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日漢協 ニューズレター 86号

(第29巻 第2号)2012年9月

生薬学教室を訪ねて[56]


慶應義塾大学薬学部天然医薬資源学講座

生薬・漢方の有効性の科学的基礎の構築
木内文之教授

共立薬科大学を母体に
 私学の雄と称される慶應義塾大学の薬学部の前身は、昭和5年(1930)、芝・麻布共立幼稚園園長小島つな、小島昇の親子により設立された共立女子薬学専門学校です。その後、昭和24年の学制改革により女子のみの共立薬科大学薬学部薬学科として発足、昭和41年に附属薬用植物園と運動施設からなる浦和分校が開設され、翌々年の43年に生物薬学科が増設されました。
 平成4年(1996)に学部が男女共学になり、13年には全国で初めて附属薬局を開局しています。16年に生物薬学科を医療薬学科に改称、18年に薬学科(6年制)薬科学科(4年制)が発足しました。そして、20年に(学)慶應義塾との合併により慶應義塾大学薬学部としてスタート、今日に至っています。


創薬研究者養成と薬剤師養成
研究室
 「未来を先導する薬学人」の育成を目指す同薬学部は、6年制の薬学科では「科学の基盤をもった、人に優しい薬剤師を育成する」ことを、4年制の薬科学科は「創薬、臨床開発、環境・生命科学など、幅広い薬学の分野における卓越した研究者・技術者・教育者を育成する」ことを目標にしています。
  キャンパスは東京タワーや浄土宗の総本山増上寺にほど近い港区芝公園にあり、前身の共立薬科大学に因んで、芝共立キャンパスと呼んでいます。薬学科の定員は150名、薬科学科は60名、当初30名だった薬科学科の定員を増やし、研究志向を強めています。
 1年次では豊かな人間性と教養を養うべく、横浜市にある日吉キャンパスに通い、人文・社会・自然科学系の総合教育科目を他学部の学生と一緒に学ぶのも大きな特徴です。

天然物を人の健康に役立てる
 現在、有機薬化学、医薬品化学など19の講座があり、天然医薬資源学講座は、国立医薬品食品研究所 筑波薬用植物栽培試験場長、医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター長を歴任の後、平成21年4月に赴任された木内文之教授をはじめ、羽田紀康准教授、成川佑次助教、ドクター2名、マスター6名、6年生8名、5年生9名、4年生4名で構成されています。
屋上に設えられた薬用植物園分園

 同講座では、「天然物を人の健康に役立てる」を目標に、以下の3つのテーマを柱に研究を展開しています。
@生理活性を有する植物成分の探索
A生薬・漢方の有効性の科学的基礎の構築
B生物活性を有する複合糖質の合成研究
 木内教授はAの研究に取組まれ、生薬を処方として服用する際に実際に作用している化合物は何か。さらに良い生薬(よく効く生薬)とは何かを探っています。  この他にも、文部科学省の学術研究推進事業「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択されたプロジェクト「国民の健康の増進を目指した生物資源の活用基盤形成拠点の形成」の研究代表者として、天然物を有効活用するための研究を推進されています。