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日漢協 ニューズレター 84号

(第28巻 第3号)2012年1月

業態別会議


医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 豊川 峻輔(株式会社ツムラ)

医療用漢方製剤委員会
9月28日に開催された中央社会保険医療協議会(以下、中医協)薬価専門部会で、事務局である厚生労働省保険局医療課から、「次期薬価制度改革に向けたこれまでの主な指摘と今後の議論の進め方」という資料が示された。「保険医療上必要性が高い医薬品の薬価改定方式」については、業界意見陳述も含め 3回の審議を行ってきたが、現時点では導入の可否を判断するための材料が不足していると考えられるとされ、論点案として、「薬価を維持する必要性や患者等へのメリット」並びに「対象品目および対象期間等の考え方」の2点があげられた。 11月16日の薬価専門部会における議論で、各委員より「本制度については必要な制度である」という意見が聞かれた一方、「対象の品目について、品目数等具体的に示して欲しい」、「業界全体の中で不採算な部分の整理統合をなぜ進めることができないのか」等の意見も出された。 12月2日の薬価専門部会において、事務局から「平成24年度薬価制度改革に向けた全体的な論点整理について」という資料が示された。「保険医療上必要性が高い医薬品の薬価改定方式」については、「現在の薬価制度においては、医療上必要性の高い医薬品についても薬価が継続的に下落し、安定供給が困難となっていく状況があり、これら医薬品の継続的な安定供給のための薬価制度上の施策について検討を行ってきた。これら医薬品の安定供給を図ることは重要な課題であるため、その具体的な対象を明確にしつつ、平成24年度薬価制度改革以降、具体的な評価方法等の検討や検証をすすめることとしてはどうか。」と整理され、本制度の導入検討は次年度以降に見送られた。
2008年に実施した「漢方薬処方実態調査」の継続した最新データを得るべく、同じ調査会社に委託し、9月初旬に調査を実施した。その結果、「現在、漢方製剤を処方している」と答えた医師は89%にのぼり、3年前の83.5%から5.5ポイント上昇する等、漢方製剤処方実態は多くの指標で前回の調査結果より向上していた。  調査結果については、11月14日に公表し、日漢協ホームページに掲載した。

保険薬価プロジェクト、保険薬価研究部会(生薬委員会と共に活動)

中医協に提案された「生薬の最低薬価ルール導入」に向けて、各関係会社と意見調整の上、資料を作成し、行政への提案説明を実施した。

漢方薬に対する一般国民意識調査として、10月末に、外部委託にて街頭アンケート調査を実施した。11月28日に開催された日漢協市民公開漢方セミナーにおいて、アンケート調査を実施した。 両アンケートについては、現在、回収したアンケート票の入力作業、分析等を実施中。


流通適正化部会
日本製薬工業協会および日本漢方製薬団体連合会から検討を依頼された「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」に関して、日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢協)としては、医療用医薬品を取り扱う会社を対象としたガイドラインと、一般用医薬品を取り扱う会社を対象としたガイドラインの二種類を作成して、会員会社が自らの会社の状況に合った透明性の確保を推進するものとし、各々ワーキングを立ち上げ、対応方針、公表時期、公表内容等について検討した。
日本OTC医薬品協会の動向を踏まえ、医療用医薬品を取り扱う会社を対象としたガイドラインを先行して策定し、9月15日に開催された理事会にてその内容等について承認を得、日漢協ホームページに対象となる会社名も併せて掲載した。
医療用医薬品を取り扱う会社は、現在、本ガイドラインを参考に自社の「透明性に関する指針」を策定し、自社における行動基準として、医療機関等との関係における透明性の確保についての取組みを推進している。

教育研修部会
MR漢方教本I第3版、MR漢方教本II第4版ドリルについて、改訂作業を実施している。

有用性研究部会
日本東洋医学会EBM特別委員会との協力作業に関して、「漢方治療エビデンスレポート」に収載されている漢方製剤の全てのRCT論文が、医療者に対して標準的な治療・予防に関する情報を提供する世界的なRCTデータベースであるThe Cochrane Library(CENTRAL)に収載され、各々から、「漢方治療エビデンスレポート」のアブストラクト(英語版)へのリンクがはられた。
日漢協として作成に協力した、漢方のRCT論文の記載を充実させるための Kampo-CONSORT Statement アルファ版(8月8日付版)が、国立医薬品食品衛生研究所 生薬部、医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センターにより、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)に公開された。


