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日漢協 ニューズレター 85号

(第29巻 第1号)2012年5月

ご挨拶 〜原料生薬の品質および安定確保に向けて〜

日本漢方生薬製剤協会
副会長
  
内田 尚和

 業態別会議が平成21年度に設置され、早いもので3年が経過しました。この間生薬会議では、他の会議体ならびに専門委員会との連携を図り、原料生薬の品質確保と安定確保の推進に向けて取り組んでまいりました。漢方・生薬製剤および原料生薬の安定供給は、日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢恊)の全会員会社に関係することから、「中長期事業計画2007(5ヶ年計画)」では第一義のテーマに掲げられ、その品質確保の強化と安定確保の推進が重要な活動として求められたことはご存じのとおりです。従いまして活動は多岐にわたりましたが、中国での使用農薬実態調査結果が『生薬学雑誌』65巻に「薬用植物栽培における使用農薬の実態調査(第1報) 中国産チンピの使用農薬」と題して論文掲載されたこと、原料生薬使用量等調査により平成20年度では248品目、約2万トンの原料生薬が使用されその83%が中国からの輸入という実態が判明したこと、また国内での生薬種苗の維持・確保を目的として、(独)医薬基盤研究所薬用植物資源研究センターに生薬種苗の確保を依頼し一定の維持が図られたことなどの結果を得ました。さらには日本薬局方既収載生薬の改正要望や日本薬局方外生薬規格改定への協力、原料生薬の価格推移調査、中国における生薬流通調査などを行いました。現在、タイソウの使用農薬調査に取り組んでおり、また原料生薬使用量についても平成21〜22年度分の調査を行っており、近々それらの結果をお知らせできると思います。

 昨今の最も大きい出来事として、昨年の東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の影響がありましたが、会員会社の協力のもと情報収集に努め、日本製薬団体連合会(以下、日薬連)との連携、ご支援をいただく中で、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課の適切なご指導により、精密な検査方法による漢方生薬製剤の安全、安定確保につながることができたと考えております。ご対応いただきました関係者には、この場を借りて改めて御礼申しあげます。本件に関しては、今後さらに安全への取り組みが求められることと存じますので、今後ともよろしくお願い申しあげます。

 一方、様々な国際的諸問題が起こる中で、生薬に関係することとしては、PIC/S加盟申請に向け「生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日薬連自主基準)」が発せられましたが、生薬トレーサビリティの重要性が改めて求められ、生薬管理責任者の業務に「生薬原料の供給源等に関する事項」が盛り込まれました。これについては、現在検討中の「日漢協版薬用作物の栽培・採取と加工に関するガイドライン(仮称)」がこの一助になることを期待しています。ISO/TC249 WG1では生薬が対象テーマとされ、既に人参の国際標準化の議論が始まっております。生物多様性条約名古屋議定書(ABSに関する議定書)の締結に向けて日本国内の準備が進められる中、各国の関係国内法が生薬の輸入にどう影響を及ぼすか注視しなければなりません。

 また生薬の輸入関税については、関係省庁、関係各位のご努力により税制大綱が改正され、本年4月からは多くの生薬が医薬品に供されるものとして基本税率が無税となりました。

 このように原料生薬に関する多くの取り組みが、医療用漢方製剤をはじめとする漢方・生薬製剤の品質、量、価格の安定に繋がり、加えて今まで以上に国産生薬の栽培振興の重要性が強まるものと考えています。

 原料生薬の品質および安定確保に向けては、まだまだ多くの課題に対応していかなければなりません。「中長期事業計画2012(5ヵ年計画)」が新たにスタートする節目の平成24年度、 井会長の下、会員会社、関係委員会の協力を仰ぎ、また行政、日薬連、関係機関からのご指導を賜り、これらの課題に取り組んで参ります。また日本一般用医薬品連合会の理念の一つであるセルフメディケーションにおける伝統的な医薬品の活性化に向けても、生薬が担う責任は大きいと存じます。

 今後ともご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

(株式会社ウチダ和漢薬 代表取締役)