日〜2月8日にヒアリングが行われた。3月5日に新薬価の官報告示が行なわれ、4月1日実施の薬価改定については全てが終了した。
昨年11月11日に開催された行政刷新会議の事業仕分けにおいて、市販品類似薬の保険適用除外が提案され、「どの範囲を保険適用外にするかについては今後も十分な議論が必要」としながらも、「保険外とする方向性については結論とする」とされた。これに対し、関係諸団体と連携し医療用漢方製剤・生薬がそのような扱いとならないよう対応した。
12月17日には、民主党、社会民主党、国民新党の与党3党より藤井財務大臣と菅副総理・国家戦略担当大臣宛提出された「平成22年度予算に対する与党三党の要望」において、「漢方薬、湿布薬等の保険適用については統合医療推進の政策からも、保険適用を継続する必要がある」とされた。最終的には、平成22年度政府予算案は12月25日の臨時閣議で決定され、市販品類似薬の保険適用除外問題は解消された。
厚生労働省内に、足立大臣政務官を主査とする統合医療プロジェクトチームが設置され、本年2月5日に第1回目の会合が開催された。設置趣旨は、「統合医療についてその推進の検討が求められていることから、今後の取組方策等について検討する」とされ、主な検討事項は統合医療に関する現状の把握、今後の取組方策、その他とされている。統合医療の中でも我国の伝統医学である「漢方」分野では、実臨床の場で広範な適用実績があり、臨床的な有効性・安全性の科学的根拠の創出を中心に、平成22年度から厚生労働科学研究費の予算を大幅に拡幅したとされた。

流通適正化部会
公正競争規約の違反防止策を考察することを目的に、医療用医薬品公正取引協議会の運営委員会社(54社)のMRを対象にアンケート方式による調査が実施された。
これによると、規約違反がなくならない理由のうち、1)他社MRも違反行為を実施する為、2)医療担当者の要求を断れない為、3)営業的プレッシャーがある為、が突出しており、MRの意識を伺い知れる調査結果となった。
4月1日をもって「国立高度専門医療センター」(ナショナルセンター)は、独立行政法人に移行し、より研究機能に重きを置き、名称も「研究」の文字が追加された「国立高度専門医療研究センター」となる。それに伴い職員の身分は「国家公務員」から「みなし公務員(非公務員型)」となる。しかし、各センターは職員の倫理保持のため、「国家公務員倫理法・倫理規程」に準じた倫理ルールを定めていることから、これを確認の上対応する必要がある。

教育研修部会
12月22日に安全性委員会の杉山委員を招き、安全対策課長の講演内容や最近の医薬品安全対策について紹介いただいた。
MR教育資材『薬用植物について』が完成し2月18日に内容および、貸し出し方法の手順を確認した。また、「MR漢方教本U」の改訂内容について検討した。

保険薬価研究部会
漢方に関する国民・患者の意識調査に関し、10月15日に実施された日漢協市民公開セミナー等でのアンケート結果の集計作業を行った。また3月には、街頭アンケート調査を実施した。現在、結果の集計作業を行っている。

有用性研究部会
日本東洋医学会の『漢方治療エビデンスレポート 2010』(EKAT 2010)、同英語版、『漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン 2010』(漢方CPG 2010)の作業をサポートした。以上の報告書は6月に東洋医学会ホームページにて公開予定である。
2月26日〜28日に開催された国際東洋医学会において、EBM委員会の成果を、金沢医科大学・元雄良治教授が報告するとともに、パネル掲示した。
6月に名古屋で開催される日本東洋医学会学術総会に「漢方薬の臨床試験登録と結果の公表状況」(日漢協・新井、東大・津谷)、「漢方製剤のRCTは漢方製剤使用実態のどこまで説明できるか?」(東大・津谷、日漢協・新井)の2演題を申し込み、採択された。


生薬会議
生薬委員会 委員長 浅間 宏志(株式会社ウチダ和漢薬)

