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日漢協 ニューズレター 89号

(第30巻 第2号)2013年9月

巻頭言

厚生労働省
大臣官房審議官
(医薬担当)
  
成田 昌稔

本年7月、厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当)を拝命いたしました。医薬品の品質、有効性および安全性の確保を基本として、的確かつ科学的なエビデンスに基づいて、より有効で、より安全な医薬品を医療現場に、国民の皆さんに届ける体制の構築、充実を、皆様の協力をいただきながら取り組んで参りたいと思っております。

日本漢方生薬製剤協会におかれては、創立30周年を迎えられたこと、また、優れた漢方生薬製剤の製造と安定供給を通じ、今日の我が国の保健衛生の向上と長寿社会の実現に大きく貢献されてこられたこと、改めて、厚く御礼申し上げます。

現在、急速な少子高齢化の進行、バイオ・ゲノムや再生医療等の科学技術の進歩、国際化の進展など、医薬行政を取り巻く環境は大きく変化しております。超高齢化社会においては、未病の状態を維持すること、たとえ病気に罹ったとしても、その後いかに質の高い生活を送ることができるかが重要であり、健康長寿の延伸は、我が国の大きなテーマとなっています。

政府としては、先般「健康・医療戦略」を策定したところであり、厚生労働省としては、我が国を真に魅力ある創薬の場とすることを目指し、中長期的な道筋を示すため、漢方生薬メーカーを含め「医薬品産業ビジョン2013」を策定し、課題や将来像を示したところです。

日本の漢方生薬製剤は、長い歴史と経験に基づいて用いられており、日本の多くの医師が漢方薬を処方しているなど、高齢化社会における役割は、今後、さらに、高まるものと思われます。一般用医薬品としても、多くの漢方生薬製剤が生産、提供され、セルフメディケーションにも、大いに寄与いただいているところです。

このような漢方生薬製剤を、より適切に、より広く用いていただくためには、いくつかの課題があるものと思います。
まず、第1は、品質です。原料である生薬は植物等の由来であることから、品質のチェックと指標成分等の規格の整備、また、製剤についても、一定の品質の製剤を確保する取組が必要です。第2は、作用機序等のエビデンスの収集です。前向きの臨床研究を含め有効性、安全性に関するエビデンスの収集と情報発信が求められます。第3は、原料生薬の確保等です。原料の生薬の80%以上を輸入に依存していますが、品質管理、安定的確保の面から、輸入先の多様化、国内での栽培、水耕栽培、バイオ技術の利用等、多面的な検討が必要です。また、成分や分析法の研究、品質規格の研究等もさらに必要となります。

このような、品質の確保、有効性、安全性に関するエビデンスの集積、生薬の確保等の課題に対しては、貴協会とともに、産学官の関係者の連携、協力をいただきながら取組を進めたいと思っております。

最後に、日本の医療を支える日本漢方生薬製剤協会、会員の皆様の一層のご活躍、ご発展をお祈りいたしますとともに、医薬行政に対し、ご協力、ご助言を賜りますようお願い申しあげます。