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日漢協 ニューズレター 93号

(第31巻 第3号)2015年1月

生薬学教室を訪ねて[63]


就実大学薬学部生薬学研究室

ビフラボノイドのβ-secretase阻害活性
佐々木 寛朗 講師

「実地有用」を教育目標に


薬草園
「去華就実」—華を去り、実に就く—を建学の精神とする就実大学の歴史は、1904年(明治37)5月18日に始まります。時恰も日露戦争が勃発した直後で、日に日に戦時色が濃くなっていました。銃後の守りに当たる女子に対する教育の必要性が高まり、県内の教育関係者を中心に、行政関係者、有識者ら22名が私財を投じ、寄附を募って設立されたのが私立岡山實科女学校でした。その設立趣意書には「婦徳ヲ修養シ、(中略)実地有用ノ女子ヲ造ラムコトヲ期ス」と記され、以来、「実地有用」を教育目標として掲げています。

1911年に就實高等女学校に改称、その後、幾多の変遷を経て、1953年(昭和28)に岡山県下では初めての家政科の私立短期大学として岡山就実短期大学を設置、1979年に就実女子大学文学部が創設されました。

2003年(平成15)に薬学部が増設されるとともに文学部を人文科学部に名称変更、大学の校名も男女共学になったことから就実大学と改められています。2011年には教育学部、創立110周年となった2014年に経営学部が増設され、総合大学としての地歩を築きました。

「自ら考え、解決する力」を持つ医療人
摂南大学以来20年ぶりの新設薬学部として注目された薬学部は、同学園創立100年目という節目の年に開設され、本年で12年目を迎えます。当初は生物薬学科と医療薬学科の2学科としてスタート、一期生219名が入学しています。2006年の4年制から6年制移行に伴い薬学科に改組され、2012年には大学院医療薬学研究科(4年制)疾病治療薬学専攻を設置し、今日に至っています。

同学部の定員は120名、「自ら考え、解決する力」を持つ医療人の育成を目指しています。国家試験合格率は全国でも屈指の成績を誇っています。これまで6年制の卒業生を3回送り出し、初年度の合格率は100%。それ以降も全国上位にランクされ、中四国私立大学では3年連続トップとなっています。

合格率の高さの要因は、4年次に行われる技術・技能を評価する客観的臨床能力試験(OSCE)と知識の達成度を評価するコンピュータを使った試験(CBT)の2種類の共用試験です。この試験に合格し、進級した5年生だけが病院・薬局での5か月に及ぶ長期実習を行える仕組みを採っています。

アルツハイマー病治療薬の開発に向けて


研究室
5年次から配属される研究室は9つの専門分野(基礎、生物系1、2、医療系1、2、物理系、化学系、衛生、臨床系)薬学から成り、化学系薬学に属する生薬学研究室は、2009年に明治薬科大学を経て赴任された佐々木寛朗講師が前任の金田幸教授を引き継いで担当しています。

金田教授の時は医薬資源化学研究室と称していましたが、解りづらいとのことから昨年度より生薬学研究室に改称。現在、同研究室は1980年10月生まれの佐々木講師が34歳の若さで担っており、今春の4月から5年生が3人、6年生が3人の計6人が配属される予定です。

研究課題としては、
・天然有機化合物のX線結晶構造解析
・β-secretase阻害物質の探索
・ビフラボノイドの新規配糖体の合成
に取り組み、アルツハイマー病の発症に関与するβ-secretase(BACE-1)に対する阻害活性の検討にも力を入れています。その成果が期待されています。