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日漢協 ニューズレター 99号

(第33巻 第3号)2017年1月

巻頭言  新年御挨拶

厚生労働省
医療・生活衛生局長

武田 俊彦

新年明けましておめでとうございます。
年頭に当たり、今年の医薬品、医療機器、再生医療等製品の行政を展望し、所感を申し上げます。

近年、国民の健康志向の高まり等を背景に、医薬品および医療機器等の品質、有効性および安全性に対する国民の関心が一層増しております。また、少子高齢化の進行、再生医療等の科学技術の進歩、国際化の進展など、行政を取り巻く環境も変化を続けています。

厚生労働省では、国民の皆様に有効かつ安全な医薬品、医療機器、再生医療等製品をできる限り早くお届けするため、様々な施策を進めており、ドラッグラグ・デバイスラグは近年減少傾向にあります。この傾向を維持していくため、承認審査等を行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の機能の強化に努めてまいります。

さらに、一昨年度から臨床試験成績等から著明な有効性が期待できる画期的な医薬品、医療機器、再生医療等製品を各種支援により通常の半分の審査期間で承認することを目指す「先駆け審査指定制度」の試行的運用を行っておりますが、昨年二回目の募集を実施しました。本年も、制度の活用を進め、医薬品、医療機器、再生医療等製品の世界に先駆けた早期承認を目指してまいります。

また、革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品の創出をさらに促進するためには、医療系ベンチャーを育てる好循環を確立することが重要です。「医療のイノベーションを担うベンチャー企業の振興に関する懇親会」の報告書に示されたように、革新的であるものの患者数が極端に少なく開発が困難なものに対しては、市販前の臨床試験実施にかかる負担を最小化し、市販後の調査をより充実させること等により、イノベーションの実用化を支援してまいります。

一方、そのような取組の中で承認された革新的な医薬品の中には、有効性の発現の仕方、副作用の種類や頻度が独自なものがあります。その有効性および安全性を最大限発揮できるように、最適な使用を推進することが重要です。このため、このような革新的な医薬品の使用に適合する患者、医師、医療機関の要件等を示す最適使用推進ガイドライン(仮称)を作成し、医療現場での普及に努めてまいります。
また、大規模な医療情報の収集、解析に医療情報データベースシステム(MID-NET)などのICTを活用し、医薬品の安全性を高めていくための検討を進めます。さらに、民間利活用開始に向けた環境整備も着実に進めてまいります。

現在、日本の少子高齢化により、献血可能な人口が減少しています。そのような中でも、将来にわたり血液の安定供給ができる体制を確保すべく、特に若年層への普及啓発活動の強化等、献血の推進に取り組んでまいります。また、血液製剤の安定供給に向けては、昨年十月、「ワクチン・血液製剤タスクフォース」の「顧問からの提言」で提案いただいた事項の検討を進めてまいります。

国際的な取組に目を向けますと、本年十月には、日本、米国、EU、中国等世界二十三ヶ国の薬事規制当局の責任者が集まる「薬事規制当局サミット」が京都で開催され、日本が初めて主催します。各国と連携しさらなる国際規制調和、国際協力を進めてまいります。

また、近年の国際化の進展に対処するために「国際薬事規制調和戦略」を策定しており、これを着実に実施してまいります。昨年は、PMDAにアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターを設置し、国内外で、アジア等の規制当局を対象とした医薬品・医療機器の治験、審査、GMPなどに関する研修を開始しました。また、台湾の新薬の簡略審査制度においてその対象に日本が追加されるなど、二国間の取組でも成果を上げています。

地域で暮らす方々が医薬品等を適切に使用いただく環境づくりも重要です。地域住民から真に評価される医薬分業の実現に向けて、かかりつけ薬剤師・薬局を推進するため、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、昨年から各都道府県でモデル事業を実施いたしました。さらに、昨年十月から届出、公表が始まった「健康サポート薬局」を通じた、地域住民による主体的な健康維持、増進のための積極的な取組も推進してまいります。

併せて違法薬物対策にも力を入れていく必要があります。危険ドラッグは、一昨年には実店舗を全滅に追い込みましたが、それ以降、インターネット販売やデリバリー販売等に移行し、販売方法が巧妙化、潜在化の一途をたどっています。引き続き、関係機関一丸となり危険ドラッグ撲滅に向けて取り組んでまいります。

その一方で、危険ドラッグの取締強化により、違法薬物の使用は大麻に回帰する傾向がみられます。大麻は、世界で最も乱用されている薬物であり、国際条約において最も危険性の高い麻薬であるヘロインと同等の厳しい規制がなされています。昨年、有名人や高校生などが大麻所持で逮捕されるという事件が相次ぎ、深刻な問題となっています。特に若者の事件が多くなっているため、若者向けの薬物乱用防止の啓発にさらに力を入れるとともに、取締を徹底してまいります。

今後とも、国民の皆様に有効かつ安全な医薬品、医療機器、再生医療等製品をできる限り早くお届けするという責務を果たしてまいります。その際、高額薬剤に関する社会の関心の高まりを踏まえ、医薬品の適正な使用の推進にも努めてまいりたいと考えます。さらに、高齢化社会における医薬品の適正使用には、薬剤師の役割が極めて重要であることから、薬局、薬剤師のあるべき姿の実現を図ってまいります。このような取組に向け、関係者の皆様とも、透明性のある率直な意見交換等を行いながら、施策を進めてまいりたいと考えています。

皆様の医薬品・医療機器行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りしまして、新年の御挨拶といたします。