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日漢協 ニューズレター 99号

(第33巻 第3号)2017年1月

ご挨拶 2017年新年を迎えて

日本漢方生薬製剤協会
会長
加藤 照和

新年おめでとうございます。

改革の年と言われます本年2017年は、新たな『中長期事業計画2017(5カ年計画)』を5月の総会において策定・スタートする、私ども日漢協にとって極めて重要な年であります。現在の『中長期事業計画2012(5カ年計画)』では、国民医療において、費用対治療効果の高い治療薬として貢献すべく、漢方製剤のエビデンス構築を推進し、作用機序の解明やより高い次元でのデータの集積に取り組んで参りました。その結果、関係者のご尽力により数多くの漢方製剤が治療のガイドラインに掲載されるなど、臨床におけるエビデンスベースでの治療が加速してきております。日本の誇れる伝統薬である漢方製剤が、西洋医学との調和を図り、国民医療に役立ていただけますよう、さらに漢方製剤のエビデンス構築を加速させていくことを、年頭にあたり固く決意しているところであります。

日漢協は、医療用漢方製剤、生薬、一般用漢方製剤、生薬製剤、原薬エキスの五つの業態において、それぞれの会議体・委員会で活動しておりますが、自然由来の植物等を原料とする医薬品であるという共通点から、原点ともいうべき「原料生薬の安定確保」と「原料生薬から最終製品までの品質確保」を、最優先課題として取り組んでおります。

「原料生薬の安定確保」については、次の2点を中心に取り組んでおります。

一点目は、中国からの原料生薬の調達の課題解決に向けた取り組みであります。原料生薬に関する最新情報、中国国家レベルのプロジェクトである、「中薬材の発展と保護計画」の進捗状況や、「医療サービスまでを含めた発展計画」などの情報の収集と、さらなる品質向上に向けた意見交換を通じて相互理解を深めるなど、日漢協訪中団による「日中伝統薬交流」を推進しております。

二点目は、国内における生薬栽培の推進です。厚労省、農水省、日漢協で3年間に亘り取り組んでまいりました「薬用作物の産地化に向けたブロック会議」において、地域に応じた栽培方法の確立および指導者の育成が必要であること、種苗確保の重要性などの課題が存在していることが明確となりました。そこで、2016年度は農水省の「薬用作物産地支援体制整備事業」において、日漢協は、全国農業改良普及協会と共同で「薬用作物産地支援協議会」を立ち上げ、事前相談窓口の設置および地域相談会の開催により、生産者サイドへの説明と適切な助言等を行うと共に、栽培方法の確立や種苗の確保について協力させていただいております。こうした産地支援活動を2017年度も継続いたします。

「原料生薬から最終製品までの品質確保」については、国際基準であるPIC/S GMPにおいて、製品のみならず原料生薬レベルでの品質確保が要求されており、日漢協版GACPに基づいて原料生薬の品質確保を推進しております。また、昨年、実施されました製造販売承認書と製造実態の整合性に係る一斉点検では、整合性が十分確保されていない点も明らかとなりました。これを受けて現在、ICH Q10医薬品品質システムの導入を推進すると共に、変更管理をさらに徹底する施策を進めております。会員各社は、品質保証に対する責任を果たす仕組みを着実に構築してまいります。

昨年8月には、日本東洋医学会と共同で「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」を立ち上げ、3回の研究会を開催いたしました。

1回目の研究会では、がん領域における漢方薬を用いた、がんの術後合併症・後遺症や化学療法の副作用に対する支持療法におけるエビデンスの構築や、国民に対する科学的エビエンスの情報発信などの提言をいただきました。2回目の研究会では、高齢者の筋力や認知機能などの身体活動が低下している「フレイル」において、治療効果を落とさず上手に処方数を減らし、副作用を軽減するために漢方薬を活用すべきであり、副作用に関するエビデンスの創出や新剤形の開発を加速すべきであるなどの提言をいただきました。3回目の研究会では、多成分系医薬品の製造承認や品質保証に関するガイドラインの策定、最新科学やビッグデータ、実臨床に基づく漢方製剤の新たな疾患への利用であるリポジショニングなどについてのご示唆がありました。

2月9日に開催される「フォーラム」では、これら3回の研究会における総括を受け、最終的な報告・提言がなされる予定です。

この漢方の将来ビジョン研究会には、厚労省、農水省、PMDA、AMED等、日頃ご指導いただいております関係各位の皆さまにも多数ご参加いただいており、漢方の現状と課題が広く情報共有され、産官学が連携し、諸課題の解決に向けた共通認識が形成されていくものとたいへん感謝しているところでございます。

国内トップオーソリティの先生方から多岐にわたる貴重なご意見を頂戴いたしましたこの漢方の将来ビジョン研究会の成果を一層浸透させるとともに、様々な課題の解決に向かって全力でお応えしなければならないと身の引き締まる思いであります。これらの活動で必ず国民の皆様の健康と医療に貢献できると信じております。

また、一般用医薬品については、本年1月より、いよいよセルフメディケーション税制がスタートしました。国民のセルフメディケーション意識向上のためにも、需要が高まっている漢方・生薬製剤が、この税制の対象となるよう一般薬連を通じて活動を強化してまいります。

国際関連では、中国伝統医学の標準化を目指したISO/TC249において、特に、原料の生薬に関しては漢方医学と中医学とで共通となる部分が多いため、日本のレギュレーションに影響が及ばないように、関係省庁や関係機関と協力し対応しております。

冒頭申し上げましたように、本年は『中長期事業計画2017(5ヵ年計画)』のスタートの年であり、様々な課題解決に向け、スピード感をもって取り組んでいかなければなりません。皆様方の変わらぬご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

(株式会社ツムラ 代表取締役社長)