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日漢協 ニューズレター 88号

(第30巻 第1号)2013年6月

巻頭言  日本漢方生薬製剤協会 創立30周年祝辞

自由民主党 参議院議員
  
武見 敬三

日本漢方生薬製剤協会の皆さま、創立30周年を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。井順一会長を始めとする皆さまには我が国が健康長寿社会を実現する上で多大な貢献をされてきたことに敬意を表したいと思います。

この30年間にわたる貴会のご活躍により、我が国の漢方薬を取り巻く環境は大きく変わりました。漢方医学教育を実施する大学医学部・医科大学数は大きく伸び、今ではすべての大学医学部・医科大学で漢方医学教育が実施されるまでになりました。結果として、漢方薬が医療の現場でも89%の医師に使用されるなど処方が日常的になり、国民の健康増進に大きく寄与していることは疑いの余地がありません。一昨年、我が国の国民皆保険制度は創設50周年を迎えました。この国民皆保険制度のもとで、我が国は、平均寿命を着実に延ばしてきましたが、これからの我が国においては、ただ単に寿命を延ばすだけでなく、自立して日常生活をおくれる期間と定義されている健康寿命を延ばす社会作りをしなければなりません。漢方医学にある未病の概念などから、健康寿命に貢献しうる漢方薬の役割にも大いに注目すべきものがあります。健康寿命と平均寿命の格差を是正することは、熟年世代が活き活きすることを意味しており、医療や介護などの財政負担も大幅に軽減されます。その結果、若い人たちの未来への負担も軽減することになります。

現在、漢方薬は高齢者や中高年の女性に多く処方されておりますが、高齢化の進む我が国では、漢方薬のニーズが今後さらに高まることが予想されます。そして、皆さまの社会における重要度は増し、ご活躍の場はこれからますます増えていくことになるでしょう。

しかし、漢方薬の発展に好ましい状況だけではありません。たとえば、我が国が原料生薬の調達の約83%を依存する中国では労働賃金の上昇や、生薬需要の増加、投機的な買い占めなどで生薬価格が高騰してきましたが、日本国内では漢方薬は新しい薬が出ないので、薬価が下がり続け、生産を中止する製薬企業が出るなど今後の安定供給に課題も散見されます。

原料生薬を安定供給するためのひとつの方策として、国内での栽培などが考えられますが、中国産の生薬と比較した場合の価格や、生産地や栽培方法など生産者の問題が生じます。漢方製剤の安定供給が可能となるような環境を整備できるよう、国でしっかりと対応できる体制を整え、皆さまと一緒に国民の健康を守りたいと思います。

最後に、日本漢方生薬製剤協会のますますのご発展と、会員の皆さまのご健勝を祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。今後ともご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。