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日漢協 ニューズレター 93号

(第31巻 第3号)2015年1月

巻頭言  新年御挨拶

厚生労働省医薬食品局長
神田 裕二

新年明けましておめでとうございます。

年頭に当たり、今年の医薬品、医療機器等行政を展望し、所感を申し述べます。

まず、今年は『医薬品医療機器等法の本格施行の年』です。皆様ご承知のとおり、昨年十一月二十五日に、医薬品等の添付文書の届出義務化、高度管理医療機器の認証範囲の拡大、再生医療等製品の条件・期限付き承認制度の創設等を内容とする改正法が施行されましたが、未だ一ヶ月余で、実質は、今年から本格施行です。特に、再生医療等製品に関しては、再生医療等安全確保法が合わせて施行され、臨床研究と治験の規制の整合性が図られたことから、海外からも注目されており、条件・期限付き承認段階での保険適用とあいまって、その実用化の促進が期待されます。既に、新制度に基づき、重症心不全を適応とする心筋シートや造血幹細胞の移植に伴う急性移植片対宿主病を適応とする細胞懸濁液といった新たな再生医療等製品の承認申請がされました。今年はこれらの審査を迅速かつ着実に進めてまいります。また、医療機器についても、業界からいただいた要望も踏まえ、優先順位付けを行い、高度管理医療機器の認証基準の策定を着実に進めてまいります。再生医療等製品や医療機器の実用化を推進するため、新たな制度をしっかりと運用していきます。

この抜本改正の他、昨年は、六月に、一般用医薬品のインターネット販売の仕組みを導入する改正、さらに十二月には危険ドラッグ取締り強化のための議員立法による改正と、旧薬事法について別個の改正法が三度にわたって施行される稀有な年でした。

一般用医薬品のインターネット販売については、消費者の安全性を確保する適切なルールを整備するとともに、いわゆるスイッチ直後品目等の要指導医薬品については薬剤師が対面で販売すること等の見直しを行いました。販売サイトでは、一般用医薬品の定義や解説が表示されていない等の軽微なものが多いもののルールを守っていないものが一定数見られます。自治体等と連携し、繰り返し指導しても改善がみられない場合は、改善命令も視野に入れて強い姿勢で徹底を図ってまいります。

また、今年は、革新的な医薬品等を世界に先駆けて実用化していくため、「日本再興戦略」にも位置づけられた『先駆けパッケージ戦略の具体化を図る年』です。また、患者アクセスの改善のための新しい仕組みを導入する年でもあります。

第一に、「先駆けパッケージ戦略」の一環として、臨床試験データから著明な有効性が期待できる画期的な医薬品等について、各種支援により通常の半分の期間で承認することを目指す「先駆け審査指定制度」の運用を平成二十七年度から開始します。

その第二は、人道的な治験参加の仕組みの導入です。日本再興戦略等を踏まえ、現在、医療保険制度において、患者からの申出を起点として、国内未承認薬や国内承認薬の適応外使用等を保険外併用療養として迅速に行うことができる仕組みである患者申出療養が検討されているところです。これと合わせ、治験中の医薬品についても、安全性の確保等一定の条件を満たす場合には、参加基準に満たない患者にもアクセスを認める人道的な治験参加の仕組みを検討し、実施に移してまいります。

さらに、今年は『セルフメディケーション推進の環境整備の年』でもあります。

その第一は、薬局・薬剤師を活用した地域に密着した健康情報拠点の制度化です。モデル事業、税制上の措置と合わせて、薬局機能情報提供制度を活用した制度化を検討します。幅広い医薬品の提供や健康相談、健康づくりの支援、在宅医療等の機能を果たすとともに、かかりつけ医やケアマネジャー等とも連携を図ることができる地域包括ケアを担う薬局・薬剤師の専門性の発揮や活動を支援していきます。

その第二は、スイッチOTC化の推進です。日本再興戦略を踏まえ、既に、審査期間短縮の目標設定、相談体制の拡充等に取り組んでいますが、今年は、更に、海外の事例も参考に、産業界、消費者等の多様な主体からの意見を反映する仕組みを構築します。また、医療用検査薬から一般用検査薬への転用については、昨年、二十四年ぶりに一般用検査薬の導入に関する一般原則を見直し、まずは、侵襲性のない検体に範囲を拡大するとともに、血液検体等課題があるものは、その整理状況を把握し、関係者の理解と合意を得ながら段階的に検討していくこととしています。今年は、具体的に転用の仕組みの運用を始めます。

今年は、奇しくも、医薬品と医療機器の規制の国際調和の枠組みであるICH(日米欧医薬品規制調和国際会議)とIMDRF(国際医療機器規制当局フォーラム)の両方の議長国に我が国が当たる年です。これを機に、産業界からの要望等も踏まえ、PMDAと連携し、優先順位を考え、『国際協力・規制調和の戦略を練る年』にしたいと思います。

昨年は、危険ドラッグにより、犠牲者を出す悲惨な事故が発生したこと等を踏まえ、指定薬物の迅速な指定の他、初めて、検査命令・販売停止命令の発動や販売サイトの削除要請を行う等、できる限りの取組みを実施しました。その結果、既に、八割を超える店舗を廃業、閉鎖に追い込みました。十二月十七日には、販売停止命令等の対象の危険ドラッグ全般への拡大、その停止命令の効果の全国化、サイトの削除要請に応じたプロバイダの免責等のインターネット対策の強化を内容とする議員立法が施行されました。今年は、改正法を最大限に活用し、『危険ドラッグ撲滅に向けた最終最後の年』とするべく、徹底した取締まり等を実施します。

血液事業については、少子高齢化によって献血が可能な人口が減少する中、将来にわたり血液の安定供給ができる体制を確保すべく、特に若年層への普及啓発活動の強化など、献血の推進に取り組んでまいります。また、昨年八月にこれまでの献血者二十人分をまとめた核酸増幅検査に替えて、一人分ごとの検査を導入し、検査精度の向上を図っており、今後も献血時の問診の充実やHIVなどの病原体に対する検査精度の向上等の安全対策の一層の強化を進めてまいります。

国民の皆様に有効かつ安全な医薬品・医療機器等をできる限り早くお届けするという責務を果たすため、関係者の皆様とも、率直な意見交換をしながら、今申し述べた施策を進めてまいりたいと考えています。皆様の医薬品・医療機器等行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。