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日漢協 ニューズレター 92号

(第31巻 第2号)2014年9月

日漢協の動き


日本漢方生薬製剤協会第32回定期総会懇親会

第32回定期総会懇親会が5月16日(金)KKRホテル東京で開催された。渡邊喜久彦常務理事の司会で進められ、議長は井順一会長(ツムラ)が体調をくずし欠席のため内田尚和副会長(ウチダ和漢薬社長)に代わって議案が審議された。

第1号議案/平成25年度事業報告、第2号議案/平成25年度収支決算報告、第3号議案/平成26年度事業計画(案)、第4号議案/平成26年度収支予算(案)、第5号議案/日漢協会則一部改正案が審議され、いずれの案も満場の拍手で承認された。





合田幸広薬品部長
内田尚和副会長
田村憲久厚生労働大臣
滞りなく終了した総会に続いて講演会が行われ、合田幸広国立医薬品食品衛生研究所薬品部長が、平成13年4月に生薬部長に就任後の12年3カ月にわたる研究の経緯等について発表された。講演の内容は、国立衛研生薬部の体制と試験・研究課題、一般用漢方製剤承認基準制定までの流れ、「香港標準生薬規格」作成の目的等、多岐にわたり、少なからぬ感銘を与えた。

講演に引き続き、懇親会が催され、内田副会長は主催者挨拶で、井会長のメッセージを代読し、「薬用作物の国内栽培振興の環境が整えられつつある」と述べるとともに、「医療用漢方製剤の再評価に関して、再評価部会を通じて情報の共有化を図り、医療用医薬品再評価結果を発出した」と語った。さらに本年度は中長期事業計画2012(5ヵ年計画)の中間年に当たることから、「課題達成に向けて活動の検証と各組織の協力態勢が重要になる」と指摘、各業態別の課題を提示した。


会長挨拶の後、田村憲久厚生労働大臣、横倉義武日本医師会会長、石川友章日本東洋医学会会長、児玉孝日本薬剤師会会長、木村政之日本製薬団体連合会理事長から来賓挨拶があり、大西政夫副会長(小太郎漢方製薬社長)の乾杯の音頭で懇談に入った。その後、駆けつけられた加藤勝信官房副長官からも日漢協へのエールが送られ、渡邊喜久彦常務理事の中締めで総会・懇親会の幕を閉じた。


「日本生薬関係規格集2014」

監修:合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部長)、
   袴塚 高志(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部長)
   判型 B5判  発行日 2014年7月  ページ 720
   定価(税込) ¥11,880  ISBN: 978-4-8407-4618-2

わが国で流通する生薬に関する規格および試験方法のすべてを一冊に凝縮した、初の生薬関係総合規格集!

本書は、第十六改正日本薬局方第二追補までに収載された生薬、日本薬局方外生薬規格2012に規定された生薬及び公定規格に収載されていない生薬の自主基準(日本漢方生薬製剤協会及び日本生薬連合会作成)に記載のある生薬の医薬品各条と、日本薬局方における通則、生薬総則・製剤総則、生薬に関連する一般試験法・参考情報を網羅。
医薬品各条項には各生薬を配合する医療用・一般用漢方製剤を収載したほか、付録に「生薬薄層クロマトグラフィー(TLC)の試験条件」、「医療用・一般用漢方処方製剤の構成生薬・分量,組成,効能・効果,用法・用量一覧」を掲載。生薬・漢方製剤関係者の日常業務のみならず、教育関係者、規制当局担当者必携の一冊。

ISO/TC249第5回総会(京都)

中国伝統医薬の国際標準化を議論する専門委員会(ISO/TC249)が国際標準化機構(ISO)において2009年に開設された。委員会の総会は年1回開催され、今回の第5回総会は、5月26日〜29日の4日間京都市内で開催された。会議には、日本代表団49名を含む11カ国(中国、韓国、米、独、濠など)、211名が参加した。初日と最終日は全体会議が行われ、中2日は作業グループに分かれ、原材料関係、製剤関係、鍼灸関係、医療機器関係の品質と安全性、またそれらに関わる情報/用語など専門的な議論が重ねられた。今回の話題は、仮名称の会議名(中国伝統医学<仮名称>)や取り扱う範囲(日本の漢方医学や韓国の韓医学を含むか否か)について、インドのアーユルヴェーダ医学の取扱いが議論されたことを切っ掛けに、改めて討議することになったことである。

現在の標準化案は日本に影響が少ない見通しだが、議論の進捗によっては生薬や製品の品質に影響する可能性があることから、これまで同様、国際標準化案の検討や議論の行方には注視する必要がある。

