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日漢協 ニューズレター 96号

(第32巻 第3号)2016年1月

生薬学教室を訪ねて[66]


徳島文理大学薬学部生薬学教室 梅山 明美 教授

日本産キノコ類、地衣類および冬虫夏草に
含まれる生活習慣病予防物質

野路准教授と
梅山教授

自立協同
創立120周年を迎えた徳島文理大学の前身は、明治28年(1895)に創立された私立裁縫専修学校です。四書五経と琴を荷車に積んで小豆島から徳島の地にやってきたと伝えられる学祖の村cサイ女史は、「女も独り立ちができねばならぬ」と女性の自立を唱え、「自立協同」を建学の精神として同校を開学しました。

以来、幾多の変遷を経て、昭和41年(1966)に徳島女子大学が開設され、家政学部(現人間生活学部)が設置されました。47年に現在の校名の徳島文理大学と改称するとともに薬学部を設置しています。

昭和58年(1983)には徳島キャンパスに加え、香川県志度町(現さぬき市)に香川キャンパスを開学。現在、徳島、香川の両キャンパスに9学部26学科、5大学院、1専門職大学院、3専攻科を擁し、西日本有数の総合大学として揺るぎのない地歩を築いています。

思いやり教育


東門から見る徳島キャンパス
徳島文理大学薬学部と香川薬学部、同一の大学に二つの薬学部を有する稀有なケースとして注目される同学部は、徳島キャンパス(徳島市)の前者が昭和47年(1972)、香川キャンパス(香川県さぬき市 )の 後者が平成16年(2004)に設置されました。 中四国地区で最初の私立大学薬学部である同学部は、文科省科学研究費額も高順位にランクされ、過去2年間に実施された共用試験(CBT、OSCE)で全員が合格。医療従事者としての思いやり教育にも力を入れ、1年生前期に早期体験学習を行い、1〜3年生全員に指導教員がつくチューター制度も定評があります。

4年前期から研究室に配属され、それぞれの学生が実験研究、課題研究に取り組みます。研究室は薬化学、薬品物理化学、薬品化学、薬品製造学、薬品分析学など17の部門で構成されています。

徳島和漢薬研究会の副会長として


実験室
生薬学教室は昨年の4月に前任の橋本敏弘教授を受け継いだ梅山明美教授が率い、野路征昭准教授、6年生8名、5年生7名、4年生5名と3年生7名で構成されています。

梅山教授は広島大学理学部で反応有機を研究していた異色の研究者です。「徳島に帰ってこい…」との祖母の願いで、昭和54年(1979)に帰郷。副手として職を得て以来、助手、助教、准教授を経て教授に。平成2年(1991)に学位を得ています。

主な研究テーマとして、
1.日本産キノコ類、地衣類および冬虫夏草に含まれる生活習慣病予防物質
2.シンビジウム、食品、稀少植物より、生活習慣病予防物質の単離
3.海洋微生物および冬虫夏草菌糸体の培養、微生物を用いる変換反応による生理活性成分の単離

以上の研究に取り組み、抗癌、抗炎症作用、コレステロール低下作用、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する抗菌作用などの生理活性を有する新規化合物の単離・構造決定に関する研究を世界に先駆けて行っています。

昨年、「線虫感染症の新しい治療法」の発見でノーベル生理医学賞を受賞した北里大学北里生命科学研究所の大村智特別栄誉教授とも共同研究を行っており、いつしか冬虫夏草からノーベル賞も夢ではない、と日々研究に勤しんでいます。学生の人気も高まり、研究室も自ずと活性化しています。

助教の頃、甲状腺ガンに罹り、ステージ4だったのを十全大補湯や食事療法で克服したことから、徳島和漢薬研究会の副会長として毎月第4日曜日に研究会を開き、漢方の啓発にも余念がありません。