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日漢協 ニューズレター 87号

(第29巻 第3号)2013年1月

日漢協の動き


中国医薬保健品進出口商会と情報交換会を開催



日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢協)の招聘により、中国医薬保健品進出口商会(以下、医保商会)の 劉張林副会長を団長とする訪日団が、平成24年9月20日に来日されました。訪日団は医保商会の他、重慶出入境検験検疫局、中国検験検疫科学研究院の先生方です。情報交換会は9月25日、東京都内に於いて行われました。
中国側は劉副会長をはじめ5名、日漢協からは内田尚和副会長ほか、国際委員会をはじめ委員長会メンバーなど計15名が出席しました。
今回の情報交換会は、中国側および日漢協の双方が今後の生薬貿易の推進、課題などの情報交換を目的として行われたものです。まず塩本国際委員長が、日漢協の目的、事業計画、組織体制などについて説明し、次に富塚技術委員長が「漢方・生薬製剤の国際化とPIC/S対応」と題して、PIC/Sの現状、日本の加盟申請状況、漢方・生薬製剤の製造や生薬管理に及ぼす影響などについて説明しました。最後に浅間生薬委員長が、事前に日漢協から質問した内容と中国側からの回答について紹介しました。その後、質疑応答、意見交換が行われました。
医薬品である原料生薬の品質や規制についての活発な意見交換を通じて、今後もこのような機会を設けること、両国における生薬の生産や供給状況などについて継続的に情報交換してゆくことが確認され、有意義な会合となりました。

第15回市民公開漢方セミナー
「漢方に親しむ」をテーマに定形綾香先生が講演



第15回市民公開漢方セミナーが、10月11日(木)、東京・赤坂の草月ホールで開催された。今セミナーの講師は、東京・文京区でダイナメディカル根津クリニック院長の定形綾香先生。体調が芳しくないとのことから椅子に座っての講演であったが、正に気力を振り絞り漢方の特徴、魅力を熱弁された。


●養生について
「食事が健康の基本」
解りやすいと定評のある定形先生の講演は、①養生について−食事・運動②漢方薬について③実際の使い方の三つをテーマに論じられた。
養生については、食事と運動の二つのうち、まず食事の重要性を指摘され、古代中国にあっては食医が疾医(内科)や瘍医(外科)、獣医に比べ、医師の最高峰にあったことを述べたうえで、古来食事こそが健康の基本であると力説した。
運動については、導引術という名の運動療法が食事療法と共に紀元前から重要視されていたこと、三国志で知られる曹操の典医で、麻酔の発明や屠蘇を処方した華陀が唱えた五禽戯(虎、鹿、熊、猿、鳥の動き)が、今日の気功や太極拳の基になっていることを紹介し、食事と共に運動のもつ大切さを説いた。
昨今、予防医学に関心が集まり、東洋医学の神髄でもある未病という概念が広く知られるようになりつつあるが、素問(黄帝内経)にある一説「聖人はすでに病んでしまったものを治すのではなく、未病を治すものである。病気になってから薬をのんだりすることは、のどが乾いてから井戸を掘るようなものである」を紹介、中国では古代より未病を治すことを根本哲学としていると述べ、重ねて日頃の養生の必要性を強調した。



●漢方薬について
「実際の使い方 漢方医学と西洋医学、両方のよいところを生かす 漢方を身近に感じ、上手に使用」
続いて、漢方薬についてでは、本草学、神農本草経、神農、葛根湯、傷寒論、日本における傷寒論と漢方、亀井南冥、和田東郭など漢方医学の基本と歴史について概説し、三つ目のテーマである漢方薬の実際の使い方では、「漢方は同じ病気でも体質、症状によって飲む薬が異なる」と指摘したうえで、79歳A子さんの風邪の例から33歳Iさんまで9つの実例を示しながら論が進められた。
その中で、西洋医学と漢方医学の発想の違いについて、漢方薬の特徴について触れ、「西洋医学は検査で異常がある病気(胃潰瘍、糖尿病、高血圧等)の治療が得意であり、一方、漢方医学は検査では異常がないのに症状(冷え、のぼせ等)が続くような時に有効です。両方のよいところを生かしましよう」と提起した。講演の結びとして、「漢方薬を身近に感じていただいて、上手に使い、今後の健康に役立てていただければ」と述べ、万雷の拍手を浴びた。西洋医学と漢方医学の発想の違いについては、漢方医学は複数の薬剤の組み合わせることにより作用を強化したり、副作用を軽減したりして治療効果を高める。西洋医学は効果のあった薬剤の成分を分析し、有効な成分を1種類だけ絞りだし、その成分を高濃度で投与するとし、両者の特徴を解りやすく述べた。
また、漢方薬の特徴として、いくつかの生薬からできているため効果が多彩である。漢方薬は天然の植物、動物、鉱物など生薬を何種類も使用しているため、成分が非常に多彩であり、その効能が多岐にわたると述べ、不眠、いらいら、肩こりにも有効な加味逍遥散を例示した。
さらに、「一種類をのむだけで色々な症状が改善し、体質により効果が違う漢方薬に対して、西洋薬は一種類の成分なので、一つの病気にのみ効果があり、ほぼ全員に同じ効果が期待できる」と、西洋薬と漢方薬の違いを示した。