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日漢協 ニューズレター 80号

(第27巻 第2号)2010年9月

巻頭言  日漢協に期待すること

日本製薬団体連合会
会長  
庄田 隆

本年5月に日本製薬団体連合会会長となりました第一三共会長の庄田でございます。日本漢方生薬製剤協会の皆様には、日頃から当連合会の活動に多大なご協力を賜わり、厚く御礼申し上げます。

漢方医学および漢方生薬製剤をめぐる環境は、日本東洋医学会をはじめとする関連学会と貴会との長年にわたる取り組みによりまして、原料の安定調達、文部科学省「医学教育モデル・コア・カリキュラム」への組み入れ、鳩山総理の施政方針演説における統合医療の積極的推進発言、WHO国際疾病分類11版(ICD11)への漢方医学等の病態・病名組み入れ予定など、この10年間で大きく改善、前進されました。今春、風間前会長が日漢協会長として初めて旭日小綬章の栄に輝かれたことは、これまでの貴会の活動が国から認められ高く評価された証であり、医薬品業界の仲間としても大変嬉しく感じております。

14の業態別団体と19の地域別団体の連合会である日薬連の役割は、薬事制度、安全性、保険薬価などほとんどの加盟団体に関わる事項への取り組みと各団体間の利害調整が基本となります。そのため、貴会をはじめとした各業態別団体による主体的な取り組みに強く期待するとともに、相互連携をいっそう進めることが肝要であると考えております。

就任後、貴会との意見交換の場を設け「漢方の現状」というテーマで種々の話をうかがいましたが、体系的に幅広く充実した活動が展開されていると非常に強い印象を受けました。

貴会は、2007年に中長期事業計画を策定し、「原料生薬の品質確保・安定確保」や「エビデンスデータの集積」など7課題について、長期的視野に立って戦略的に取り組んでいます。エビデンスについては、大建中湯のランダム化比較試験をアメリカで実施し成果を上げているほか、抗がん剤が引き起こす有害事象を軽減させているデータの構築など積極的な取り組みがなされていることを、心強く感じております。

加えて昨年には「5つの業態別会議」と「6つの機能別委員会」という新たな体制での活動強化を図っていることも、充実した活動の要因であろうと推察しております。

昨年秋の事業仕分けで「漢方の保険給付除外」が提言された際にも、貴会は関連学会や患者さんと一体となって対応し、提言を一蹴されたことは記憶に新しいところです。

今後10年を見渡すと、統合医療の普及によって漢方生薬製剤の活躍の場がますます広がると同時に、その裏づけとなるエビデンスの質、量も求められることでしょう。新成分が上市されないという漢方の宿命を背負う中、有効性・安全性・使い方などのエビデンスを構築することで理解者・使用者を増やしていくことが、漢方生薬製剤の将来を切り拓く鍵に他なりません。貴会におかれましては、厚生労働省に本年設置された「統合医療プロジェクトチーム」での検討状況に注視いただくとともに、漢方ならではのエビデンスの確立に向け関連学会とも更なる連携に尽力いただきたいと思っております。

最後となりますが、10年後に、西洋薬と漢方薬がセットで抗がん剤のレジメンのスタンダードになっていることを期待しております。