平成22年4月より長野県生薬株式会社が生薬会議に登録された。これにより生薬会議登録会社は35社となった。
4月15日、25社35名が集まり、第3回目の生薬会議を開催した。中国産チンピの使用農薬調査では「中国産チンピの使用農薬調査報告」をもとに、日本で追試験したところ残留する農薬はあったものの、食品衛生法のポジティブリスト(その他スパイス)からみて安全と言ってよい結果であった。これらの結果をとりまとめ、『生薬学雑誌』に「薬用植物栽培における使用農薬の実態調査(第1報)中国産チンピの使用農薬」として論文投稿した。
厚生労働科学研究費特別研究事業「漢方・鍼灸を活用した日本型医療創生のための調査研究」(以下・特別研究)への協力として、1月25日の特別研究第3回会議「生薬資源の現状と課題」において講演を行い、今後の生薬安定確保のためには、中国との関係構築、国内での種苗確保と栽培技術が必要であり、農林水産省を含めた研究の場が必要であることを提言した。また、原料生薬の使用量および産地について日漢協会員会社に調査し特別研究へ報告した。
調査の中間報告として上のグラフのように日本産12%、中国産85%、その他3%という結果を得ている。
保険薬価研究部会長から平成22年度の薬価改定における、新薬創出・適応外薬解消等促進加算や不採算品再算定について説明があり、今後の流通適正化について報告があった。これを受け医療用生薬の保険適用となる規模の調査について関係機関と連携して検討していることが説明された。
各部会活動は次のとおり。

生薬栽培部会
農林水産消費安全技術センター(FAMIC)から、薬用植物の適用作物表に関する検討依頼を受け、専ら医薬品である薬用植物の整理を行っている。今後の適用作物表の運用次第では、日本における農薬使用に影響を及ぼすことから慎重に対応を行っている。

生薬企画部会
日本薬局方既収載生薬の見直しを目的に、生薬会議ならびに技術委員会参加会社を対象として調査を実施した結果、15社から76項目の改正要望があった。今後、技術委員会と連携してこれらについて精査、検討し、日本薬局方原案審議委員会生薬等委員会へ改正提案していく予定である。

生薬流通部会
前述の特別研究での原料生薬使用量等調査を担った。
COP10を控え情報等の検討が頻繁になることから生物多様性条約対応ワーキンググループを、4名から11名に拡充した。
4月20日の「COP10に関する関係副大臣等会議(第3回)」では、ABS(遺伝資源へのアクセスと利益分配)に関わる関係団体からの意見聴取があり、日本製薬工業協会と連携し、日本製薬団体連合会・竹中会長の陳述の中に、日漢協意見(漢方生薬製剤等は日本固有の伝統的知識であり、その原料生薬は古くから公知のものでありABS対象に馴染まない)を盛り込んだ。


一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 大窪 敏樹(クラシエ薬品株式会社)

平成22年4月6日に一般用漢方製剤会議を30社38名出席のもと開催し、平成22年度の活動方針について審議し、了承された。
1)一般用漢方製剤の普及、振興に関する活動。
2)一般用漢方製剤の情報提供のあり方に関する検討。
3)一般用医薬品を巡る状況変動に応じた活動。

くすり相談部会
3つのWGで活動を行っている。
@新210処方WG:Q&A集の新210処方効能・効果への対応。
A事例・苦情相談G:事例・苦情への回答。
BトピックスG:トピックスの収集と共有化。

処方部会
一般用漢方210処方の整備
加減方22処方および排膿散及湯の23処方の意見募集が昨年12月25日に発出され、本年1月23日に締め切られた。その後、承認基準に追加するにあたり、既承認の製品の効能・効果、用法・用量の取扱いについて、関係各社に一変申請および一変承認時期について要望を聞き、審査管理課担当官と調整を行い、4月1日付け審査管理課長通知により承認基準改正および承認申請に関する留意事項が発出された。

適正使用推進部会
『しばり』に関する分かり易い解説が出来ないか。外箱への『しばり』の記載で、しばりを分かりやすい表現に読み換えたり、まとめられないか、等について検討している。
また、一般用防風通聖散製剤のAURについては、昨年12月15日開催のAUR研究班会議でプロトコールの最終確認を行った。今後、本年5月に東京・大阪での調査薬剤師への説明会を経て、調査が開始される予定である。(目標症例数:200症例)