生薬会議
生薬委員会 委員長 浅間 宏志(株式会社ウチダ和漢薬)

平成23年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故に起因する食品の放射性物質に関し、国は指示対象自治体およびその隣接自治体17都県(以下、対象17都県)を指定した。秋の国内産生薬の採取、収穫時期を迎えるにあたり、3月11日以降に対象17都県から産出された生薬の実態把握と注意喚起を行うため、会員会社に対して生薬の放射性物質検査に関する調査を実施した。調査結果では、35生薬109検体について検査が実施され、そのうち9生薬23検体から放射性セシウムが検出されていたが、これらの生薬は医薬品の製造には一切使用されていないこともあわせて確認した。この結果は10月14日に当協会から日本製薬団体連合会を通じて、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課に報告された。同日夜半、本報告にもとづき薬食監麻発第1014第1号監視指導・麻薬対策課長通知「放射性物質に係る漢方生薬製剤の取扱について」が発出された。通知では、検査の“精密な方法”などが明確にされていなかったため、技術委員会を中心に「生薬等の放射性物質測定ガイドライン」が作成され、これについても12月13日通知として発出された。この作成過程で生薬委員会では、産地のトレーサビリティで採取および収穫地域が複数の市町村にまたがる場合の表記方法を「○○山系(□□村、▽▽村)」などとする提案をとりまとめた。
平成24年度の税制大綱策定にあたり、平成23年度に有税となった中国産生薬の関税を無税とすべく、厚生労働省、農林水産省、財務省の求めに応じて該当生薬、食薬区分、使用部位などを整理した資料を提出した。
原料生薬の使用量について継続調査すべく検討を行った。前回は平成20年度単年度分を調査したが、今回は平成21〜22年度の2年度分を調査することとした。
会員会社から提出された日局既収載生薬の改正要望については、順次改正提案を進めており、15生薬16項目が16局第一追補で改正される。また日本薬局方外生薬規格の改定に向け、新収載のケイシ、センレンシ、ホップなどについて収載案を検討した。


一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 大窪 敏樹(クラシエ薬品株式会社)

くすり相談部会
・ 2つのワーキングクループ(以下、WG)で活動を行っている。
@事例・苦情相談G:事例・苦情への回答
AトピックスG:トピックスの収集と共有化
・ お客様相談業務の実態把握および資質向上を図るため、お客様相談業務に関するアンケート調査を予定している。この調査は、OTC医薬品関連団体共通で行われる。

処方部会
一般用漢方210処方の整備
・ 昨年4月に加減方23処方、そして今年4月には27処方が一般用漢方製剤の基準に追加され、更に来年には30数処方の追加が予定されている。その追加処方の通知後に、じほう社より「新一般用漢方処方の手引き」(仮称)が発行される予定である。現在、処方部会で“手引き”の内容を精査している。
【リスク区分関係】
・8月31日の厚生労働省「一般用医薬品のリスク区分の検証に関するWG」において、漢方製剤263処方のリスク区分について、全て第2類とする意見がまとめられた。漢方製剤の販売の原則は「症状や体質を聞いてそれに合ったものを出す」ため、「従来通り第2類に括ったほうが良い」という考えで一致した。その後、9月26日の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会、意見募集(期間:10月13日-11月11日)、11月14日の安全対策部会を経て、告示される予定である。

適正使用推進部会
・ 210処方の効能のしばりにある虚実の概念を反映した5段階の体力分類について外箱に表記することを想定し、「わかり易い表示方法」について 下記の事項等について検討を進めている。
  * 効能に記載されている体力表現と注意書きの体力表現の違いとは?
  * 安全性を喚起するのか、有効性とのバランスは?
・ 9月26日の安全対策調査会において、漢方の「証」の考え方を推進することは重要であることから、販売時の補助ツールとして使用できる症状・体質を判断するチェックシート等の作成をWGで検討することが提案された。適正使用推進部会が本検討に協力することになるため、情報提供の方法等を検討する予定である。
【防風通聖散AUR関係】
8月27、28日の第28回和漢医薬学会学術総会(富山)および9月24、25日の日本生薬学会第58年会(東京)でAURの研究報告が発表された。


