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日漢協 ニューズレター 97号

(第33巻 第1号)2016年5月

生薬学教室を訪ねて[67]


九州保健福祉大学薬学部薬学科生薬学講座 垣内 信子 教授

HCVプロテアーゼ阻害作用のある薬用植物の探索

延岡市との公私協力方式により創設
「学生一人ひとりのもつ能力を最大限に引き出し引き伸ばし、社会に有為な人材を養成する」を建学の理念とする九州保健福祉大学は、宮崎県延岡市との公私協力方式により創設されました。

同大学の母体は岡山県高梁市に本拠がある学校法人順正学園、岡山市にある学校法人加計学園と共に加計勉を学祖とする加計学園グループとして知られています。

加計学園は岡山理科大学(岡山市)、倉敷芸術科学大学(岡山県倉敷市)、千葉科学大学(千葉県銚子市)、順正学園は吉備国際大学(高梁市)をそれぞれ運営、時代のニーズを先取りした多様な人材育成に余念がありません。

平成11年(1999)4月の開学以来17年目となる九州保健福祉大学は、当初、社会福祉学部、保健科学部の二学部でスタートしました。その4年後に薬学部、そして、昨年に生命医科学部を設置、地域に開かれた大学として産官学共同研究など積極的に進めています。

薬剤師国家試験合格に最も近い大学のひとつ
薬学部薬学科の開設は平成15年(2003)、同18年(2006)に4年制から6年生に移行し、同20年(2008)には4年制の動物生命薬学科が開設されています。

同学部を同学部たらしめているのは、国家試験の合格率の高さです。平成19年(2007)に一期生が第92回薬剤師国家試験で合格率97.5%の成績を収め、一躍話題になりました。以来、合格率は高水準を維持し、平成27年度の第100回の国試に於いても全国国公私立73大学中で東大、金沢大、富山大に次いで第4位となり、私立56大学中では第一位となっています。

「バイタルサインが読める薬剤師の育成」、これは同学部が目指している薬剤師像です。その一端として精巧な患者ロボットを使用した模擬ベッドサイド実習を導入するなど他大学にない独自の教育を全国に先駆けて取り入れています。この取組みは文部科学省の教育支援プログラム「医療人GP」に採択されています。

薬用植物の調査、DNA分析、系統解析


垣内信子教授と大塚功准教授(左)、
渥美聡孝助教(右)


薬草園(3,531m2)


裏山から見たキャンパス
薬学部の教員は教授20名、准教授・講師12名、助教12名からなり、生薬学講座は大阪大学から富山医科薬科大学、金沢大学などを経て赴任された垣内信子教授を始め、大塚功准教授、渥美聡孝助教授、6年生7名、5年生6名で構成されています。 主な研究テーマとしては、①薬用植物の調査、DNA分析、系統解析 ②天然由来糖鎖の合成、生理活性の研究 ③薬用植物の栽培研究に取り組んでいます。

①は垣内教授が担当され、HCVプロテアーゼ阻害作用のある薬用植物の探索と、日本に自生するトリカブト植物の遺伝子タイピングと含有成分を指標とした識別を行っています。②は大塚准教授、③は渥美助教が主として担当しています。

「金沢では麻黄を研究していましたが、現在はオクトリカブトと南米のアマゾン流域に産するカムカムを探索しています」

研究室での研究の他に、薬用作物を栽培してみたいという市民に対し、延岡市と協力してアドバイスをするなど地域の活性化にも生薬学講座ぐるみで勤しんでいます。