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日漢協 ニューズレター 95号

(第32巻 第2号)2015年9月

巻頭言

一般社団法人
日本東洋医学学会
会長

佐藤 弘

平成27年6月12日に開催されました日本東洋医学会第66回定時社員総会において会長に選出されました。石川先生より引き継ぎ、第21代目の会長就任となります。何卒、よろしくお願いします。

現在漢方界を取り巻く環境は、国内国外ともに大変厳しい状況にあります。
国内では、これまでもたびたび財務省が持ち出してきた漢方薬を含む一般用市販類似医薬品の給付除外問題です。昭和51年に医療用漢方製剤43処方(現在148処方)が薬価収載されたことが契機となり漢方医学の見直し・普及がなされました。現在では9割を超える医師が漢方薬を使用し、しかも幅広い診療領域で漢方薬の有用性のデータが蓄積されつつあります。また超高齢化社会の中で漢方・生薬治療の果たす役割はますます増大することになります。もし漢方薬の保険給付除外が実施されますと、多くの患者さんが漢方治療を受ける機会を奪われかねないこと、そして漢方医学の研究が衰退し、漢方医学が持っている治療の可能性のさらなる追求ができなることが予想されます。
また、生薬価格の高騰も、保険診療を継続していく上で解決しなければならない喫緊の課題です。生薬の品質・安全性および安定供給の確保がどうしても必要になります。保険給付除外の問題とも併せて、貴協会と密接な連携をはかりながら、取り組んでいきたいと考えています。

国外問題では、ISO(国際標準化機構)、WHO国際疾病分類の改訂作業(ICD-11)があげられます。これまで、JLOM(日本東洋医学会、日本生薬学会、和漢医薬学会、全日本鍼灸学会およびWHO研究協力センターである北里研究所東洋医学総合研究所、富山大学和漢診療学講座の6組織で構成)が中心として対応してきました。このJLOMにたいして貴協会から多大なるご協力を賜わり感謝申し上げます。この中で特にISO問題は、基本的には、産業界が主体的に関与すべきであり、アカデミアはそのサポート役と考えています。これまでの経緯から、すぐには無理としても、今後貴協会の果たす役割を徐々に増やしていただきたいと思っております。
日本の伝統薬は、品質の上でも、安全性の上でも高い製品であることが特長です。ISOの問題では、この特長を堅持し、また消費者である国民が不利益を被らない道筋を見つけていかなければなりません。貴協会をはじめ産業界ならびに行政機関とも密接に連携して、ISO問題に取り組んでいきたいと思います。

加藤会長の新年のご挨拶に紹介されています国家中医薬管理局長である王国強氏の発言をみて、「日中双方の伝統医療が、力を合わせて世界の人々の健康に貢献できるよう協力する」意思を中国側が持っていることを知りました。これまで日本東洋医学会と中国関係者との交流は必ずしも密ではありませんでした。貴協会が中国関係先との情報交換と相互理解をはかると述べておられるように、私たちも同じように行動する必要があるのではないかと思っております。
今後とも、貴協会のご支援・ご協力をお願い申し上げます。