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日漢協 ニューズレター 97号

(第33巻 第1号)2016年5月

ご挨拶 〜漢方生薬製剤のより大きな流れを生み出そう〜

日本漢方生薬製剤協会
副会長
小林 豊

世界に先駆けて超高齢社会に突入した今日、我が国独自の伝統薬である漢方生薬製剤への国民的期待は益々高まっております。これもひとえに当協会会員企業の皆様方のご協力・ご支援により発展して来たものと大いに感謝いたしております。

当業界のさらなる発展を目指す我々にとって多くの課題があります。改めて数えあげていきますと、まず生薬および生薬を原料とした最終製品の品質確保、生薬原料の安定確保、一般用漢方生薬製剤の開発と育成、安全性の確保と適正使用の推進、エビデンスデータの蓄積と活用、薬価制度への対応、国際調和と交流等があげられます。これらの一つずつは大変重い課題ですが、必ず克服しなければならない課題でもあり、当協会が一致団結してあたる事が大きな推進力になるものと思います。

一方、このような困難な状況であるからこそ、最終実需者である国民の期待をもっと高めることが我々業界を発展させてくれる一番の牽引力ではないかと考えます。古今人間に新たな病名は生まれても、新たな病気はありません。長い歴史の中で病気という恒常性の乱れを糾すものとして、あるいは恒常性の乱れを未然に防ぐものとして漢方があります。その有用性のエビデンスを整え世に訴えることが医療関係者のみならず国民の漢方への関心を今以上に高めるものと考えています。

2004年、米国では「植物薬ガイダンス」が設定され、外用剤、経口薬が承認され、また伝統薬のいくつかが申請されています。ヨーロッパでも同様のガイドラインで植物製剤が評価されていますが、このような西洋薬のロジックに沿った漢方生薬製剤の再評価とは別に、歴史のうちに蓄積された臨床上の有用性から漢方の有用性を説くような新しい可能性を学ばなければなりません。

また、農林水産省を中心に起案されています薬用植物の国内栽培については原料生薬の安定確保ならびに品質確保の視点からも、高騰を続ける原料価格を安定化させるためにも、その対応策として考えなければなりませんが、原料生薬の大部分を依存する中国関係組織との交流もあわせ考えなければなりません。中国では中成薬の興隆を国策とし(本年2月下旬中国国務院発表「中医薬発展戦略規画綱要(2016〜2030年)」)、2020年までに医薬品産業のうちの30%を中成薬で賄う旨の新聞報道がありましたが、生薬の中国国内需要が高まる中、さらには世界の生薬製剤市場における原料供給基地としての地位が高まる中、ますます強い絆を構築しなければなりません。

当協会を取りまく様々な変化要因に対し、業界拡大のための積極的な攻めの施策を講じ、あわせて基盤の強化に最大限の努力を注入すると同時に、官学のご指導はもとより、健康関心を高める国民の皆様、漢方生薬製剤市場の礎となる栽培者の皆様のさまざまなご意見ご要望を通じて私共の未来が描かれるものと考えております。

会員各社の皆様方に置かれましては今後ともご指導ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

(小林製薬株式会社 代表取締役副会長)