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日漢協 ニューズレター 82号

(第28巻 第1号)2011年5月

ご挨拶 〜中長期事業計画2007の最終年度に思うこと〜

日本漢方生薬製剤協会
副会長  
大西 重樹

平成23年度は、「漢方の新しい展開21−5年間の成果−」を踏まえて策定された「中長期事業計画2007(5ヵ年計画)」の最終年度となっており、計画達成に向けた重要な年度です。この計画の第一優先課題は、原料生薬の品質確保および安定確保です。昨今の生薬の輸入と価格に関する報道などにより、生薬高騰に関する問合せが増えている状況を受けて、「流通阻害」や「生薬価格」の現状について把握する必要性から「原料生薬(中国産)の価格等の調査」など実施されています。その他にも、当協会にとって重要なISO/TC249の「Natural Materials」の品質と安全性に関する国際標準化の問題、生物多様性条約締約国会議COP10の遺伝資源のアクセスと公正で衡平な利益配分(ABS)の問題などがあります。ニューズレター68号(2006年9月)で「業界を取り巻く環境には、残留農薬の課題をはじめとする品質確保の問題や、原料資源の大半を中国に依存している現実、さらには、薬価の下落など、会員各社にとっても頭を悩ます課題が山積・・・。」と述べさせていただきましたが、明るい兆しがみえてこないのが現況です。

一般用漢方製剤については、昭和49年に210処方の承認審査内規が公表され運用されてきましたが、平成20年に34年ぶりに一般用漢方製剤承認基準(新210処方)として「効能効果」や「用法用量」が見直され、審査管理課長通知が発出されました。また、平成22年には加減方23処方が追加されて改正新基準が発出され、今年4月さらに27処方が追加されました。今後も一般用漢方処方の見直しが進められ、現代の国民のニーズにあったセルフメディケーションに貢献することが期待されています。

さらには、平成18年6月に公布された薬事法改正による一般用医薬品の販売制度改正では、区分に応じた情報提供が求められることになり、漢方処方は、第二類医薬品に指定され、日漢協としても、薬剤師又は登録販売者の方々への情報提供を積極的に行い、消費者・患者様に正しく安全に服用していただけるよう取り組んでいます。

一方、医療用漢方製剤は、来年24年には原料生薬の安定確保とともに最重要課題である薬価改定が控えています。今後も薬価が下がり続けると、業界として求められる品質の確保や安定供給ができなくなることが危惧されます。そのため、日薬連の「製薬産業の競争力強化のための要望書」に記載されている「医療上不可欠な基礎的・伝統的医薬品の安定供給」を業界意見として強く要望いたしました。

平成23年度は5ヵ年計画の最終年度であると共に、漢方製剤・生薬・生薬製剤・原薬エキスを取り巻く環境の変化に対応すべき「中長期事業計画2012(5ヵ年計画)」を策定していく重要な年度でもあります。安定供給に係わる原料生薬の品質確保および安定確保の継続、新たな課題として対応が必要なPIC/S GMP、地球温暖化対策、事業活動全般における企業倫理への取り組みなど業界として様々な取り組みが求められています。会員会社の皆様には引き続きご指導・ご支援を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。

(クラシエ製薬株式会社 副会長 執行役員)