生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)

生薬製剤委員会では、新たな生薬製剤の開発を目標に活動を行っている。生薬製剤の存在意義、開発意義の明確化を念頭に、2つの部会によるアプローチ、すなわち薬事制度と製剤開発の2つの側面から生薬製剤の承認基準化、ならびに既存生薬製剤の範囲拡大を達成したいと考えている。
また、関係官公庁・機関や他団体、有識者との連携や情報交換を行っており、生薬製剤などのリスク区分の見直しに対応している他、放射線、PIC/S、日本薬局方外生薬規格の改正など生薬製剤に関わる対応を共有している。

制度研究部会
新たな生薬製剤の承認取得に向けた環境作りを行っている。まずは、女性特有の効能・効果を有する生薬製剤の前例を取りまとめたデータベースを構築し、承認前例の全体像を把握した。現在、承認基準案作成の基礎的データとするために、このデータベースを疾患別、あるいは月経期や更年期といったライフステージ別などの切り口で解析中である。 また、幅広い関係者と意見交換し、許認可対応上の枠組みや行動計画を検討している。 さらに、生薬製剤の効能・効果の読み替えによる魅力的な効能・効果の創出が可能か否かも検討している。

製剤開発部会
魅力的な効能を訴求できる生薬の組み合わせの検討を行っている。まずは女性特有の症状に有効と思われる生薬の文献収集を行いつつ、生薬研究者からのレポートと合わせて、我が国での使用経験・実績を調査することで生薬製剤の処方設計におけるエビデンス構築を目指している。 今後、公定書や海外での臨床試験、海外の局方などについて調査する予定である。 さらに、有識者にアプローチし、意見収集・情報交換を行いエビデンス構築における基礎にしたいと考えている。


原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)

原薬エキス委員会を8月31日(東京)、10月27日(名古屋)、12月15日(大阪)に開催した。

1.日本薬局方収載漢方エキス等
日本薬局方第16改正第一追補(平成24年10月施行)で、当帰芍薬散と半夏瀉心湯の2処方の漢方エキスが収載される。なお今回から、性状の色の記載が乾燥エキスと軟エキスに分けて記載されることになった。
全国家庭薬協議会(全家協)から依頼があった日局収載チンキの生産実績に関し、当委員会参加会社を対象に調査を行った。直近10年では、トウガラシチンキとトウヒチンキの製造実績があった。またチンキを製造する際の原料生薬の大きさについても意見があったので、それも合わせて提出した。この結果は、9月の生薬等A委員会で他団体の調査結果を含めて全家協から報告された。
残留溶媒に関して日局通則に新たな規定を設けるべく、日本薬局方原案審議委員会で検討されている。技術委員会と協力し、原薬エキス中の残留溶媒を確認すべく、当委員会参加会社からサンプルを提供し、現在第三者試験機関で試験を実施中である。

2.日本薬局方外生薬規格(局外生規)の改正
局外生規検討WG(座長:国立医薬品食品衛生研究所合田幸広生薬部長)では、現在新規収載品として、当委員会から提案したホップを含め、ケイシ、センレンシおよびトウシンソウ、またエンメイソウ末などの粉末生薬が検討されている。その他に、既収載品のモッカ、サンシュユ末やジオウ末、局外生規総則の改正案などが検討されている。これらについては、12月21日の第2回局外生規検討会議で提案された。

3.原薬エキスに関する調査報告書
原薬エキス会議参加会社が保有するチンキ剤、流エキス剤などの製法や規格等について調査を重ねてきたが、この程すべての調査結果をまとめ小冊子とした。以下に、原薬エキスを剤形別に分類し、それぞれで使用される生薬または処方数と製品数を示す。