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日漢協 ニューズレター 90号

(第30巻 第3号)2014年1月

日漢協の動き


第16回市民公開漢方セミナー
「がん治療といっしょに漢方を」


今津嘉宏先生
10月9日(水)、東京・築地の浜離宮朝日ホールで、16回目となる市民公開漢方セミナーが開催された。今セミナーのテーマは「がん治療といっしょに漢方を」、講師は、東京・港区に芝大門いまづクリニックを開業したばかりの今津嘉宏先生。歯切れの良い講演を聴衆の皆さんは熱心に聞き入っていた。

●がんにならない未病対策

2人に1人ががんになるとされる今日、時宜に叶ったテーマとあって会場は老若男女、多くの人々で賑わった。

がんにならないための対策に定評のある今津先生の講演は、漢方の基礎篇から始まり、漢方とは日本独自の伝統医学で、中国の中医学、韓国の韓医学とは違うと、その違いを述べた後、がん化学療法の副作用対策について概説。「抗がん剤には必ず副作用がある」と抗がん剤の副作用発生頻度(タキソテール94.3%、パクリタキセル83.3%)を示しながら、手術後、退院後の体調管理について、足りなくなったものを補うことの大切さを論じ、漢方薬の有用性を強調した。



熱心に耳を傾ける聴衆の皆さん
さらに漢方製剤や生薬製剤の安全性、品質管理、について、「日本製は厳格な品質管理がされているから安全です」と太鼓判を押し、副作用についても漢方専門医ならではの見解を具体的に述べた。

続いて、がんにならない未病対策に論が移り、食べたら運動する、睡眠の質を高めるなど日常生活での心得を指摘したうえで、食欲を増進する六君子湯、睡眠の悩み(がある人)に抑肝散、お腹をあたためる方剤として大建中湯、消化管のトラブルには半夏瀉心湯が用いられている臨床例が紹介された。

講演後の質問コーナーでは数々の質問が寄せられ、67歳男性、65歳男性からの「主治医が漢方治療に好意的ではないと思われます。漢方治療についてたずねることは問題ないでしょうか?」との問いには、「漢方専門医におたずねください」と明快に回答、万雷の拍手を浴びた。

漢方薬シンポジウム2013
「体を温める大和当帰(トウキ)」〜奈良は良質な大和当帰の一大産地〜


藤本、渡辺、鹿野、小西、和田、嶋田
の各氏(左から)
11月9日(土)、奈良県と奈良県立医科大学の主催による漢方薬シンポジウム2013が奈良県文化会館国際ホールで開催された。会場には地元のメーカーのブースや漢方薬コーナー、薬草茶コーナーなどが設けられ、多数の人で賑わった。奈良の薬草の配布も行われ、人気を博した。

●体を温めるトウキは中高年の味方

奈良県は日本における生薬発祥の地といわれ、611年の推古天皇による大宇陀地方での薬狩りが日本書紀に記述されているなど、薬との関わりは人語に落ちない。

今回のテーマは体を温める大和当帰、薬草や漢方薬が国民の生活にどう活かせるかなどについて講演とパネルディスカッションが行われた。

基調講演は元富山大学和漢医薬学総合研究所教授の鹿野美弘先生が「当帰って何だ」、慶應義塾大学教授・奈良県立医科大学客員教授の渡辺賢治先生が「当帰を使った漢方薬」の演題で行った。

休憩を挟んでパネルディスカッションに移り、奈良県立医科大学教育開発センター教授の藤本眞一先生がコーディネーター、パネラーは医学の渡辺先生、薬学の鹿野先生、福祉の小西英玄社会福祉法人奈良県手をつなぐ育成会理事長、農学の和田宗隆パンドラファームグループ社長、製薬の場から嶋田康男三星製薬開発部長・日本生薬連合会技術参与が務め、奈良の生薬の現状、これからの展望について熱く議論が交わされた。