かぜ薬基準に配合できる漢方9処方について
かぜ薬基準に配合できる漢方9処方の許認可が地方委任される予定である。審査管理課担当官より、処方の根拠(参考文献)および漢方処方としての承認前例の調査を依頼され、会員会社に協力いただいた。


生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 浮田 謙二(第一三共ヘルスケア株式会社)

昭和大学薬学部・鳥居塚和生教授に委託していた「血糖関連症状に有効な生薬製剤」に関するレポートを受領すると共に講演会を開催した。
また、委員長および正副部会長による幹部会を開催し、平成22年度の運営方針の検討を行うと共に漢方・生薬製剤の薬理学的評価方法について福岡大学薬学部・藤原道弘教授に講演いただいた。
さらに、生薬を配合した一般用医薬品について漢方製剤も含めて一覧化した上で、新規処方の開発余地や類似性を検討できる生薬製剤データベースの構築を行うこととした。

制度研究部会
新たな生薬製剤の承認取得に向けた環境作りを行っており、関係者と意見交換を行うための提案書を取りまとめると共に具体的な協議を開始した。一般用漢方製剤承認基準の拡大が進む中で新たな生薬製剤を開発する意義を明確化すること等、さらに充足が必要な項目を確認した。

製剤開発部会
魅力的な効能を訴求できる生薬の組み合わせの探索を行っており、事例として取り上げたニンジン主薬製剤について、申請時に求められる資料が科学水準の進展と共に変化している実情を確認した。また、新規生薬製剤の有効性を評価する手段とその難易度等について意見交換を行い、一律に承認基準化することは容易ではなく、目的によってはスキーム化をめざすべきものもあることを確認した。


原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)

1.平成22年度事業計画および予算案
4月21日に原薬エキス会議を開催し、今年度の事業計画および予算案を下記の如く決定した。
1)日本薬局方への漢方エキス収載等に関する事項
2)単味エキス等の輸入実態調査ならびに公的基準 化に関する事項
3)原薬エキスの製造用水に関する事項
4)原薬エキスの品質に関する事項
5)原薬エキスに係る薬事・法規に関する事項
予算案は、12万円(会場費、委員会6回分)とした。また会議は、原則年1回4月開催とした。

2.製剤総則改正案
(独)医薬品医療機器総合機構から、製剤総則改正原案が平成21年11月30日に示され、パブリックコメント募集が行われた。主として生薬を原料とする製剤は新しく「生薬関連製剤」というカテゴリーに包含され、製剤均一性試験法<6.02>のうち含量均一性試験および溶出試験<6.10>が適用されないことが明記されている。生薬関連製剤各条はエキス剤、浸剤・煎剤、チンキ剤、流エキス剤に加え、丸剤、酒精剤、芳香水剤が組み入れられ、また新しく「茶剤」が設定されて計8剤となっている。
パブリックコメント募集に対して、委員会で議論し下記2点の意見・要望を提出した。
@製剤通則に今回新しく「容器包装」という用語が用いられているが、「容器」と「包装」は違う概念である。上記のようにひとまとめにされると誤解を受け易いので、「容器又は包装」などとしたほうがよい。
A新しく設定された「茶剤」は、“通例、1日量又は1回量を紙又は布の袋に充てんした製剤”と定義されているが、ゲンノショウコ、カンゾウなどで500g包装のものがある。これらも茶剤に包含されるよう、製剤総則改正に関するQ&A等で明確にしてもらいたい。

3.漢方エキスの新規収載候補
日本薬局方原案審議委員会・生薬等委員会(座長:国立医薬品食品衛生研究所生薬部合田部長)で、第16改正日本薬局方第一追補(平成24年10月1日施行)以降の新規収載候補漢方エキスとして、葛根湯加川芎辛夷、加味帰脾湯、桃核承気湯、防已黄耆湯および麻黄湯の5処方が決まった。委員会で調査したところ、これら5処方すべてに軟エキスが存在することが判明し、関係委員会に連絡した。