制作物のご紹介 >> ニューズレター >> 日漢協 ニューズレター 96号

日漢協 ニューズレター 96号

(第32巻 第3号)2016年1月

巻頭言

厚生労働省
医薬・生活衛生局長

中垣 英明

新年明けましておめでとうございます。
年頭に当たり、今年の医薬品、医療機器等行政を展望し、所感を申し述べます。

近年、国民の健康に対する意識の高まり等を背景に、医薬品および医療機器等の品質、有効性および安全性に対する国民の関心はますます高まっており、また、急速な少子高齢化の進行、再生医療等の科学技術の進歩、国際化の進展など、薬事行政を取り巻く環境も大きく変化しております。

まず、昨年十月に、医薬分業の原点に立ち返り、現在の薬局を患者本位のかかりつけ薬局に再編するため、「患者のための薬局ビジョン」を策定いたしました。

本ビジョンでは、患者本位の医薬分業の実現に向けて、服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導、二十四時間対応・在宅対応、医療機関等との連携など、かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿を明らかにするとともに、中長期的視野に立って、かかりつけ薬局への再編の道筋を示しています。 今年は、本ビジョンを踏まえ、かかりつけ薬剤師・薬局の推進を図り、患者・住民から真に評価される医薬分業の速やかな実現を目指してまいります。また、本年四月より「健康サポート薬局」の公表制度を創設すること等により、地域住民による主体的な健康維持・増進のために積極的な取組を推進していきます。国民の皆様に有効かつ安全な医薬品・医療機器等をできる限り早くお届けするため、様々な施策を進めており、ドラッグ・デバイスラグについては、近年減少傾向にあります。この傾向を恒常的に達成していくため、承認審査等を行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の組織・人員の充実・強化を図ってまいります。

さらに、日本再興戦略を踏まえ、革新的な医薬品、医療機器および再生医療等製品を世界に先駆けて実用化していくため、「先駆けパッケージ戦略」の一環として、臨床試験成績等から著明な有効性が期待できる画期的な医薬品等について、各種支援により審査期間を通常の半分の期間で承認することを目指す「先駆け審査指定制度」の試行的運用を開始しました。医薬品については、六品目を初めて対象品目として指定し、制度の活用を進めています。引き続き、試行的な運用を進め、指定された医薬品および医療機器等の世界に先駆けた早期承認を目指してまいります。

また、安全性の確保等一定の条件を満たす場合には、参加基準に満たない患者にもアクセスを認める人道的見地からの治験参加の仕組み(日本版コンパッショネートユース制度)を検討しており、関係省令等を改正した上で、運用を開始することとしております。

再生医療等製品に関しては、重症心不全を適応とする心筋シートおよび造血幹細胞の移植に伴う急性移植片対宿主病を適応とする細胞懸濁液の二品目が、医薬品医療機器法施行後、初めて承認されました。心筋シートは、均質でない再生医療等製品について、有効性が推定され、安全性が認められれば、特別に早期に、条件および期限を付して製造販売承認を与えることを可能とする条件・期限付き承認制度を活用した初めての製品になります。

医療用医薬品から一般用医薬品への移行(スイッチOTC)の促進について、日本再興戦略を踏まえ、既に審査期間短縮の目標設定、相談体制の拡充等に取り組んでいますが、新たに医学・薬学の専門家、産業界、消費者等の多様な主体からの意見を反映する検討会議を設置する予定です。

国際化の進展のため、業界からの要望等も踏まえ、昨年六月に「国際薬事規制調和戦略〜レギュラトリーサイエンス イニシアティブ〜」を取りまとめました。これに基づき、薬事規制に関する我が国のレギュラトリーサイエンスに基づく知見をアジアをはじめとする世界に発信し、世界のドラッグ・デバイスラグの解決による国際社会の保健衛生の向上に貢献するとともに、国内投資の呼込み、優れた製品の輸出拡大による産業活性化にもつなげていきます。本戦略の策定だけで終わらせず、今後とも、継続性・一貫性のある取組を推進していけるよう、厚生労働省・PMDAの組織体制を構築し、国・地域別の担当者制を導入することで、司令塔機能を発揮し、業界団体との意見交換を行いつつ、戦略の定期的な進捗管理や見直しを行ってくことで強力に国際規制調和・国際協力の取組を進めてまいります。危険ドラッグにより、犠牲者を出す悲惨な事故が発生したこと等を踏まえ、指定薬物の迅速な指定の他、検査命令・販売停止命令の発動や販売サイトの削除要請を行う等の取組みを実施した結果、昨夏に実店舗を全滅に追い込みました。

引き続き、インターネット販売店舗も含め、徹底した取締まり等を実施します。

血液事業については、少子高齢化によって献血が可能な人口が減少する中、将来にわたり血液の安定供給ができる体制を確保すべく、特に若年層への普及啓発活動の強化等、献血の推進に取り組んでまいります。

あわせて、献血時の問診の充実やHIV等の病原体に対する検査精度の向上等の安全対策の一層の強化を進めてまいります。

国民の皆様に有効かつ安全な医薬品・医療機器等をできる限り早くお届けするという責務を果たすため、関係者の皆様とも、率直な意見交換等をしながら、今申し述べた施策を進めてまいりたいと考えています。

皆様の薬事行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。