制作物のご紹介 >> ニューズレター >> 日漢協 ニューズレター 93号

日漢協 ニューズレター 93号

(第31巻 第3号)2015年1月

ご挨拶 2015年新年を迎えて

日本漢方生薬製剤協会
会長
加藤 照和

あけましておめでとうございます。

皆様におかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年を振り返りますと、大雨による土砂災害、御嶽山や阿蘇山での火山活動の活発化など、自然の驚異を目の当たりにさせられ、国内の生薬栽培にとっても厳しい環境であり、生産者の方々のご苦労も多かった一年でありました。

私は、昨年7月18日開催の第186回日漢協理事会において、第7代の会長にご推挙いただき、身の引き締まる気持ちで拝命いたしました。改めまして、皆様にはご指導・ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、就任時のご挨拶でも申し上げましたが、日漢協を構成する5つの業態、医療用漢方製剤・生薬・一般用漢方製剤・生薬製剤・原薬エキスの各会議体の活動における共通かつ最重要のテーマは「原料生薬の品質確保と安定確保の推進」であります。そして喫緊の課題は生薬価格の高騰です。会員各社を対象に行いました、2回目となる中国産原料生薬の価格指数調査の結果では、2011年に実施した前回の調査以降の3年間でも一貫して上昇し続けており、2006年を100とした場合、7年後にあたる2013年の指数は213と2倍を超ええる水準でありました。主要生薬であるニンジンにおいては約4倍となる393、使用量が最も多いカンゾウでも2倍近い186となりました。生薬価格高騰の要因は、単なる需要の高まりだけではなく、中国における農民の所得向上などの国策等も影響しているように見受けられます。さらには、50%近くに迫る急激な円安ドル高の進行も原料生薬の輸入取引に大きな影響を及ぼしており、非常に厳しい環境であると認識しております。

中国との生薬取引に関する課題への取組みの一環として、6年ぶりに日漢協訪中団を組織し、10月19日から22日の4日間で、中国商務部、国家中医薬管理局、国家食品薬品監督管理総局(CFDA)をはじめとする行政機関等、7つの関係団体を訪問して参りました。その目的は、原料生薬の最大調達先である中国の経済成長に伴う市場環境や政策の変化を現地で実感すること、そして中国関連機関との交流の充実を図ることでした。その成果として、中国の関係主要機関が、日本の伝統薬である漢方薬や生薬に関する様々な案件の窓口として日漢協に期待を寄せていることを再確認でき、今後双方が協力して活動するために、情報や意見の交換を継続的に行っていくことで合意を得ることができました。中国国家衛生・計画生育委員会(かつての衛生部)の副大臣であり、国家中医薬管理局局長である王国強氏は、訪中団を歓迎する挨拶の中で「日本の行政機関にも呼び掛けて、日中双方の伝統医療が、力を合わせて世界の人々の健康に貢献できるよう協力することを提案します。そして日漢協には、日中伝統薬の掛け橋的存在として、さらなる活躍と発展を祈ります」との激励の言葉をいただきました。今後も継続的な交流を通して、中国関係先との情報交換と相互理解のもと、会員会社はもとより関連団体とも情報共有し、課題解決に役立てていきたいと考えております。

一方国内では、農林水産省、厚生労働省および日漢協が主催する「薬用作物の産地化に向けたブロック会議」を一昨年同様、実施いたしました。生産者と実需者双方が、引き続き情報交換・共有の場を設けることを希望しており、全国8ブロックで開催しました。ご尽力いただきました関係者の皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。皆様のご協力のおかげで、各会場とも前回を超える参加者が集まり、品目名を挙げての質問など、より具体的な情報交換が行われました。このブロック会議は国産生薬生産拡大の第一歩であり、原料生薬の80%超を中国からの輸入に依存する現状の改善につながるよう進展させていかなければなりません。ひいては、六次産業化され安定した生薬栽培事業の確立により、日本の一次産業の振興に少しでも貢献できるよう、生産者の皆様と協力していきたいと考えています。

国際的には、中国や韓国が国を挙げて、自国の伝統医療を育成進化している現状があります。日漢協は、製剤および原料の安全情報および品質管理に関し、先進国の業界団体として積極的に提案することを基本方針としております。昨年、5月に京都で開催されたISO/TC249伝統医学の国際標準化の第5回全体会議においては、日本の伝統薬が原料生薬の特徴も踏まえ、徹底した製剤の品質管理を行い、安全性の高い製品を提供していることをパネル展示いたしました。本年6月に北京で開催される第6回全体会議に向けて、当協会の基本方針に基づき、日本東洋医学サミット会議(JLOM)の先生方および関係行政機関と協力しながら、担当するワーキングで積極的に意見発信や提案をしていきたいと考えています。

また、昨年7月に、日本はPIC/Sに加盟しましたが、それに先立ち、「生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準」という日薬連の自主基準が策定されております。日漢協は「薬用植物の栽培と採取、加工に関する手引き」いわゆる日漢協版GACPを10月にとりまとめました。この手引きにより、日薬連の自主基準はもとよりPIC/Sへの対応を円滑に進められることになります。新たなコスト負担が必要となる課題ではありますが、この手引きを活用し、全ての会員会社が、薬用植物の生産や加工調製における管理のレベルアップにつなげていかなければなりません。

さらには、業界全体として社会の信頼に応えていくために、昨年10月「日漢協コード・オブ・プラクティス」(日漢協コード)を策定しました。会員各社がこの日漢協コードに基づき、より具体的な独自の項目を加えた「自社コード」を策定し、業界全体として、常に高い倫理性と透明性を確保していくことに努めて参ります。

最後に、今年は「中長期事業計画2012(5ヵ年計画)」の4年目となります。超高齢社会の中、健康長寿社会の実現に向けた取り組みにおいて、漢方・生薬の国民医療に果たす役割はますます大きくなってきております。各課題の進捗状況を検証し、成果に結び付けていく所存でございますので、引き続き、皆様には変わらぬご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。