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日漢協 ニューズレター 88号

(第30巻 第1号)2013年6月

生薬学教室を訪ねて[58]


青森大学薬学部生薬学研究室

漢方湯液中の有効成分の解明
上田條二教授

東北日本のキラリと光る大学を目指して
「空に大きく字を書こう」で始まる青森大学の校歌は、青森で生まれ、本年没後30周年を迎えた歌人寺山修司の手によって作られています。冒頭のフレーズに続いて「書物の森に出かけよう 今こそ時は青春の 日を惜しむかにめぐりゆく…」と歌われます。

青森大学の前身は、大正7年(1918)に山田きみ女史が青森市内に設立した裁縫塾に遡ります。以来、昭和26年(1951)に青森山田高等学校、37年に青森短期大学が開学され、その6年後の43年に経営学部からなる青森大学が開学されました。

56年に経営学部に加え、社会学部、平成4年(1992)に工学部が増設されています。そして、16年に工学部を改組され、ソフトウエア情報学部を開設されるとともに、薬学部(医療薬学科)が開設されました。現在、幼稚園から中学校、専門学校を併せ持つ総合学園としてユニークな地歩を確立しています。


豊かな森の中のキャンパス
青森駅からバスで30分余り、青森市の郊外に広がるキャンパスは、「自然に溶け込み、森の中にある大学」と謳われるように、別荘地さながらの豊かな緑に囲まれています。

平成16年に、北東北の深刻な薬剤師不足を解消すべく開設された薬学部は、18年に医療薬学科を薬学科に名称を変更して6年制としてスタートしました。これまで4期にわたり卒業生が巣立っています。

薬学部と言えば女子学生が多数を占めていますが、同校では男子学生の比率が高いのが特徴となっています。出身地では地元青森をはじめ秋田、岩手の北東北が多く、薬剤師になる夢を捨てきれず、社会人入学や他大学からの編入も少なくありません。青森県内唯一の薬学部とのことから、折からの薬剤師不足ともあいまって卒業生の就職率は100%を誇っています。

カリキュラムは、1年次は基礎教育の徹底、2年次は専門科目の充実、3年次は薬学を実感する実習、4年次は共用試験対策、5年次は病院・薬局での実務実習、6年次は薬学アドバンス教育国家試験対策とのプログラムの下、国家試験に臨んでいます。

担任制による個別指導にも力を入れ、全ての学生が1年次から研究室に配属され、研究室単位でスポーツ大会に参加したり、さまざまな行事を催すなど先輩後輩の交流も盛んに行われています。

東北・北海道出身の学生を対象に行われているのが、ふるさと実習です。5年次の延べ5か月間に及ぶ実務実習を出身地の病院・薬局で行い好評を博しています。

健康補助食品の開発
生薬学研究室は、薬学部の開設時に東北薬科大学から赴任され、現在、薬学部薬学科長を務める上田條二教授と4年生5名、5年生5名、6年生4名で構成されています。

研究テーマは
①植物成分の構造解析およびその薬理活性
②漢方湯液中の有効成分の解明
③健康補助食品の開発

②では漢方薬がなぜ効くのかを科学的に解明すべく、厚朴や麻黄等の研究に取り組んでいます。健康補助食品の開発としては青森特産のカシスの研究などを進めており、その成果が期待されています。
「リンゴの葉を研究したこともありましたが、農薬の問題があり、断念しました」
オープンカレッジ市民大学の開催など地域との交流も活発です。今年からは高校生を対象に「第1回高校生科学研究コンテスト」の開催を予定しており、未来の科学者、集まれ!と呼びかけています。