コンプライアンス調査結果報告
経営トップの意識改革を!
日漢協は、「企業行動憲章」「コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」を制定してから1年半が経過した2013年11月に、日漢協会員会社の「コンプライアンスの取り組み状況に関するアンケート調査」を実施した。その結果について、2014年7月開催の第31回正副会長会において、総務委員会から報告された。

正副会長からは、定期的な注意喚起や取り組み事例の紹介など、意識付けについて知恵を絞った活動の実践が求められた。 また、ご指導いただいた日本大学薬学部の白神誠先生からは、「コンプライアンスは他社がやるから自社もやらなければという取り組み姿勢では実効性は上がらない」、「会社規模や社内体制の構築状況にかかわらず、最も重要なことは経営トップが最優先で取り組み、社内にしっかり浸透させていくことである」といった厳しいご指摘を受けた。

現在、協会内で不祥事が発生しているわけではないが、日漢協会員会社におけるコンプライアンス体制の充実に向け、協会一丸となった対応が不可避と考える。

日漢協から日薬連・品質委員長へ
日本製薬団体連合会(日薬連)品質委員会の寺薗委員長の任期満了に伴い、新委員長として日漢協の富塚弘之技術委員長が選任され、本年7月1日からその職についている。日漢協から日薬連の委員長が選任されたのは、これが初めてである。

選任された背景として、日本のPIC/S加盟申請のため、PIC/S GMPガイドとの整合性を図るべく、日漢協・技術委員長として率先して「漢方GMP」の改訂に取組み、「生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日薬連自主基準)」を発出したこと、2011年の東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染に対して、日薬連と連携していち早く「生薬等の放射性物質測定ガイドライン」を策定したことなどが挙げられる。

また、日本の伝統薬である漢方製剤、生薬製剤および生薬に関する日漢協の地道な取組みが、医薬品業界内で一定の評価を受けつつある証左とも言えよう。

第65回日本東洋医学会学術総会市民公開講座
講演と講談の二本立てで盛り上がる


第65回日本東洋医学会学術総会が、6月27日〜29日の三日間にわたり、「アートの復権−人間的な医学・医療を求めて」をテーマに、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された。2000年に京都で行われた第51回総会より日本東洋医学会と共催で開いている市民公開講座は、6月29日、午後1時30分から始まり、学術総会のフィナーレを飾った。

毎日新聞社の後援となった本年の市民公開講座は、物語仕立ての講演と講談の二本立てで行われた。会場には開演を待ちわびる人々の長蛇の列が続き、例年以上の活況を呈した。

講演に先立ち総会会頭の佐藤弘先生(新潟医療福祉大学教授、東京女子医科大学名誉教授)と日漢協の中島実広報委員長(ツムラ)が挨拶に立ち、漢方の現状などの説明がなされた。

●講演「漢方名称物語」


三浦於菟先生
三浦於菟先生(東邦大学医学部客員教授、吉祥寺東方医院長)による漢方名称物語「漢方薬の名前はなぜ難しいのか」と題する講演は、冒頭からユーモアに富んだ漫談調で展開され、会場はしばし笑い声に包まれた。
漢字だらけで難しいと言われる漢方薬の命名法として
1.構成生薬による命名
2.方剤の働き、効能による命名
3.方剤の適応状態による命名
4.中国思想によるもの
5.他(㈰構成生薬数によるもの㈪上記が混合したもの)
以上の5つを指摘され、漢字だからこそ西洋薬よりもなじみがあり、むしろ解りやすいと強調。加味逍遥散、真武湯、女神散、平胃散など、それぞれ代表的な方剤の意味、効能をわかりやすく、時には親父ギャグを交えて概説され、最後に、「漢方薬を知ることは日本人の文化を知ることに繋がる」と結ばれた。

●講談「漢方復興物語」


神田香織師匠
張り扇で釈台を叩き、朗々と語る講談師神田香織師匠による「漢方復興の祖、和田啓十郎伝」は、これぞ講談といえるほど迫力満点、聴衆の両耳を引きつけた。

西洋化を近代化と履き違えた明治新政府が東洋医学を排除してドイツ医学を範とする医事制度を確立した経緯から、和田啓十郎の生い立ち、済世学舎で学び、吉益東洞の本に感激して漢方を学ぶ決心をしたこと、漢方を復興すべく『醫界の鐵椎』の出版に心血を注ぎ、漢方撲滅運動の嵐に一人で立ち向かった生涯が見事に再現された。




講演の合間の体操
都下から訪れたという女学生は、「講釈師、見てきたような嘘をつき・・・、などと言われますが、重い内容のテーマにもかかわらず、よく理解できました。講演も面白く、漢方の良さを再認識しました」と目を輝かせていた。