制作物のご紹介 >> ニューズレター >> 日漢協 ニューズレター 87号

日漢協 ニューズレター 87号

(第29巻 第3号)2013年1月

巻頭言  新年御挨拶

厚生労働省医薬食品
局長
  
榮畑 潤

新年明けましておめでとうございます。
昨年は、京都大学の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されたという嬉しい出来事がありました。こうした中、iPS細胞の活用等への国民の関心も高まっております。再生医療の実用化に向け、安全面や倫理面に配慮しつつ重点的に取り組むとともに、有効で安全な医薬品・医療機器をより早く国民の皆様に提供できるよう、着実に施策を推進してまいります。国民の生命と健康を守ることは、厚生労働省の基本的使命であり、日々高まる医薬行政に対する国民の皆様のご期待に沿えるよう、本年も全力で取り組んでいきます。

まず、平成二十四年一月の厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会のとりまとめ等を踏まえ、医薬品等による健康被害の発生を防止しつつ、必要性の高い医薬品等を迅速かつ安全に提供するため、医薬品等の安全対策の強化、医療機器や再生医療製品の特性を踏まえた規制の構築等を行うとともに、違法ドラッグ対策を強化するため、薬事法改正法案の提出に向けた準備を進めていきます。

具体的には、第一に、医薬品・医療機器等関係者の責務の明確化等を行うこと、第二に、添付文書について、製造販売業者に最新の知見を反映させた添付文書の作成及び届出を義務付けること、第三に、医療機器について、種類が多岐にわたる、短期間で改善・改良が行われるといった医薬品と異なる医療機器の特性を踏まえ、迅速な実用化に見合った規制・制度に合理化を図ること、第四に、再生医療製品について、品質の不均一性といった特性を踏まえ、安全性にも配慮しつつ、実用化を加速するため、特別に早期に承認できる仕組みを導入すること、第五に、指定薬物の規制強化として、麻薬取締官(員)へ取締権限等を付与すること等を検討しております。

併せて、制度改正のほか、審査の迅速化・高度化を図るため、(独)医薬品医療機器総合機構の審査員の拡充やアカデミアとの人材交流、日本発シーズの実用化に向けた医薬品・医療機器に関する薬事戦略相談事業、未承認薬・適応外薬の解消及び医療ニーズの高い医療機器等の早期導入への取組、レギュラトリーサイエンスの推進等を行っていきます。

さらに、市販後の安全対策につきましては、(独)医薬品医療機器総合機構における安全対策部門の人員増等のほか、本年も、大規模医療情報データベースを活用した新しい安全対策の実施に向けて事業を進めるとともに、「医薬品リスク管理計画」の導入など、新しい施策にも取り組んでいきます。

薬事監視につきましては、医薬品のGMP調査の国際的な連携を推進するため、国際的なGMP査察協力の枠組みであるPIC/Sへの加盟審査に係る実地調査に向けた準備を進めるとともに、近年問題となっている偽造医薬品の流通の監視や無承認無許可医薬品の取締り強化と消費者への情報提供、啓発などを、関係者と連携して推進していきます。

薬物乱用対策につきましては、違法ドラッグを「指定薬物」として指定し、販売を規制していますが、新たな類似物質が次々に登場する状況であることから、指定を迅速化すること、海外での流通が確認された物質を指定すること、化学構造が類似する物質を包括的に指定することで対応していきます。併せて、青少年やその保護者を中心に違法ドラッグ等についての情報提供・啓発を行っていきます。

また、平成二十四年四月には、薬学教育六年制を受けた最初の薬剤師が誕生しましたが、これまで以上に専門性を踏まえた役割を果たすことが期待されます。特に、病院や地域医療の現場において、チーム医療の中核を占める一員としての資質の向上を図るべく、各種研修事業の拡充等を図っていきます。
加えて、登録販売者試験について、実務経験の証明に関する不正が疑われる事案が多数報告されておりますが、事実関係の調査を進めるとともに、関係事業者に自主点検、制度の周知・徹底を求めております。今後とも、適正な制度の運用に努めていきます。

血液事業につきましては、少子高齢化が進み、献血可能人口が減少する中でも、将来にわたり血液の安定供給を行うことのできる体制を確保すべく、若年層の献血者を増やすため、高校生等に対する普及啓発活動を強化するなど、引き続き献血推進に取り組んでいきます。

このように、医薬行政は多くの課題を抱えておりますが、これらの課題の一つ一つに全力で取り組む決意でございます。

本年も、医薬行政に対する皆様の一層の御支援、御協力を御願いいたしますとともに、皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りいたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。